ベテランの知見を活かし、請負事業のチームメイキングができるPM/PLを育成する
これまで完成車メーカー向けの商品に対する品質管理業務を歴任してきた柴田 義之は、EV用車載充電器、世界初VtoHシステムの立上などの経験を積み、フリーランスを経て2014年テクノプロ・デザイン社に入社。2023年3月現在は、主にオンサイト請負の立上、利益改善支援を担っています。そんな柴田のキャリアにかける想いに迫ります。
新卒でオーディオ機器メーカーへ就職。一貫した品質管理のノウハウを活かし、独立
大学で電気工学を専攻し、1989年の卒業後、大手オーディオ機器メーカーに就職しました。ちょうど黎明期だったカーナビ、カーステレオをはじめとしたオーディオ機器の品質管理を担当していました。
最も長く携わっていたのは国内最大手の自動車メーカーでの車載マルチメディア機器のOEM設計・品質管理です。およそ20年、品質管理に従事していた経験を活かし、プロジェクトオーナーとして会社全体で300名規模のプロジェクトチームを統括していた時期もありました。
そこからさらに転職し、EV用車載充電器、世界初VtoHシステムの立上を経験した後に品質管理面のコンサルタントとして独立しました。しかし、自分の将来を考えていく中で、この経験を活かし、もっと幅広く組織改革や人材育成面にチャレンジしたいと考えるようになったんです。
そこで転職活動を進めていく中で、テクノプロ・デザイン社(当時:シーテック)に出会いました。入社と同時に請負事業推進部が立ち上がったばかりでしたので、ゼロスタートから請負事業を推進してきました。部署内のルールも定まっておらず、自由に仕事をさせてもらったという印象が強いですね。
エンジニア同士のチームワークを改善し、2カ月で利益率が倍増
とくに印象に残っているのは、利益率が慢性的に低かったチームのコンサルティング業務です。実際にそのプロジェクトチームへ赴いて定例ミーティングに同席させてもらったところ、帳票を活用していなかったり、メンバー同士の発言や意思疎通がうまくいっていない状況が見て取れました。
そこで、全員がスケジュールを共有できるように可視化するなど、「チームワークしやすくする工夫」を一つひとつ、リーダーと掘り下げながら実現していきました。すると、チーム全体の歯車ががっちり嚙み合いだしたかのように動き出し、改善前は10%台の利益率だったのが、わずか2カ月足らずで36%まで改善したのです。
これには私も驚きました。と同時に、一人ひとりは優秀なスペックの持ち主なのに、チームワークやチームメイキングの手法をしっかりと教えていく「しくみ」が社内にできていなかったのが原因だと思いました。これは非常にもったいない。まだまだ改善の余地があると感じました。
もともと技術者派遣事業からスタートしてきた当社でしたから、派遣先のクライアントのルールに従って、個人個人が与えられた業務を正確に遂行することを第一義にしていたこともあり、チームワークを自主的に意識して動くということにエンジニア自身が慣れていなかったのです。
以来、「オンサイト請負の新規立上支援、既存事業所改善(利益・業務)支援」と「PM/PL育成研修カリキュラムの立案と実行」を当部署の両軸として、さまざまな部署の改善やプロジェクトチームの課題解決に入らせてもらっています。
「課題解決」に向けてアドバイスと提案を続ける社内コンサル
当社は「総合技術ソリューションカンパニー」を標榜していますが、私は「ソリューション」という言葉は「解決」という単語に置き換えて考えるようにしています。当社の幅広い業界知見と技術知見で課題解決に導くと考えるとわかりやすいですからね。
したがって、「ソリューションカンパニー」をめざすということは「お客様の課題解決ができる企業になる」ということと理解しています。
当社は今までもお客様が抱く業務効率化などの事業課題に対して、技術力で解決への支援を行ってきましたが、私の所属する請負事業推進部が入ることで、「ここは技術者派遣のほうがお客様としても喜ばれるのではないか」「オンサイトではなく当社の開発センターに持ち込んだほうが、効率化が図れるのではないか」といったお客様にとっての最適解を技術面から提示できるように仕掛けていくことが強みであり、役割だと思っています。
一方で、もう一つの軸である「PM/PL育成研修カリキュラム」についてはまさに今、企画中です。カリキュラムを修了すればPLとしてお客様先に配属できるのかというと、座学だけでは判断がつきません。むしろ、PLを育成するPMだったり、PMのレベルをより引き上げるリーダー育成のしくみを生み出したいのです。
そのきっかけづくりの一つとして、「ショートケースメソッド研修」というものを昨年から実行しています。簡単に言えば請負事業としての事例をもとに、PLたちに自由に考え、発言してもらう場です。「実際にはこう解決したが、もし自分ならこう考える」「こんな解決策もあるのではないか」といった議論を深めてもらうといった内容です。これを半日で1事例、2日間で4つの事例を討議してもらいます。
その研修をきっかけに、今後はPL同士の横の連携・コミュニティを形成したいと思っています。
リーダー同志だから話せる話題や悩みもあるでしょうし、「研修終わったら、懇親会やろう」といった動きも自主的に出てくるといいなと思っています。
人が集まると知恵が生まれる。最終目標はこの部署がなくなること
上記のように「コミュニティ形成を仕掛ける」といった考え方に至ったのは、あるきっかけがありました。前職にいたころ、IT化が進んでいるものの社内の雰囲気はむしろ悪くなったという声があがったのです。たとえば、隣席同士でもメールはするけど会話はしない、同じ部内でも誰が何をやっているのかよくわからないなどなど……。
そこで組織風土改革を行おうということになり、私含めて課長級の社員3名と組合員3名でプロジェクトチームを組みました。そこで行ったのは、社員同士のコミュニティ形成でした。たとえば、ビルの最上階の部署では展望を活用した休憩所をつくろうと動くことで有志を集い、そのコミュニティで自主的に進めてもらいました。これは「人が集まれば、知恵が生まれる」と確信した原体験となりました。
当社でも当てはまると思うのです。お客様先に常駐していても、隣の席には同じテクノプロの社員がいるということや、チャットで意見交換できることなど、「一人ではない」「チームで動いているんだよ」ということを意識させていくことが、改善に直結していくと思います。
そのために私は「現場で傾聴に徹する」を心がけています。とにかく現場の声を聴く。聴いた上で自分なりに咀嚼して、改善策を提案してみる。地道なようですが、この繰り返しが大切だと思います。
請負事業推進部は現在、6名の社員がいますが、うち5名が50代の経験豊富なベテランです。今後は、30代の人材などを入れながらベテランのノウハウを継承してければいいですね。
でも最終的な目標は、この部署がなくなることかなと思います。現場でのコミュニティが自主的に形成されて組織が活性化すれば、私の部署から支援すべきことが減ってくると思うのです。そしてお客様に密着した現場の力が強くなればこれ以上の成果はありません。請負事業の未来をともに描ける人材を、次々に輩出していきたいと思います。
※こちらの記事は2023年3月時点の情報となります。
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