ディノコレクション
スーは、おおきな骨のひょうほんを、ぽかんと口をあけてみあげていました。そのあとぎゅっと口をむすびなおします。しばらくして、口をひらき、せんげんをしました。
「わたし、恐竜になる!」
スーは、そのときから恐竜になりきりました。りょうてをすこしちぢめて、こしをまえかがみにおろします。そして、まわりににらみをきかせ、のっしのっしとあるきます。
スーがみあげていたのは、ティラノサウルスの骨格ひょうほんです。そのティラノサウルスはスーとおんなじなまえでした。だから、スーもこんなふうに思ったのです。
「わたしも、ティラノサウルスみたいにおおきくてかっこよくなるんだわ!」
「スー、なにやってるの!」
博物館にいっしょにきていたマリアは、スーのへんなかっこうをやめさせようとしましたが、スーはがんとしてききません。
「わたしはティーレックスよ! じゃましたらくいちぎっちゃうんだから!」
マリアは、やれやれ、というかおをします。スーがなにかになりきるのは、なれっこです。うさぎやちょうちょやまほうしょうじょ、フィギュアスケートのせんしゅ、とまねては、すぐにあきてしまいます。
でも、こんどのまねっこは、スーのおきにめしたようで、なかなかおわることがありませんでした。学校へのゆきかえりもティーレックスあるきをします。
「やーい、バカがいっぴきあるいているぜ」
おとこのこたちのひやかしにもめげません。
がおーがおーとかみつくそぶりで、おとこのこたちもにげだすくらいです。
そんなスーの耳もとにこんなつぶやきがきこえてきました。
「ティーレックスってそんなかなあ」
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