『てくてく通信』 180号(2023.9.7)

 5年ぶりに本を出版しました。

 『インタープリターズ ガイドブックー意味の探究を促すガイドの技術ー』


 1994年に出版された『インタープリテーション入門──自然解説技術ハンドブック』(日本環境教育フォーラム監訳、小学館)の改訂版です。

 インタープリテーションは今や自然解説だけではなく、タイトルを原題のままにとしました。時代が変わりました。そう、インタープリターとはインタープリテーション的なコミュニケーションを行っているすべての人を指しています。

 例えば、歴史遺産を対象とする国立公園や動物園、水族館、植物園、ワイナリー、地ビール工場、チーズ工場、チョコレート工場、農家の直売所や道の駅、レストランやイベント、マーケティング、そして学校や森のようちえんの先生、行政で働く公務員・・・とキリがなく、人と関わるすべての人が身につけておくと役に立つコミュニケーション手法だと思います。

 何で私が? 私は自然ガイドじゃないから関係ないと思わないでください。損をしますよ。(この表現が関西人)

 ぜひ、以下の紹介を読んでみて、自分にとって意味があると感じたらしっかり読んで、自分のものにしてください。購入方法は以下にご案内しています。もしくは、近くの図書館にリクエストしてみてください。そして、周りの方々に広めてください。皆さんが提案しているモノやコトのリピーターを増やすためにも。

 また、インタープリテーションの研修も再開して行こうかと思っています。私が初めてインタープリテーションワークショップをしたのは1994年でした。その後も声をかけていただき、様々な場所で実践しながらバージョンアップしてきました。もちろん、これからはこの本をテキストとしながら、皆さんのニーズに合わせた内容にして。声をかけてください。

 COVID-19も再び感染拡大していますね。できるだけ野外で感染を防げるやり方で実施してゆきたいと思います。研修は決して室内で行うだけではないはずです。野外で、日中に行うと照明や空調にかかる電気の節約にもなりますから。そして、何より学びが深まります。

 前訳の『遊びながら野外で学ぼう 野外で算数』も発売中です。この『野外で算数』をお持ちの方は、今回の『インタープリターズ ガイドブック』は伝え方、指導の方法や考え方を紹介した内容です。2冊セットでいかがですか?

 今回は、さらにもう1つワークショップの案内もしています。こちらもお勧めです。
『スウェーデン流!『子どもの視点に寄りそう野外の学びをデザインする』
   (子どもたちの学びの可能性を広げる教材開発ワークショップ)
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【もくじ】


1 新刊紹介
 『インタープリターズ ガイドブックー意味の探究を促すガイドの技術ー』
  を翻訳出版しました。

2 参加者募集
 スウェーデン流!『子どもの視点に寄りそう野外の学びをデザインする』
   (子どもたちの学びの可能性を広げる教材開発ワークショップ)
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1 新刊紹介


 『インタープリターズ ガイドブックー意味の探究を促すガイドの技術ー』
  を翻訳出版しました。

本の紹介として『てくてく通信』特別に「訳者まえがき」をご紹介します。

訳者まえがき
 本書『インタープリターズ・ガイドブック』は、1994年に出版された『インタープリテーション入門──自然解説技術ハンドブック』(日本環境教育フォーラム監訳、小学館)の改訂版です。94年版の原著はアメリカで出版された『The Interpreter’s Guidebook(Third Edition, 1994)』ですが、その後2015年に内容が大幅に加筆・修正された第 4版(Forth Edition, 2015)が本国で出版されたのを受けて、新たに翻訳・編集を行い、日本語版の新しいタイトルで出版することになりました。

 94年版の『インタープリテーション入門』と比較すると、改訂版の本書ではページ数が 100 ページ以上増え、内容がより詳細に書き加えられ、著者たちのおよそ20年間にわたるインタープリテーションの実践が盛り込まれたものになっています。例えば、第1章「インタープリテーションのルーツ」で取り上げられている、人々を導くガイドとしてのインタープリテーションの発展の歴史や、第2章の「意味を中心としたインタープリテーション」といったアイデアは、新しく書き加えられた内容です。他にも、随所に新たなアイデアや最新の状況に合わせた記述が加え られており、前回の日本語版に慣れ親しんでいる方も、新たな視点でこの本を手に取っていただけるのではないでしょうか。

 本書を初めて手に取る方にとっては、「インタープリテーション」という言葉は馴染みがないかもしれません。本来の意味としては「通訳」を指し、インタビューなどの通訳者は「インタープリター」と呼ばれます。同時に、「インタープリット(interpret)」という語句には「読み解く、解釈する」という意味も含まれています。しかし、本書で取り上げているのは「ヘリテージ・インタープリテーション」、 つまり自然や文化の遺産(ヘリテージ)を読み解き、人々に伝えるという専門的な役割についてです。自然や文化が語りかけるメッセージの通訳者として、人々にわかりやすく伝えるというガイドの手法や考え方は、アメリカの国立公園を中心に発展してきました。国立公園という形で私たちの遺産を保護し、自然や文化の景観を後世に残そうとする取り組みの中で、そうした資源が持つ本質的な価値を人々に伝えることの役割を、インタープリターという専門職が担ってきたのです。

 しかし、インタープリテーションとは単に、自然や文化に関する知識や情報をわかりやすく伝えるだけでも、それによってビジターを楽しませることだけでもありません。人々は、何らかの「意味」を求めてその場所を訪れるのであり、そうした意味の探求を促すことがインタープリテーションの目的だとしています。本書では、意味を中心としてインタープリテーションを捉え(第 2 章)、何らかのテーマに沿ってプログラムを作り上げていくための段階的なステップが紹介されています(第 3 章)。また、ビジターとの具体的なコミュニケーションの方法や(第 4 章)、メッセージを効果的に伝えるための実践のテクニックが数多く盛り込まれています(第 5 章)。さらに、聴衆を相手にしたトークやプレゼンテーション(第 6 章)、フィールドを移動して案内するガイドウォークやガイドツアー(第 7 章)、プログラム以外の自発的な状況でのビジターとの関わり(第 8 章)など、インタープリテーションのさまざまな場面におけるアプローチや実践例を取り上げています。

 本書で扱うインタープリテーションの考え方は、国立公園やネイチャーセンターなどで行われている自然解説プログラムだけに当てはまるものではありません。他にも、博物館や美術館、動物園や水族館、または観光や地域づくりの分野で活動する方々にとっても、参考になるアイデアだと考えています。単に伝えたい情報やその場所の魅力を一方的に伝えるのではなく、訪れた人々がさまざまな資源を自ら体験し、そこから自分なりの意味を見出せるようにするためには、どのような働きかけが必要なのか。人を迎えるすべての人にとって、ガイドの実践に役立つさまざまなアイデアやテクニックが、この本には詰まっています。

 さて、ページをめくり、インタープリテーションの旅へと出かけましょう。この大いなる旅は、インタープリテーションのルーツであるガイドの起源、つまり私たちの遠い祖先の物語から始まります。
山本 風音

 販売はオンラインで行っています。以下のホームページの「本を購入する」ボタンから先へお進みください。本の詳細や目次なども紹介しています。

https://learningoutdooredu.wixsite.com/home/interpretation

 翻訳は2016年の夏に著者との出会いで始まりましたが、COVID-19パンデミックで家から出られない間、パソコンの画面を見る毎日でしたがようやく皆さんの手元に届けられるようになりました。翻訳は次男の風音が行いましたが、翻訳だけでなくデザインから契約、印刷所の入稿まで、全て風音が一人で行いました。私は監訳としてサポートを行い、長男の草も文章のチェックを行いながら家族DIY出版となりました。ぜひシェア・拡散にご協力ください!

 オンラインで購入するには2通りの方法があります。
 ネットショップStoresを利用する方法と、ホームページのメールフォームから直接注文し、銀行振込でお支払いする方法です。
 どちらの方法も、私たちラーニングアウトドアのメールアドレスに通知が届き、そこから発送作業に入ります。発送も自分たちで行っているので、早めの発送を心がけていますが、場合によっては時間がかかったり、不手際もあるかもしれません。何かお困りや不明な点があれば、いつでもご連絡ください。
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2 参加者募集


 スウェーデン流!『子どもの視点に寄りそう野外の学びをデザインする』
   (子どもたちの学びの可能性を広げる教材開発ワークショップ)

 スウェーデンから、マリアさん、阿久根さん、そして北海道&京都からファミリー山本! 合計5名の講師をお迎えしての超ぜいたくな2日間連続講座!(土曜夜からスタート)

 詳しくは以下のホームページをご覧ください。
  https://morinos.net/events/9791/

<呼びかけ>
  アクティブラーニング、体験学習、プロジェクト授業、野外実習などなど、子どもの興味関心に寄り添うフレキシブルな学びの場づくりや、野外空間を活用した学びの場づくりの必要性が高まってきています。

 そうしたスタイルでの学びの良さは分かりつつも、いざ学校現場等で実践しようとなると、ふと困ってしまうことも多いのではないのでしょうか?

 そこで、フィールドベースの教材開発をテーマに、岐阜県立森林文化アカデミーのフィールドを使って、参加者1人ひとりが自分の教材を作ってみるワークショップを開催します。

 ややもすると、教材開発では対象者の状態やニーズを考えず、指導者にとって求めているものを中心に考えてしまいがちです。でも、教材開発で最も大切なのは、対象者の興味や関心、特性に合わせることと、野外も含めて最適なフィールドを選ぶです。この二つが揃わない限りは、いくら素晴らしいアイディアに溢れた活動でも、相手にとってつまらない、学びのない教材になってしまいます。今回のポイントはこの2つの視点をしっかり学ぶワーク
ショップです。

日 程:2023年10月28日(土)19:00~21:00 & 29日(日)9:00~17:00 2日
    連続
場 所:岐阜県立森林文化アカデミー(岐阜県美濃市曽代88)
    テクニカルセンター A棟 及び周辺の自然
定 員:30名程度(先着順)
宿 泊:遠方の方で、アカデミー内コテージ宿泊をご希望の方は10名まで受 
    付可能。希望者が多い場合は遠い方から優先にご案内します。
    (宿泊には、別途1,100円がかかります。)
対 象:野外で授業実践を目指す方
参加費:15,000円(保険代、2日目昼食代含む。当日受付にて現金でお支払
    い下さい)
主 催:みのインタープリタークラブ & morinos 連携開催。
共 催 : NPO法人当別エコロジカルコミュニティ、合同会社ラーニングアウ
    トドア
講 師:Maria Hammarsten(ヨーンショッピング大学学びとコミュニケーシ
    ョン学部教員養成課程教員)
    阿久根佐和子
    山本 幹彦(NPO法人当別エコロジカルコミュニティー)
    山本 草 (NPO法人当別エコロジカルコミュニティー)
    山本 風音(合同会社ラーニング・アウトドア) 
      以上3名「ファミリー山本」
ホスト:萩原・ナバ・裕作(森林文化アカデミー&morinos 教授)
申込み:以下Googleフォームにてお申し込みください。
    申込み完了後、自動的に申込書コピーが送信されます。その時点で 
    参加が決定となります。アカデミー内での宿泊可否については後日
    調整させていただく可能性もあります。開催前に参加決定者向けに
    詳細情報をお送りします。連絡がない場合はお問合わせ下さい。

https://forms.gle/a38ivHVjEkFC4SPWA

問い合わせ:090-9239-9187(萩原) or navanava@pop02.odn.ne.jp (萩原)まで。

<発行元>-----------------------------------------------------------------
NPO法人 当別エコロジカルコミュニティー(TEC)
発行責任・編集:山本 幹彦
〒061-0206 石狩郡当別町川下754
tel 0133-22-4305 
E-mail:tectec_ee@yahoo.co.jp
ULR:http://tectec-ee.wix.com/website
Facebook:https://www.facebook.com/ecological.community



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