たちこぎライダー
ライターとして気づいたこと、考えたことをまとめています。
その辺にいる人に、話を聞いてみたというだけのシリーズです。
「呑み屋は女将が9割」シリーズ
これまでに書いたラブレターまたはラブレターの下書きをあげていきます。
わがままが許されるなら、お酒を呑む場では「情報」ではなく「体験」を聞きたい/語りたい。 たとえば宴席で、僕が「出身は滋賀県なんスよ」と言ったとする。……と、「滋賀県だと〇〇に美味しいラーメン屋さんがありますよね」と返ってくることがある。これは「情報」だ。距離感を保つ関係性であればこれでよいが、僕は「体験」まで聞きたい。「そのラーメン屋で知らないおっさんと口論になって、頭突きを食らわせました」。ここまでくると体験になる。話者の人間性が見えてくる。 せっかく呑んでいるのだから
なんと晴れやかな気分だろう。 約半年ぶりに、VIO脱毛をしてきた。つるっつるの、てっかてか。 「てっかてか」なのは、仕上げとしてオイルを塗られるからだ。 見た目からしてカッコよくなった。なんだか自分のモノではないみたいだ。 このところ仕事が立てこんでいて、精神的に少しばかり疲れていた。 するとなぜか「時間ができたらVIOの脱毛をしよう」という考えが頭をもたげてきた。 2019年に初めてブラジリアンワックスによるVIO脱毛を経験して以来、これまで半年~1年に1度の頻度でV
バーでは、誰もが己(おのれ)が心に秘めたプロジェクトを達成しようとしている。 近所に、カウンター席だけの小さなバーがある。 最寄りの駅を降りて徒歩数分。住宅街にさしかかる場所にあるので、客の多くは帰宅する前にもう1杯だけ呑んでいこうというひとり客だ。年齢層は20代~50代と幅広く、男女比は6:4くらいだろう。 僕はこのバーに通い始めて3年ほどになる。これまで会ったことのないタイプの人間と出会ったり、知らない世界の話を聞いたりしたい。いわば、これがバーにおける僕の「プロジェ
宮崎駿監督の大空への憧れは、飛行機への憧れとなり、ついには鳥へのコンプレックスとなった。 つまり『君たちはどう生きるか』は、鳥人間コンテストを描いた映画『トリガール!」とは異なる意味での「鳥コン」映画だったといえる。 一方で本作品に「血」にまつわるエピソードが何度も出てくるのにある種の驚きがあった。 時代の流れというか、少なくとも映画で描かれる世界においては「血はつながっていなくても家族になりうる」という潮流があるが、『君たちは~』は、その真逆をいっているからだ。 た
映画の展開をていねいに調べたら、ストーリーの作り方を学べるのでは。そう考えてまずは大好きな映画『男はつらいよ』(1968)からやってみた。 ※以下、本作のネタバレをおおいに含みます。 わかったこと主要な登場人物にはそれぞれドラマ(起承転結)があり、主人公から遠い人物から完結させている。 主人公の外側には、映画としての起承転結がある。 シナリオは、観客に疑問を抱かせないこと、ツッコミを入れさせないことが重要。ゆえに「勢い」は大事。(企画書やレポート作りにも通じそう)
先日『M−1グランプリ』を観ていたら、あるコンビが「お笑いはいいことがなかったヤツの復讐劇」だと言っていて、ふと思い出した。思春期のころ、モテなかったころの話だ。 中学2年のとき。放課後、ひとり昇降口(←懐かしい言葉)に行ったら、同級生の友達と、彼と付き合い始めたばかりの女子が楽しそうに話していた。 僕に気づいた女子が「ちょうど今、2人であんたの話をしてたとこやったんや。『面白い人や』って」と言った。彼女はもちろん、いい意味で言ってくれたんだけども、女子と縁のなかった僕は
つくづく、まちがえられない社会だな、と思う。 まちがえて会社を辞めた身なので、より強くそう思うのかも知れない。 まちがえることを恐れる。指摘されることを恐れる。だから、選べない。 「マンガの内容を解説する」動画がある。マンガを読むのとそんなに時間は変わらないと思うのだけど、まちがえたくない人たちは動画を見る。選んでくれるし、見方を教えてくれるからだ。人生に、まちがえているヒマなどないのだろう。 まちがえられない社会は、まちがえても突っ走るしかない人たちを産み落とした。具
昼の歌舞伎町は、平日ということもあってか、いつもより人が少なかった。 緊急事態宣言が解除されたあとも「夜の街クラスター」と名指しされては、仕方がないのかもしれない。クラブ(←飲むほう)に花を出すお店も、これまでなら回収した花や風船があちこちに置いてあったのに、ちょっと寂しそうだ。 そんな歌舞伎町のホストクラブ「愛」本店で、カフェ営業をやるというので、おっさんひとり行ってきた。カフェ営業は6月の土日のみ実施されてきたが、整理券が配布されるほどの大賑わいとあって、今週は月曜日
Webメディアの編集部あてに「こういう企画で書かせてくれませんか?」という企画書を作っているとき、ふと、ほかのライターはどうしているんだろう? という疑問が頭をもたげた。 以前、編集者をしていたときには、メールやメッセンジャに「地の文」で「こういうのを書きたいんですが」と打診してきたライターもいれば、わりときっちりと企画意図や構成案をまとめてくる人もいた。 他にもいろんなライターの企画書を見てみたいが、まずは自分のものを晒すのが礼儀だと思うので、公開しておく。 以下に示
就職氷河期(2000年)に母から届いた手紙が出てきた。 僕がかろうじて見つけた仕事は、「まずはバイトで」という条件だったため、手紙でも「就職」ではなく「働き口」という言葉になっている。 しかしその仕事も、2週間ほどで円形脱毛症になって辞めることになる。 大輔へ 働き口が決まっておめでとう この知らせは母の日の贈り物として受け取っています。 この前の電話で腹の立つことを言ったかもしれませんが 一人で頑張って疲れるより、家族に甘えて暮らしたほうが 楽かもしれないョという意味
かつて実家の母親から届いた手紙。今回は、僕が20歳になったときのもの。 手紙では「第三者」の話題が多い母の、真骨頂ともいえる1通だ。 大輔 20才の誕生日おめでとう。 【弟1】も2日に18才になりました。 こちらの桜は5日ごろから咲きはじめ、2~3日で満開になりました。 私は花粉症で鼻水生活を送っています。 【弟2】も無事入学式が終わり、人なみに通学しています。 お父さんは相変わらずです。おばあさんも……。 【いとこA】は北海道へ行き、【いとこAの親】たちは 毎晩のよ
押し入れから出てきた、20数年前に母から届いた手紙。 母からの手紙には、僕の話でも母自身の話でもなく、第三者の話題が多い。 お仕事がんばって! 5月12日ハナは目の手術をします。 逆まつ毛を抜きレーザーで焼くらしい。 ちょっと、かわいそう。 シンプル、かつ4分の3が犬の話題という大胆な構成。 仕事のことが書かれているので、前回の手紙から数年後、僕が22、3歳のころのものだろう。 大学を卒業するも就職先がなく、時折アルバイトをするだけの日々。数年間は甘えてお金を振り込ん
部屋のそうじをしていたら、20数年前の学生時代に女の子とか女の子とかその他にも女の子からもらった手紙が何通も出てきた。 それはそれとして、そのなかに母親が実家から食料や衣類を仕送りしてくれた際に同封されていた手紙(というかメモ)もあった。こういうの、捨てられない性格だから部屋が片づかないのだとつくづく思う。 大輔へ 保険証を送ります。 この前「食費が多い」と言ったけど、 薬代を払うことを考えれば、 健康で食欲のあるほうがずっといいので この言葉取り消します。 体に気をつけ
「はーい。釈由美子です」 この2年ほど、フリマサイトを眺めることを趣味にしている。こんなものがいつ出まわっていたんだ? とか、誰が買うのよこれ! と思わず声に出してしまうほどの珍品が格安で並ぶことがあるからだ。 半年ほど前に購入した「釈お酌」もそのひとつ。 たしか、かつて観光地でよくみかけたペナント数枚と合わせて、1000円だった。 「釈お酌」は、缶ビールをセットすると、釈由美子をかたどったフィギュアがグラスに注いでくれるというオモチャ。100通り以上のボイスが内
世間は暗いニュースばかり。しかも外出の自粛やリモートワークの広がりで運動不足になっている方も多いはず。 そこで「今こそ景気づけに自宅で踊っておきたい『8時だョ!全員集合』のオープニング曲」の振り付けを書き起こしてみました。 ご家族と、そしてひとりでエクササイズ代わりにお使いください。(間違っているところがあったらTwitterのほうへこっそりご指摘ください)。 1:長さん役の人が大声で宣言します。 2:その他の人は右手を突き上げます。 3:ステージに向かって駆けます
転職のとき受けた会社の最終面接で、会長からこんな質問をされた。 「これまでの人生で強く印象に残っていることを5つ、1分以内に挙げてください。……10秒経過」 いきなりカウントダウンが始まった。当時25歳。いわゆる圧迫面接のたぐいだ。だが僕は、まったく焦ることなくこれを乗り切った。それまでの人生で女の子にフラれた話を5つを挙げればよかったからだ。なんなら時間が余った。 あとで聞いた話によれば、会長が見ていたのは返答の早さ。だから、内容はなんでもよかったらしい。たくさんフラ