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チアリーダーになりたい!女性の心理

昨日は朝から晩まで1日テレビの前で過ごしてしまった。

原因は先月Netflixがリリースしたばかりの七話完結ドキュメンタリーシリーズ 
America's Sweethearts:Dallas Cowboy Cheerleaders
NFL(アメリカのプロフットボールリーグ)の中でも最もアイコニックなチームの一つであるダラス・カウボーイズ。実際にプレイする選手同様注目されるチーム専属のチアリーダーたちに焦点を当てた番組。

まずは、そもそもなんでここまでしてDCC(ダラス・カウボーイズ・チアリーダー)になりたいと思うのか、女性たちの心理に興味を持って引き込まれた。

今回はじめて知ったのだが、彼女たちはチームから大した給料をもらっている訳ではない。インタビューに答えていたある元チアリーダー曰く、Chic-fil-A (チキンサンドに特化したアメリカのファストフードチェーン)の店員としてフルに働いた場合の賃金と変わらない程度しか貰えないらしい。

生活していくためには別の仕事と掛け持ちするのが普通で、女性たちの多くは大卒、中には会計学の修士号を取得している者もいる。チアリーダーとしての任務だけでもフルタイムの仕事に匹敵する義務(体にぴったりフィットするユニフォームを着こなすための体型と美貌の維持)と責任(フィールド上でもフィールドの外でもフットボールファンを盛り上げていくためユニフォームを身につけている間は笑顔を絶やさず人々を気持ちよく楽しませるという)が課せられるというのに。

ダラス・カウボーイズというアメフトチームは日本のスポーツチームに例えるならば読売巨人軍の様にお金があって固定ファンも多い。シーズン中のチームの成績に関係なくある程度の観客動員数は見込める。チームの成績が良くスーパーボールまで行き着くことができればホームゲーム数も増え、更に巨額な収入を得られる。お金がない訳ではない。

重労働の割に低賃金であっても、子供の頃からダラス・カウボーイズのチアリーダーになる事を夢見てオーディションに申し込む女性は後を絶たない。母と娘、姉と妹と代々同じ家族のメンバーからチアリーダーが輩出されることも珍しくない。ただでさえアメリカで育つ多くの女の子は皆、心のどこかでチアリーダーという存在に憧れている。アメリカの中学や高校では1番可愛くて人気のある女の子達がチアリーダーに選ばれる。学校というヒエラルキーの頂点なのだ。

憧れの存在になりたいという女性の心理を企業側は上手く利用している。今のご時世、普通の企業内であったら「モラハラだ、パワハラだ」と訴えられかねない行いが平気で罷り通っている。全てはDCC(ダラス・カウボーイズ・チアリーダー)であるために、と女性たちは歯を食いしばって耐える。女性たちの横の繋がりも重視されていて、他のチームメイトから信頼され尊敬されるメンバーはチームリーダーとして一段高い地位を与えられる。これもお互いがお互いを励まし合って企業側に不満の矛先が向かわないための防御策に見える。

「こんな事を言うのは不本意だけど、もし私がもっと身長が高く、美貌に恵まれ、ダンスの才能があったならダラス・カウボーイズのチアリーダーになりたいと言い出していたかもしれない。」恐ろしい事に、このシリーズを観なが私は夫にこう口走っていた。

私もおかっぱ頭の幼女だった頃、「大きくなったら何になりたいの?」と大人に訊かれると、その時々で答えは変遷したが、スチュワーデス(敢えてCAではなくこの言葉を使わせてもらう)、バレリーナ、アイドル歌手…とキラキラ輝いている存在にばかり憧れていた。

身長は低く、美貌にも恵まれず、ダンスの才能もなくて良かったとそっと胸を撫で下ろす。

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