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三びきのサイ
いぶきの家の庭には三びきのサイが住んでいました。けっしてひろい庭ではないし、おおきな池があるわけでもありませんが、三びきのサイは、いぶきの家の庭でなかよく暮らしています。
一ぴきは金のかんむりをのせています。
一ぴきは銀のかんむりをのせています。
一ぴきは黄色の花かんむりをのせています。
いぶきは三びきのサイのことをそれぞれにすきでしたが、なかでも金のかんむりをかぶっているサイがお気に入りでした。金色にかがやくかんむりがきらきらとかがやいていたのもありますが、なにより秋になると、とびきりすてきなにおいをはなつのです。
いぶきは金のかんむりのサイにいいます。
「あなたは秋になるととてもよいにおいがするから、好きよ」
金のかんむりのサイは、いぶきをせなかにのせて、うれしそうにゆれました。いぶきはサイのツノをなでます。みためよりもごわごわしていてところどころひびもわれています。
いぶきはおじいちゃんのしわくちゃの手のひらをおもいうかべました。ベッドにねているおじいちゃんもすてきな匂いがすればいいのにな、とおもいました。おじいちゃんはときどき、病院にいったときのにおいがして、いぶきはすこしこわいきもちがするのでした。
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