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重み付き毛布からスタートして77億円企業へ:顧客との対話から生まれた成功story
トロントの2人の若者が4,000ドル(64万円)の資金から4年で77億円規模のビジネスを構築した驚くべき成功物語をご紹介します。Aaron SpivakとLior Ohayon は、重み付き毛布のビジネスを立ち上げ、一時は事業の危機に直面しながらも、顧客との対話を重視した独自のアプローチで、カナダ最大の睡眠関連企業に買収されるまでに成長しました。彼らの成功の鍵は、製品開発における顧客との密接なコミュニケーションと、ブランドストーリーの効果的な活用にありました。
フルタイムの仕事をしながらのビジネス立ち上げ
AaronとLiorは、それぞれの本業を持ちながら重み付き毛布のビジネスを始めることを決意します。Aaronはジュースショップを朝6時から午後2-3時まで運営し、Liorはソフトウェアカンパニーでフルタイムで働いていました。毎日夜7時にLiorのアパートで集まり、深夜1-2時まで新しいビジネスのために働く生活を続けました。
初期の成功とその裏に潜む課題
事業を始める前に、彼らはGoogleのトレンド分析で「重み付き毛布」のキーワードに月間30万件の検索があることを発見します。シンプルなサンプル商品と基本的な画像だけで予約販売サイトを立ち上げ、Googleで「重み付き毛布」というキーワードに広告を出したところ、最初の販売で3,200円の利益を上げ、翌日には3件の注文を獲得。その後、月商480万円、960万円、1,440万円と売上が急成長していきました。
危機的状況との遭遇
しかし、トロントの夏が訪れると状況は一変します。気温が30度まで上がる7月、売上は急激に落ち込み、ほとんど0に近い状態に。最も良い日でも1日2件の売上しかない状況で、在庫管理の失敗により、売れない商品を大量に抱えることになってしまいました。資金は底をつき始め、ビジネスの存続自体が危ぶまれる状況に陥りました。
危機を転換点に
しかし、この危機的状況で彼らは重要な発見をします。すべての顧客に電話をかけてフィードバックを集めたところ、共通の問題点が浮かび上がりました。「毛布は素晴らしいけれど、今まで経験したことがないような汗をかいて不快です。クローゼットにしまって、冬まで使えません」という声でした。
この発見から、彼らは冷感素材を使用した重み付き毛布の開発を決意します。9月中を費やして世界中のサプライヤーを訪問し、最も冷たい感触の布地を探し求めました。最終的に「iced fabric」という独自の布地を開発することに成功しましたが、最初のロットの製造には1,600万円もの資金が必要でした。
Kickstarterでの大成功
残り64万円という状況で、彼らはKickstarterでのクラウドファンディングに挑戦します。目標額400万円に対し、最初の30日で1.6億円以上を集めることに成功。これは、事前に3,000人以上の顧客と直接対話し、製品への確実なニーズを確認していた結果でした。
テレビ出演とバイラルヒット
カナダのTV番組「Dragon's Den」に出演し、14シーズン史上初めて、ドラゴンズとの討論を通じて企業価値を上げることに成功。この様子はNetflixでバイラルとなり、ブランドの知名度は急上昇しました。
製品ラインの拡大と顧客中心のアプローチ
2020年には顧客の声を元に完璧な枕を開発し、72時間で3,000個を販売。その後、Hush Ice Blanket 2.0や寝具シリーズを展開し、年商32億円を達成します。2021年には更に大きな目標を設定し、年商64億円を目指しました。
最後の挑戦として、利益を出すのが難しいとされるマットレス市場に参入。3ヶ月間の顧客調査から、特にカップルの愛を育むための特殊なゾーンテクノロジーを開発し、発売時に2.4億円の売上を達成しました。
最終的な成功と教訓
2021年10月、カナダ最大の睡眠関連企業に買収され、4年間で77億円規模のビジネスに成長させることに成功しました。
コミュニティ構築の重要性
AaronとLiorの成功の最大の要因は、単なる製品販売を超えた顧客とのつながりでした。北米で4番目に大きいモールでの初めての実店舗オープン時には、大手ブランドAloの700人に対して1,500人もの来場者があり、中には毛布にサインを求める熱心なファンもいました。
ストーリーテリングの力
Aaronは最後にこう語っています:
「ブランド構築において、ストーリーテリングは最も重要です。感情や魔法のような要素が、人々の購買意欲を刺激するのです。例えば、Abercrombie & Fitchの店舗での6パックの腹筋を持つモデルとその香りは、私たちが憧れる存在でした。その感情的なつながりこそが、ブランド構築の本質です。インターネットのおかげで、私たちのような小さな企業でも大手と競争できる時代になりました。以前は小売店に商品を置かせてもらうために苦労する必要がありましたが、今は携帯電話で撮影した動画でも、アンダードッグストーリーを語ることができるのです。」
#インサイト
今回のストーリーで最も印象的だったのは、AaronとLiorの「顧客の声を聞く」という徹底した姿勢です。
彼らは売上が急落した際、諦めるのではなく、数千人の顧客に直接電話をかけ、製品の課題を理解しようとしました。この行動が、冷感ウェイト付きブランケットという革新的な製品を生み出すきっかけとなっています。
また、新製品開発においても同じアプローチを取り続けました。枕やマットレスの開発では、顧客の具体的なニーズを徹底的にヒアリングしてから製品化を行っています。
特筆すべきは、彼らのストーリーテリングの手法です。単なる製品販売ではなく、起業からの軌跡を顧客と共有し続けることで、強力なコミュニティを構築することに成功しています。これは、製品そのものよりもブランドの背景にある「物語」が重要になってきている現代のビジネス環境において、非常に示唆に富む事例といえます。
もっと詳しく知りたいという方は、ぜひソースの動画もチェックしてみてください!
https://www.youtube.com/watch?v=IuoscQiQQLg
「英語だからわからないけどこの人のストーリーを知りたい」などありましたら、ぜひコメントください!