vol.98 季節のたより【手紙の助け舟】
こんにちは。
喫茶手紙寺分室の田丸有子です。
みなさん、春を楽しんでいらっしゃいますか?
今年は桜雨や花曇りの日が多く、私は、束の間、青空が広がるとウォーキングがてら近所をお花見しに行きました。桜には青空が似合いますね。
桜以外の花々も次々に咲き始めています。我が家のベランダも一日として様子が同じではなく、毎朝カーテンを開けるのが楽しみで仕方ありません。今は姫ライラックやスズランが咲き始めて良い香りを放っています。姫ライラックは2年目ですが、大したお世話もしていないのに昨年以上に美しくたくさん咲いています。その姿を見ていると、禅の言葉の「百花春至為誰開」が思い浮かびます。直訳すると春に咲く多くの花々は一体誰のために咲くのだろうという意味ですが、その心は、誰のためにも何のためでもない。ただ命のまま無心に精一杯咲く尊さや美しさを表しています。
冬を乗り越えたあとの花々には特別なエネルギーと清々しさが宿っているように感じ、感謝の気持ちが自然と湧いてきます。
さて、今回は季節の挨拶状についてお話しします。
冬は寒中見舞い、春は余寒見舞い、夏は暑中見舞い、秋は残暑見舞いがあります。旧暦に即しているため、今と季節が異なります。現代では、余寒見舞いは冬の終わりごろですし、残暑見舞いは夏の終わりごろですね。
日本人は季節が変わるごとにたよりを出して、相手の健康を気遣い、無沙汰解消に努めてきました。人との関係を大切にする心の表れを感じます。
特に長らくご無沙汰してしまった相手には、きっかけがないと連絡しずらいものですが、季節の挨拶状として出せば違和感を持たれることも少ないでしょう。
ビジネスシーンでも有効活用できます。受け取るお取引先やお客様に忘れられていなかった、覚えてもらえていたと喜んでもらえたら、その後のコミュニケーションもスムーズにいくでしょうし、何かのきっかけになるかもしれません。
季節の挨拶状はさりげなさが大事。文章もひとこと、ふたこと書くだけで十分です。息災にしているか尋ね、自分の近況も少しだけ書くと相手にとって嬉しいたよりになりますよ。
春の季節感が感じられる爽やかな葉書を使って、お見舞い状、ご挨拶状を書いてみてはいかがでしょう。
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