物件探しのいろんな壁
私とパートナーは現在、賃貸アパートに住んでいる。
結婚してから離婚後もずっと住んでいるので、かれこれ10年ほど経つ。
間取りは2DKで、二人暮らしには困らない程度の広さはあるものの、コロナ禍を経て、二人とも家で仕事をすることが多くなった。
普段はお互いの仕事スペースの間にある間仕切り(パーテーション)を閉めていたりするのだけど、部屋としてそれぞれ密閉される空間ではないので、オンラインでミーティングをするときなんかは、どうしてもお互いの音声が混じってしまうこともあり、それぞれ部屋がほしいねという話になった。
そんな流れで、引っ越しに向けて家探しを始めたのだけど、現在のアパートに入居した時の私たちと、今の私たちの置かれている状況の違いが思わぬハードルとなった。
私たちが現在のアパートに入居した時は、「(結婚予定の)男女の異性カップル」だった。
パートナーは外国籍だが(当時は永住権は未取得)、日本人・国籍である私が契約をすることで、すんなりと家を借りるができた。
その後、パートナーは性別を男性から女性に変更し、今は実質「女性の二人暮らし」となっている。
この状態で家を探すことは、異性カップルと比べて、圧倒的な壁が立ちはだかる。
家を探す際、「同性二人暮らし」というだけで、そもそも審査を申請できないケースはたくさんある。
家族やカップルとして見なされず、「ご友人とルームシェアですか?」と尋ねられることはざらにある。諦めてルームシェアで契約を進めようとしても、家族やカップルとして希望する間取りとは異なる間取りの物件を紹介されることもしばしばだ。
この国で家を探す時、結婚予定もしくは結婚した異性カップルが圧倒的に有利な立場にある。今のアパートを契約した時の当時の私には、見えていなかった世界だった。
私たちの場合は、気になる物件を不動産屋さんに問い合わせると、「この物件の大家さんは、同性同士だと厳しいかもですね」「この会社の物件だと、そもそもアウトですね(申請すら受け付けない)」と言われることが多々あった。
え、それって、明白な差別じゃんって思うものの、それがまかり通っていてブラックボックスとなっているのが実態だった。
この出来事を受けて、差別をする大家さんのブラックリストを作りたいと本気で思ったし、差別をする大家さんはこちらから願い下げなので、入居者が審査されるだけでなく、入居者側が大家さんを審査する仕組みがあっても良くない!?と思ったりした。
「対処法」として不動産屋さんが私たちに提示してきたのが、家族や親戚など信頼できる&協力してもらえる男性の名義を借りて、その人と私が二人暮らしをするという契約を行う、というものだった。ただ、実際にはパートナーと私が住むので、大家さんにバレないように暮らさないといけない。集合住宅の場合、お隣さんにも怪しまれないようにしないといけない。
大家さんと密な関係を作らなくても住める物件であれば、そこまで気にしなくてもよいかもしれないが、そんな気苦労をしてまで引っ越しをするのはあまり前向きにはなれない。
そもそも、なぜマジョリティのやり方に合わせないといけないんだろうと思うし、逆にその方法に甘んじて迎合してしまえば、私たちの存在はないことになる。ここで私たちが、この関係性をオープンにしたまま契約をできなければ、これから同性同士で一緒に暮らしたい人たちにとってさらに生きづらい社会を再生産することになると思うと、その「対処法」を選択することは論外だった。
ちなみに、LGBTフレンドリーの物件紹介サイトも最近は増えてきている。
そういったサイトも色々と見てみたものの、そこで紹介されている物件は、家賃が激安のだいぶ築年数が経ったアパートか、家賃が激高のかなり盛えたエリアにあるマンションであることが多く(借り手が現れにくい物件は、LGBTもOKとしているのだろうなという推測)、私たちが希望する物件の価格帯や広さに合うところはなかなか見つからなかった。
そんなこんなで、物件探しの壁にぶち当たることを繰り返し、「もう引っ越さなくてもいいっか」と諦めモードに入っていたときに、LGBT向けの賃貸・物件購入を紹介する会社を見つけて相談することとなった。実際にその会社へ訪問・相談してどうだったか、感じたことなど、次回報告しようと思います。
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