アオイのハサミ
アオイはハサミでものを切るのがすきでした。
紙を切ります。
お兄ちゃんのあまりてんすうのよくないとうあんようしを切ります。
ザクザク。
シャキシャキパララと、とうあんようしはバラバラになりました。
「うまくつなげたら百てんに見えるぞ!」
よろこぶお兄ちゃんのことなど、きにもとめずアオイはべつなものを切ります。
カーテンを切ります。
ザクザク。
パタパタハララとぬのがゆかにおちて、かさなりました。
するとちょうど夕日の光がさしこんできました。その夕日がまぶしかったのでその光を切ります。
ザクザク。
バリバリパリリと夕日の光はこぼれておちてきえました。
夕日をおいかけてあそんでいた三日月が、そのハサミの切れあじにおそれをなして、そそくさと山のかげににげるようにしずみます。
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