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豆が欲しかったのに

夫は毎朝La Pavoniというイタリア製手動エスプレッソマシンで美味しいエスプレッソを淹れてくれる。コーヒーはAmazonで豆の状態のものを購入して使う直前にグラインダーで必要な分だけ挽いている。

ここ一年ほど気に入って購入していた豆は日本国内でローストされているエスプレッソ用ブレンド。Amazonなので、過去に購入した商品はBuy Againをクリックすれば簡単に同じ商品を注文できる。

数日前の朝、夫が
「今朝は豆がないからスタバに行くしかない。」
と言った。私は2日ほど前にAmazonから届いた新しい珈琲豆の袋を箱から出した記憶があったので
「そんなはずないわ。新しい豆が届いたばっかりじゃない?」
「見てごらん。」
と夫が差し出した袋の中身は既に挽いてあるコーヒーだった。しかし、袋に書かれている文字は『コーヒー豆(ホールビーン)』。ご丁寧に英語でも"Roasted Whole Coffee Beans"と書かれている。今まで注文したコーヒー豆と同じ袋。

これは店舗側の間違いだろう。工場で働いている誰かが豆用の袋に挽いたものを入れてしまったのだろうと想像した。彼らの間違いに「あぁ、お気の毒に」とその瞬間同情すらした。

すぐにAmazon経由で店舗に連絡した。袋と中身が一致していない事を示す写真も添付して状況を説明する内容の文面を送信した。

程なくして店舗から来た返事に驚いた。
「あなたが注文したコーヒーは挽いてある状態のものです。ホールビーンズを入れているものと同じ袋を利用しているので袋に書かれている内容と中身は一致しません。」
店舗としてはこちらが注文した(誤って)商品を送ったのだから自分たちには落ち度がないというスタンスだった。

コーヒーはいつも夫が注文しているので、夫の注文履歴を確認してみると確かに商品名にはground coffee(挽き豆)という文字が含まれている。しかし、商品の写真はいつも注文している豆と同じ赤いパッケージの写真。

夫はいつもBuy Againをクリックしているだけなので、Amazonのシステム上の問題だったのかもしれない。或いは夫がいつもと違う経路から商品ページにたどり着き、パッケージがいつも注文しているものと同じだという事だけ確認して商品名を見ずに購入ボタンを押したのかもしれない。

いずれにせよ、夫は一言
"They've lost a customer.(彼らは客を失ったな)"
と吐き捨て、早速他の店舗から別の銘柄のコーヒー豆を注文した。

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