スクラム開発未経験者が認定スクラムマスターを取得するまで
テクノロジーセクション プロダクト開発部の伊藤です。
今回は、弊社テックオーシャンにおけるプロダクト開発での「スクラムへの取り組み」や「認定スクラムマスターの取得経験」についてお話ししたいと思います。
スクラムとの出会い
弊社では現在、大規模な開発プロジェクトを進めており、2週間スプリントのスクラム開発を採用しています。私自身、スクラムという言葉やその概念は知っていたものの、本格的に体験したのはこのプロジェクトが初めてでした。
以前のプロジェクトでも2週間サイクルで開発していましたが、スクラムのような考え方やイベントは特に取り入れておらず、いわゆる「ミニウォーターフォール」的な手法で進めていました。
スクラムを導入してから約1年が経ち、今振り返ると、同じ2週間サイクルの開発でも、スクラム開発の方が圧倒的にメンバーが主体的で、生産性も高く、何よりチームの雰囲気が非常に良いと感じます。私はこの「スクラム」という考え方に強く感銘を受け、本格的に学びたいと思うようになりました。さらに、認定スクラムマスターである上司の勧めもあり、2024年7月に認定スクラムマスターの資格取得に向けて動き始めました。
ここからは、認定スクラムマスターを取得するまでのプロセスや、研修・試験の内容についてお話しします。スクラム開発の導入や、認定スクラムマスターの取得を検討している方に、少しでも参考になれば幸いです。
認定スクラムマスター取得のプロセス
認定スクラムマスターを取得するまでの流れは、以下の6つのステップに分かれます。
認定資格の選定
研修機関の選定
申し込み
研修受講(2〜5日程度、研修によって異なる)
認定試験受験(試験時間は60分、37問/50問以上の正解で合格)
合格すると認定スクラムマスターとして認定
スクラムマスターの認定資格
代表的なスクラムマスターの認定資格には、下記の 3つがあります。
Certified Scrum Master(CSM)(認定機関:Scrum Alliance)
Professional Scrum Master(PSM)(認定機関:Scrum.org)
Registered Scrum Master(RSM)(認定機関:Scrum Inc.)
それぞれ、内容や特徴、資格の有効期限、試験の形式が少しずつ異なります。今回、私は以下の理由から「CSM」を選びました。
歴史が長いこと
知名度が高いこと
日本での受講者数や認定者数が多いこと
認定研修の探し方
次に、研修機関の選定についてです。調べていく中で、CSM を提供している主要な研修機関が 3つあることがわかりました。
株式会社アトラクタ
株式会社Odd-e Japan
アジャイルビジネスインスティテュート株式会社
同じCSMの研修でも、研修期間(2〜5日)、内容、形式(現在は主にオンライン)、料金(15万〜30万円ほど)に若干の違いがあったため、これらを比較しました。その結果、以下の理由から「アジャイルビジネスインスティテュート株式会社」の研修を選びました。
土日の2日間で完了すること
他の研修は3〜5日間で、主に平日に実施されていました。
講師がTeslaやMicrosoftで活躍したJoe Justice氏であること
現場での実例を基に学べると感じたため、この点も決め手となりました。
研修概要
研修方法
研修は完全オンライン形式で行われ、Zoom と Miro が使用されました。
Miro では、事前に用意されたボードを使い、講師の説明やグループワークを進めました。
研修の流れ
研修は土日の2日間で行われ、時間は10時〜16時です。1時間のお昼休憩と、10〜15分ほどの小休憩がありました。
私は研修後の月曜日に認定試験を受けました。
講師について
Joe Justice先生が担当し、世界20カ国以上でアジャイル導入を支援してきた実績があります。Tesla や Amazon、Microsoft、日本企業ではトヨタ自動車や楽天、メルカリなどでトレーニングを提供してきたそうです。
研修中は、Tesla や SpaceX、Microsoft の事例が頻繁に紹介され、私にとって新たな知見が多く、それだけでも研修の満足度が高かったです。
Joe先生は一部日本語も話されますが、基本的には英語で進行します。研修は通訳の方とアシスタントの方を含めた3名体制で進められました。
研修の内容
1日目の内容
研修の最初に4人グループに分かれて自己紹介を行い、グループワークもそのメンバーで進めました。1日目の主な内容は以下の4つです。
1. アジャイル(Agile)
2. スクラムチームの責任範囲(Accountabilities)
3. スクラムイベント(Events)
4. 見積もり(Estimate)
2日目の内容
2日目は、実践的なスクラムのトレーニングや試験対策も含まれ、より応用的な内容が中心でした。
5. モブプログラミング(MobAI)
6. マインドセット(Mindset)
7. テスト(試験の模擬問題と解説)
8. Lean Coffee
9. スクラムの実践(3-5-3)
受講して感じたメリット
この研修を受講して感じたメリットは下記になります。
コンパクトにスクラム開発の要所を抑えられる
海外の急成長企業のスクラム事例を知ることができる
講師の雰囲気がよく、気分が高まる
講義の途中や終わりに質問の時間があり、疑問に思ったことやスクラム関連の知りたいことを自由に質問できる
受講して感じたデメリット
研修の内容は基本的に満足でしたが、強いてデメリットをあげるとすると、下記になります。
スクラム開発を 1年以上経験している人からすると、事例以外は真新しいものがないと感じるかもしれない
テスラの事例が興味深かったが、その詳細は別のクラスとのことで、詳しく知ることはできなかった
認定試験
試験の準備
研修内で試験対策が行われたため、出題内容のイメージはつかめていました。そのため、試験に向けた準備としては、「研修内容」や「アジャイルソフトウェア開発宣言」、「スクラムガイド」をざっと復習する程度にとどめました。
受験
研修の最終日に受験することも可能だったと思いますが、私は研修の翌日に受験しました。試験は全50問で、いくつか悩む問題もありましたが、合格ラインの37問を超えることができ、無事に合格しました。
認定証
合格後は、すぐにWeb上で認定証や認定バッジがダウンロードできるようになり、合格を実感することができました。
研修を受講してのメリット
まとめ
スクラム開発を導入してから、チーム全体の生産性やモチベーションが大きく向上し、開発プロセスに対する意識も変わりました。
また、個々のメンバーがより主体的に行動し、プロダクトの品質向上や目標達成に対する貢献度が高まっています。
認定スクラムマスターの取得は、こうしたスクラムの価値をさらに深く理解し、実践に役立てる大きな一歩となりました。
スクラム開発を取り入れたいと考えている方や、認定資格の取得を検討している方にとって、本記事が少しでも参考になれば幸いです。
▼株式会社テックオーシャン 中途採用募集ポジションはこちらから
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?