基本が大事
夫はゴルフのインストラクターで、この40年間アマチュアからトッププロまであらゆるレベルのゴルファーに指導を行ってきた。有名なところではタイガー・ウッズやアーニー・エルスなどのインストラクターを務めた経験もある。
日本でも少しずつレッスンを開始し、その都度私は通訳として同行する。
昨日はYさんの2回目のレッスンだった。1回目のレッスンで夫の指導に感激したYさんは2回目のレッスンにパートナーの女性Mさん同伴で現れた。
もちろんYさんメインでレッスンは進んだが、Yさんが少し休憩に入った時に夫は隣の打席で練習しているMさんの姿をじっと観察した。
「私のスウィングどうですか?」
と尋ねる彼女。
"Everything is good except for one thing(全ていいんだけど、一つだけ…)"
と言いながら夫は彼女に近づいて彼女のグリップ(ゴルフクラブの握り方)を直した。
修正したグリップで打った一球目はさして飛ばなかったが、続けて二球、三球と打っていくうちに本人もびっくりするくらい飛ぶようになった。
「スウィングのフォームはどうですか?」
という彼女の質問には
"I said everything is good except for one thing.(問題は一つだけと言いましたよね)"
と答え、夫はそれ以上アドバイスしなかった。
その後、隣でレッスンを受けているYさんが焦り始めるくらい彼女はナイスショットを連発していた。今までレッスンを受けずに独学でゴルフを続けてきたMさんには変なクセがつくことなく、自然な動きをしていたことが幸いしたのだろう。
今まで夫の指導風景を数多く見てきたが、彼の指導はいたってシンプル。基本の姿勢とグリップを守って物理に則った動きをすればボールは飛ぶ。彼の指導者として最も優れているところは何も見逃さない観察眼。基本から逸れている箇所を見抜き、そこを修正するだけでプレーヤーは上達する。
基本が守られていないと、それを補うために不自然な動きが必要となる。その結果、スウィングの乱れやひどい時には体の故障につながる。
Keep it simple
が夫のモットー
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