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ナマズ

YouTubeをぼんやり見ていたら、霞ヶ浦でアメリカナマズ(チャネルキャットフィッシュ)を釣って食べる動画が公開されていた。特定外来生物のひとつとして名高いこの外来魚、捌くと脂が程良く乗った綺麗な白身で、揚げても焼いても煮ても美味らしい。それで一部Youtuberが釣り竿片手にアメリカナマズを求め、外来生物の駆除を兼ねて盛んに釣って食べているようだ。
良い事だ、と思ってふと関連動画を見たら、何の嫌がらせか【アメリカナマズを釣って外来生物駆除とか言っているYoutuberバカだろ?】と言うタイトルの、その名の通りアメリカナマズ駆除に対するアンチ(動画を作った本人は一家言あるつもりなのだろうが、正直に言わせて頂くとただの屁理屈にしか聞こえなかった)的な内容の動画だった。見てみたが大して面白くもなかったので、途中で視聴を取り止めてそのチャンネルをブロックした。
まぁ、それがYoutuberの活動であるかないかに関わらず、外来生物の駆除には必ずと言って良い位アンチがつきまとうものだ。過去には同じく特定外来生物であるカミツキガメを巡り、駆除活動に対して「動物虐待だ」と放言した(それなりに界隈では有名な)人物が居て、それが拡散されてひと騒動起きた事もある。

ワタクシは基本的にスポーツハンティングやスポーツフィッシングは嫌いだが、自然保護だの何だののお題目(そもそも環境破壊と言う点では外来生物より人間の方が余程タチが悪い)を唱えるまでも無く【何らかの実害を与えている】外来生物の駆除はある程度は已むを得ない事だと思っている。例えばアメリカナマズは霞ヶ浦で爆発的に増え過ぎて(余程環境が良かったのだろうか)最早霞ヶ浦で在来魚を漁獲するのが不可能なレベルになっていると聞く。
網を入れるとアメリカナマズばかり入ると言うから相当である。
ナマズの仲間は全般的に胸鰭と背鰭に硬い骨の棘を持つ種類が多いが、中でもアメリカナマズの鰭の棘は極めて硬く、網を傷め、網から魚を外そうとする漁師の手を遠慮なく斬りつける。なので漁師の間ではアメリカナマズは厄介者として嫌われる。恐らく漁師が漁獲したアメリカナマズはほぼ全て廃棄対象になっているのでは無いだろうか。少なくとも食用にされている話は聞いた事が無い。
そんな状況下、多くの有志がアメリカナマズの有用性を実証してそれらを動画として公開すれば、或いはアメリカナマズも未利用魚の地位から脱却出来るのでは…と、淡い期待をワタクシは抱くのである(付記。外来生物を「食べて減らす」のは実は外来生物問題の中でも取り分けセンシティブな問題と言って良い。と言うのも、食材としての需要が高まり、結果的に漁業資源として永続的に維持しよう、と言う動きになっては本末転倒だからである。外来生物を食材として活用する場合、飽くまでも一時的なもの、【駆除活動の副産物】程度に考えなければならず、それについては未解決な問題がまだまだ沢山存在する事を明記しなければならない)。

前置きが長くなったが、一般にナマズの仲間は美味な魚が多い。ニホンナマズ(マナマズ)は日本各地で食べられている(因みに埼玉県川越市には旨いナマズの料理を出す店が多いと言う。一度行ってみたい)し、東南アジアではクララ(ウォーキングキャットフィッシュ)が矢張り食用として人気が高い。海釣りの外道として悪名高いゴンズイ(ナマズとしては珍しく、生涯を海で過ごす)は棘に猛毒がある為嫌われるが、棘を除けば脂の乗りはナマズの中でも群を抜き、蒲焼きや柳川鍋にすると極上の味らしい。
また、イオングループでは近頃海外に専門の養魚場を設け、パンガシウスと呼ばれるナマズを養殖して店頭に並べるようになった。パンガシウスの切り身はワタクシも何度か買って食べた事があるが、ベタくどくない程度に脂が乗った癖の無い白身魚と言う感じで大変美味だった。

因みにパンガシウスの仲間には、美味が過ぎて絶滅寸前まで捕り尽くされかけた種類がいる。メコンオオナマズ(パンガシアノドン)がそれで、嘗ては宮廷料理の材料に用いられていたそうだ。現在メコンオオナマズは保護と共に養殖の研究が盛んで、その技術には日本からもノウハウを提供しているとの事。是非成功させて欲しいものである。

こんな事を書き連ねていたら、何だか無性にナマズが食べたくなって来た。
久々に、近所のイオンで鮮魚コーナーを覗いて見ようか。

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