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親離れ、子離れ、時は流れ

昨日の朝、珍しく夫の息子から夫に電話があった。二人が電話で話すことはそう珍しく無いのだが、息子の方から電話してくる事は稀だ。

夫には彼がまだ故郷南アフリカで暮らしていた頃に生まれた42歳になる息子がいる。夫はその息子がまだ5,6歳の頃に離婚。息子の親権をめぐって元妻と争ったが裁判所の判決は母親に有利なものだった。ほどなくして夫は仕事のためドイツに移住した。

一方、幼い息子は母親より父親に懐いており、父親との別離を深く悲しんだ。学校が休暇に入る度にドイツにいる父親を訪れていた。18歳になると同時に南アフリカを離れ父親のいるドイツ(EU)に移り住んだ。夫がまたもや仕事のためドイツからアメリカに移住した際にも息子は父親を追いかけるようにアメリカに渡った。しばらくは夫と共に暮らし、彼の仕事を手伝っていた。

子供の頃父親と共に過ごせなかった時間を十分取り戻した後は段々と父親の存在が煙たくなったのだろう。親離れがどんどん進み、息子はアメリカ人女性と結婚し、子供も2人生まれ、夫も住んでいたテキサス州からコロラド州に移り住み、数年前にはアメリカ市民権も取得してアメリカ人となった。

そして、昨日の電話。切った後、夫は
「珍しく向こうから電話をかけてくるとは、母親の相手をするのが相当ストレスだったんだろう。」
となにやら嬉しそう。

南アフリカから母親(夫の元妻)と彼女のパートナーが息子一家を訪れていたらしい。一家はちょうど家を住み替えたばかりで完全に引っ越しが済んでいない状況。そこに海外から客人が来たのだから大変だっただろう。息子は夫に少し愚痴をこぼしたかったのかもしれない。

母親とそのパートナーが息子の家族を訪問する回数が最近増えているような気がしたので夫にそう言ったら彼の読みはこうだ。

「南アフリカの情勢は悪化するばかりだ。恐らく息子を頼ってアメリカに移住することを考えているんじゃないか。」

もしそうなったら息子から夫に電話がかかってくる回数は増えるかもしれない。

親心、子心、悲喜こもごも。

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