ナターシャと星のなみだ
ナターシャのなぐさめは、ベッドからながめるみずうみのようすでした。
おおきなお屋敷の二階の部屋からは、ひろびろとしたみずうみぜんたいを見わたせます。
秋から冬へと季節がかわろうとするころ、ナターシャは病気の療養のためにみずうみのほとりにたつ、このお屋敷にやってきました。
みずうみには毎日のように北の国からわたり鳥がやってきます。旅のとちゅうでからだを休めにおりてきては、ほんのなん日かをすごすと冬のすみかのある南の国へと飛びたってゆきます。
そのようすはナターシャのお家のあるおおきな街のいそがしい飛行場を見ているようでたいくつしませんでした。
夕がた、ナターシャはいつものようにじっとみずうみを見つめていました。そのとき目のはしをなにかがざあっと、よこぎるのが見えました。ひとみをむけると、まっ白いつばさをもったおおきな鳥たちが、みずうみにおりたつところでした。
「もう白鳥のむれがやってきたんですねえ」
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