初めての競馬観戦
30年前に宮本輝の「優駿」を読んだ頃から競馬には興味があったが、実際に競馬場で観戦した事はなかった。つい最近、早見和真の「ザ・ロイヤルファミリー」を読み、再び競馬に興味を持った。
東京競馬場は我々が住む八王子からそう遠くない。他の国の競馬は色々と観戦したことがある夫も日本の競馬場がどんなものか興味を示した。せっかく行くのなら大きなレースがある時に行ったほうが面白いかと思い、秋の天皇賞が開催された昨日競馬場見学を決行した。
G1レースが開催される日はネットで前売り入場券を購入する必要があるとたまたま競馬場の事を少し予習しておこうと検索して知った。何も調べずに競馬場に向かっていたら入場すらできずに引き返すしかなかっただろう。スタンドでレースを生で観戦するための席は全て指定制で、入場券を購入した時点で既に全て売り切れていた。
京王線府中競馬場正門前で降りると競馬場に向かう人の波が入り口まで続き、その先に見える競馬場の建物の周りや各階のバルコニーからも人が溢れていた。意外だったのは若い人の多さ。競馬というとくすんだ色の服装に身を包んで競馬新聞を小脇に抱えた中高年のオッサンのイメージがあったのだが、それはかなり古い認識だったようだ。辺りを見回しても20代の男女が多いと感じた。1人で黙々とパドックの馬と競馬新聞とスマホの画面を交互に見ながら真剣にベットを入れている若い女性を何人も見かけた。
我々はあまりにも勝手がわからなかったので会場を歩き回っている案内係のお姉さんに色々と教えてもらった。メインインフォメーションに行けば英語の案内書や賭けるためのマークカードももらえて至れり尽くせりだ。JRAとしてはたくさん賭けてもらって儲けたいから当たり前なのだが。我々は迂闊にもキャッシュを持っていくのを忘れて、館内唯一のATMがあるセブンイレブンには長蛇の列だったので賭ける事を断念した。
スタンドからレースを生で観戦できないのであれば、パドックでサラブレッドを間近で鑑賞しようと、馬がよく見える立ち位置を陣取り、メインレースを含む6レース分の予測をして遊んだ。メインレースの天皇賞に出走予定の馬がそれぞれの騎手を背にレーストラックに向かって消えたタイミングでレース直後の混雑を避けるため帰路に着いた。
入場料500円でかなり楽しめた。夫がパドックで高く評価した馬の殆どはレースでも成績が良かったので実際に賭けていたならば儲かった筈だ。そんな取らぬ狸の皮算用をしながら競馬場を後にした。天皇賞のレースが開始する前に出発したので、後からネット速報で結果を確認し、その後YouTubeで実際のレースの映像を確認した。最初は後ろから2番目あたりで控えていた武豊が騎乗した7番ドゥデュースが最後の直前でどんどん他の馬を抜いていった走りは圧巻だった。
そういえば、夫とつきあいはじめの頃、
"How do you know you want to be with me?(何故私と一緒にいたいと思うの)"
と小っ恥ずかしい質問をした事がある。
"Just like you can tell a good horse by just looking at it, I knew you were the one just by looking at you(いい馬、よく走る馬がパッと見で分かるように、君を一目見ただけでコイツだってピンと来たんだ)"
なんて言ってたっけ。
また2人で馬を見に行く事になりそうだ。