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「本が読みたくなる本」を部員が選んだら

前月の手紙社リスト“本”編で花田菜々子さんがセレクトした「本が読みたくなる本」を、手紙社の部員が選んだら? はっきり言いましょう。部員さんのリストを見ていると、本が読みたくなるー!!

✳︎ここで紹介した10冊を、手紙舎つつじヶ丘本店の一角に準備しました。どなたでも読むことができますので、カフェタイムのお供にぜひ!

1.『人生を変えた本と本屋
著/ジェーン・マウント,発行/エクスナレッジ

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何気なく本屋でパラパラと開いてみると……

全ページイラストで、あらゆるジャンルの本を面白い角度で切り取り、その数、なんと1000冊!

特にオススメなのがコラムで、物語の中のひと皿を描いたページに、どんな本なんだろ? と、想像を掻き立てられる“スパイス”が散りばめられています。読みたい本が沢山出てくるのです。

絵を描く者として、この量の絵を描かれた事に大きな拍手を送りたいです。是非、手にとって楽しんでほしいです。

(選者・コメント:三重のtomomi)

2.『本屋になりたい ─この島の本を売る
著/宇田 智子,絵/高野 文子 絵,発行/筑摩書房

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いつか自分と世界を変える本に出会うかもしれない。そう信じているから、いつも本のそばにいたい

東京の大型書店で働いていた著者が、沖縄の市場で小さな古本屋を始める。本を生業とし生きていく様が描かれています。古本屋を営むとはこういう事なのか! というリアルも分かり楽しめます。

本ってなんだろう。この本を読みながら思いました。この世に無数にある本。読めるのは後どれくらいか? あの本はどうして読んだのだろう?と。

確信した事は。

一冊の本との出会いは偶然ではない。という事。その本を届けたいと思った無数の思いと、自分の思いがどこかで交差した結果なんだと思いました。

よし! 明日はまた、本屋に行こう! 本と出会いに行こう!

本が好きな人、本屋が好きな人には是非読んで欲しい本です。
(選者・コメント:田澤正)

3.『戦地の図書館 海を越えた一億四千万冊
著/モリー・グプティル・マニング,訳/松尾恭子,発行/東京創元社

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出版社の書庫で眠っていた「作家への手紙」。それは戦場の兵士たちが、小説を読んで「生き返った」ことを作家に伝える、数えきれないほどの手紙でした。

第二次世界大戦、ナチスによって一億冊以上の書籍が燃やされました。その攻撃に、アメリカの図書館員たちは、書籍を軍に送って対抗。さらに1943年 “兵隊文庫”が誕生しました。兵士のポケットに入るサイズ、ペーパーバックの出版プロジェクトです。小説、科学や歴史など多岐にわたって、一億四千万冊が無料で提供されました。そして戦争が終わったとき、兵隊文庫は本当の威力を示したのです。

『戦地の図書館』で日本は敵です。それが事実の重みならば、「本を読んで生き返った」感動もまた、事実の重みです。
(選者・コメント:まっちゃん)

4.『グラフィックデザイン・ブックガイド 文字・イメージ・思考の探求のために
編/グラフィックデザイン・ブックガイド編集委員会,発行/グラフィック社

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「デザイナーに必要なのは、思考力だ」
私がこの業界に入って、諸先輩方に言われ続けた言葉です。

一言「思考力」といっても、どうやって身につければ…。そう思っていた時に、この本に出会いました。

タイトルをみたら、一見デザイン系の本を紹介するものかと思いきや、その界隈で著名な方が、デザインをはじめ、人文学からサブカルチャーまで、幅広い分野の本を紹介していました。掲載される本の解説を読みつつ、どこか執筆者の頭の中の片隅を覗いているような気もしてきます。

「デザイナーの頭の中が知りたい」とか、「人が紹介した本が気になるから読んでみたい」とか、私みたいに「考える力ってわからん!」とか、ちょっとした好奇心から手にとってみるのもオススメです。
(選者・コメント:ジャスコ)

5.『晴れ、時々くらげを呼ぶ
著/鯨井あめ,発行/講談社

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清涼飲料水のような青春小説で、とても読みやすいです。

高校の図書委員になった主人公によると、

本好きは大人しいと思われがちだが、実際のところは真逆だ。趣味が合った瞬間に爆発する。

とのことで、私もまったくその通りだと思います。

本の趣味が合うなんて、映画や音楽の好みが合う人を見つけるより難しいですから、趣味が合った瞬間、喜びが弾けて爆発になってしまうのも無理は無いでしょう。

登場人物達は、さすが図書委員です。実際の小説や作家名を挙げて会話していきます。これが本好きに対する一種の飯テロでして、ああそれもあった、そっちはまだ読んでなかった、これはもう一度読みたいな…などと思い、図書館に行きたくなりますよ。
(選者・コメント:琴深)

6.『桜風堂ものがたり
著/村山早紀,発行/PHP研究所

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本屋さんで「これいいな」と何気なく手に取る一冊。それは書店員さんが置くことを選んだ一冊。お店の規模が小さくなるほど「目利き」の腕が試されます。お客さまに手に取って読んでもらうために、POPを書いたり、売り場を飾ったり…

中でもたくさんの人に読んでほしい「宝」の予感がする1冊として、この物語では「四月の魚」という小説が登場します。

単行本ではなく、新刊の文庫小説として出るその本は、数ある本の中に埋もれてしまいしまいそうな、ひそやかな存在。書店員仲間、書店の入っている老舗百貨店、本好きの大女優と様々な人に応援され、やがて全国の書店に波及していく幸運は、本当によい本が持つ「生命力」です。

この物語に登場する2つの書店、書店員の作る棚、それはあなたの近くの本屋さんかもしれません。「桜風堂ものがたり」や、まだ見ぬ「宝」を探しに行きませんか。
(選者・コメント:mayuko)

7.『はやくはやくっていわないで
著/益田 ミリ,絵/平澤 一平,発行/偕成社

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みなさんはこれまでの人生の中で「はやくしなさい!」と誰かに急かされたり、逆に浴びせられたりした経験はありませんか? どちらかというと、大人が子供に言う場面を想像する方が多いと思います。

なぜ急がなきゃいけないの? それは、大人の時間軸や都合を押し付けているだけ。

なぜみんな一緒じゃなきゃいけないの? 「早く食べなさい!」と急かされて、美味しさを感じますか? 生産者や時間をかけて作ってくれた人達への感謝を忘れていませんか?

「速く走れ!」と煽られて、今以上に頑張って走り続けられますか?

母親のお腹にいるときからゆっくりはぐくまれ、生まれ落ちた日からまたゆっくりと子供は心身ともに成長し、徐々に大人になってゆく…。

ある園長先生が言いました。
「ついこの前まで幼稚園児だった子に、貴方は今日から一年生だよ! と言って、直ぐになれる子供がいますか? 暗黙のルールを大人が押し付けているだけ。ランドセルを背負わせて、はやく一年生になりなさい!」
と。

それぞれ"はやさ"が違うだけ、終着点はみんな同じなのに。

子供たちに読み聞かせをすると、様々な感想が自由に飛び交います。大人のみなさんはいかがでしょう…。

あっという間に過ぎてしまう一度きりの人生を、自分らしく、大切な人達とじっくりゆっくり楽しく生きてみませんか?
(選者・コメント:きっころ)

8.『本が語ること、語らせること
著/青木海青子,発行/夕書房

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奈良県東吉野村にある「私設図書館 ルチャ・リブロ」。築70年の平家でご夫婦と長毛猫のかぼすと中型犬のオクラで運営している図書館です。

オーナーである青木海青子さん(元大学図書館司書)と青木真兵さん(古代地中海史研究者)のお二人が、身近な方から寄せられたお悩みや人生相談に、3冊の本でお答えした8つの記録とエッセイです。お二人が読み終えた本には沢山の付箋が貼ってあるそうです。紹介された本は勿論のこと、その付箋も読んでみたいと思いませんか。

なぜこの場所に、本屋ではなく図書館を作ったのか、さまざまな問いにこたえるように本が語っていますし、語らせています。部員さんに是非是非読んでいただきたい一冊です。
(選者・コメント:HAPPY弥生)

9.『読書の日記 本づくり/スープとパン/重力の虹
著/阿久津隆,発行/NUMABOOKS

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10月1日(日)めっちゃ暇。カレー仕込めばよかったなと思った。

本を読む人と、その生活。東京・初台の〈本の読める店〉「fuzkue」店主による、読書の喜びに満ちた圧巻の日記。全664ページ。登場する本は145冊。本が好きの方にはぜひ読んでいただきたい読書の日記です。

額に入れた絵画のような美しい表紙、厚さ5cmのハードカバー。このサイズ感や重さに覚えがある。もう一度手に持ってみて思い出した!

お弁当だ。

いつかfuzkueでこの日記に登場する本を読んでみたい(カレーも食べたい)。
(選者・コメント:あっこ)

10.『本屋という仕事
編/三砂慶明,発行/世界思想社

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本屋は焚火である

定有堂書店の奈良さんの言葉。

一冊一冊の本にはそれぞれの著者の熱が込められていて
それがまるで焚火のように読者を温めている

この言葉に私も温められている読者の一人であることに感謝。

全国の18人の書店員さん達が語る「本と本屋」のお話がつづられています。
本屋のお仕事への情熱が感じられます(個人的には売り場の棚作りのお話が面白かった)。

私も以前2年ほど郊外型の本屋で働いていました。本が好きで毎日本に囲まれて仕事ができれば幸せだと単純な考えで働き始めました。時代の流れに飲み込まれ本屋は閉じられてしまいましたが、短い期間だけど本に携わる仕事ができたことは、今の私にとても良い経験となっています。現役書店員さんの熱い思いを胸に、これからも読者として本に関わっていこうと思います。
(選者・コメント:伊万里のバタ子)


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