ちょうど一年前の今日
この家に入居した。
メキシコから外国人の夫と共に帰国して1ヶ月も経たない内に見つけたこの家。そもそも新築は高いから中古の家を探そうと予算に見合った中古物件をネットで幾つかピックアップして不動産屋に問い合わせた。
この近所にあった中古物件を見に来た時、夫が新築の建売物件が10軒ほど立ち並ぶ一角を見つけて興味を示した。不動産屋はすぐにハウスメーカーに連絡して見学の手配をしてくれた。それまで中古物件ばかり見てきていたので新築の家はそれだけで良く見えた。川に面していて、しかも川の向かい側は公園という立地も気に入った。
問題は、当初予定していた予算を上回る金額。我々は自宅だけでなくエアビー用の物件も合わせて二軒買おうと考えて予算を組んでいた。一軒だけ買うのであれば買える金額だった。この家をとても気に入ってしまった我々はとりあえずエアビー用物件については先送りにすることにした。
それでそのまま提示された金額を受け入れるような夫ではない。夫は日本語が全く喋れないので不動産屋とのやりとりは全て私が担当していたのだが、夫は私に値段交渉するよう指示を出した。しかもかなりの値下げ額で。大手ハウスメーカーが建てた新築建売を値切るという発想が私にはなかったので躊躇した。しかし、夫は
"Do it!"
と言い張った。
不動産屋に値段を下げてもらえるかメーカーに交渉してくれと連絡した際に、不動産屋からも
「メーカー側はそもそも値段を下げたばかりなので更に下げさせるのは厳しいと思いますが…とりあえず聞いてみます。」
と言われた。
結局、我々が要求した値下げ額の半分までなら下げられるという回答を得た。不動産屋はメーカー側が値下げするとは思っていなかったので少しびっくりしていた様だ。しかし、その電話を受けて、私はまず夫がそれでは不満だから再交渉しろと言い出すのではないかと言う不安が脳をよぎり、不動産屋は私の生半可な反応に
「もうちょっと喜んでくださいよ!」と少し本気で抗議してきた。
結局、夫はメーカーに更なる金額低下を要求したがっていたが、私が既に精神的に参っているのを見て諦めてくれた。
売買契約を結ぶ際、メーカー側から値段を下げたことについては他言しないと言う誓約書にサインさせられた。
最短の入居可能日、2023年の10月12日に晴れてこの家の住人となった。
今では夫も
"We got this house for a good price.(この家はいい値段で買うことができた)"
と満足気に人に話している。