インタビュー原稿、迷った時のまとめ方
インタビュー取材の原稿をまとめるのは、難しい。
この1年ちょっと、仕事の中心がwebサイト向けの原稿執筆だった。そのなかで、知見というほど立派なものではないけれど、「こうすればいいのかな?」という、いわば経験値が少し貯まった気がするので、死んでレベルが半分になる前に、書き記しておく。
テーマは「インタビュー原稿のまとめ方」だ。
ただ、これは「正しい方法」ではない。どう書くべきか迷ったとき、自分なりに立ち返るポイントのようなものにすぎない。執筆する媒体や話を聞く相手、ライターの個性によって変わるだろう。身もフタもないことを言えば、正解など、たぶんないのです。
「知らない人」に向けて書く
取材した相手、話を聞かせてくれた人のことを、読む人は知らない。全体的にそういう考え方で書く。「誰もが知る有名人」だと思っていても、世代が違うと認識は異なる。「この人は、こういう人なんです」とプレゼンするイメージで書き進める。
書き出しは、よく考える
リード文を書く場合、原稿の書き出し、つまり最初の一文は工夫する。グッと読む人のハートをつかむ文章になるとベストだが、できないときは「『○○って結局、○○なんだよね』と語る○○学者の○○氏」という風に、話を聞かせてくれた人の印象的な言葉を持ってくる。少なくとも、地名や数字(たとえば年号)からは始めないようにする。
最初の問いは、シンプルに
一問一答形式のインタビュー記事で、1問目にとてつもなく長い質問を置いている記事を見かけることがある。たとえばこんな感じ。
ーー○○さんは『○○○○』という本で「○○は○○になるべきである」と主張されている一方で、『○○○』という楽曲では○○○○というメッセージを込めれられています。この点について、あらためてうかがいたいのですが〜
このパターン、(個人的に)読むのに疲れるので、できるだけ採らない。ただし、専門誌での記事や、話を聞いた相手が話を聞かせてくれたこと自体にインパクトがある場合は、その限りでない。
最初の答えで、インパクト
最初の質問に対する答えは、わかりやすいもの、話を聞いた相手(めんどくさいので、以下、インタビュイーとする)が簡潔に答えてくれたものを持ってくる。ただし「ーー元気ですか?」「○○:元気です」というような一般的な挨拶でなく、インタビュイーの個性が反映したやりとりにする。
記事の前半は、何をやっているか
前半は、インタビュイーがやっていることや、考えていることについてまとめる。記事を読む人は、インタビュイー自身や、その人が現在やっていることについて「ほとんど知らない」ことを前提として書く。ただし「いま、○○をやっています」ばかりでは微妙なので、なぜそれをやっているか、どういう課題があるかについても聞く。本筋とは直接関係のない「遊び」の問答が1、2あってもいい。
後半は、そこに至った経緯をまとめる
原稿の後半は、そこに至るまでの経緯や、その人の生い立ちについて聞いたやりとりをまとめる。ここからは、前半を読んでインタビュイーに興味を持った人のために書く。一見、本筋と関係がないような話題でも、前半で述べたことにつながる話が出ることもある。それも、こちらで触れる。
〆(しめ)の言葉は、かっこよく
インタビュイーの最後の答えは、印象に残るもの、もっと言えばインタビュー全体を象徴するようなものを選ぶ。取材では、インタビュイー自身、話しているうちに自分の考えがまとまっていく(ことが多い)ようだ。ゆえに、インタビューが終わろうとしているとき、ふと発せられた言葉が〆の言葉となることがある。(だから現場では、ギリギリまで録音を止めないようにしている)。
以上、ぼくがインタビュー原稿をまとめるとき、なんとなく意識している方法をまとめた。逆に言えば、このフォーマットを使うとボク程度の原稿はたやすくできるので、そこからアレンジしていけば、ボクなんかの何倍も素敵なインタビュー原稿が書けるだろう。
いかがだったでしょうか?(←一度つかってみたかった)