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看病しますよ、マネージャー。




「「「おつかれっした!」」」


〇〇:んー??


部活が終わって、ずっと疑問に思っていた事に、ようやく向き合う。


「どした?〇〇」

〇〇:今日...なんでマネージャーいないんすか?

「あー...なんか風邪引いたって連絡来たぞ」

〇〇:かっ、風邪!? 大丈夫なんすか?

「たぶん?普通の風邪って言ってたぞ」

〇〇:で、でも......

「そんなに気になるならこれ、持ってってくれよ。授業のプリント」

「家わかるだろ?」

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というわけで・・


〇〇:家わかるっつったって...俺んちと反対方向だし..

〇〇:そろそろ寒くなってきたから早く家に帰りてぇのに....

〇〇:ま、まぁ...風邪引いたんだから仕方ねぇよな...


アルノの家に来た理由を正当化しようと必死になる。


ピンポーン インターホンを押す。


応答はない。


ガチャ 


〇〇:あれ....開いてる...

〇〇:ごめんくださーーい....


返答はない。玄関には靴が一足、アルノの靴だった。


〇〇:親とか...いないのか?


「んーー??」


奥の方から声が聞こえた。


「お母さん、帰ってきてくれた・・」

〇〇:あ、マネージャー。

中西:なっ!? 〇〇!?


廊下から顔を覗かせたのは、アルノだった。

〜〜

〜〜

中西:なっ、何しに来た!

〇〇:何って...授業のプリント持ってきたの。先輩に頼まれたから。

中西:....わ、わざわざ?

〇〇:うん。ご両親は?

中西:....出張でいない。

〇〇:....ふーん。


てっきりお母さんかと思った。私の為に帰ってきてくれたと思ったけど、見当違いだったみたい。

〇〇は靴を脱いで家に上がってきた。


中西:なっ!なになに!?


〇〇は私の方に近付いてくる。



ピトッ


中西:んっ///

〇〇:まだ熱あんじゃん。寝てなよ。

中西:いや...あぅ...//


おでこが触れ合っている。風邪で顔が赤くて助かった。


〇〇:なんか食いもんある?

中西:えっ?

〇〇:なんか作るよ。その様子じゃ何も食べてないんだろ?

中西:......うん。

〇〇:部屋のベッドで寝てな。持ってくから。

中西:.......うん//

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こ、これって家で二人きり...しかも男女で!?

どどど、どうしよう。いや深く考えるな。ただの後輩、ただの後輩.....



コンコンコンッ


中西:ひぅっ!!


ガチャ


〇〇:入るよー。ん、ちょっと体起こして。

中西:は、はいぃ..//

〇〇:はい?笑 隣座るよ。


〇〇がお盆に載せて持ってきたのは、お粥とスープだった。


中西:〇〇って...料理出来るんだ...

〇〇:出来るよ笑 一人暮らしみたいなもんだし笑

中西:え?

〇〇:マネージャーと一緒で、親の出張多いからね。家で結構一人なの。

中西:そ、そうなんだ....

〇〇:はい、口開けて?

中西:うぇえ!? 自分で食べるよ!

〇〇:いいから、病人は黙って言う事聞いてな。

中西:いや....うぅ....//

〇〇:はい、あーん。

中西:あ、あー・・


あれ、全然お粥が来ない。薄ら目を開ける。


〇〇:ぷっ笑 バカみたいな顔笑

中西:なっ!? なにおぉ!!

〇〇:あははは笑 ごめんごめん笑 はい、あーん。

中西:んん...あーんパクッ


あ、美味しい


〇〇:どう?

中西:....お、美味しい...

〇〇:良かった笑

中西:..............


まずいな。なんか今日はこいつが、めっちゃ良い奴に見える。

〜〜

〜〜

ピピピッ


〇〇:はい、ちょっと失礼....

中西:さ、さすがに自分で取るっ//

〇〇:あはは笑 ごめん笑



私はベッドに寝ながら、脇に挟んだ体温計を〇〇に手渡す。


〇〇:あー...やっぱり飯食ったら体温少し上がるよなぁ....

〇〇:今日はもう寝た方がいいね。

中西:うん.....あの...今日はありがとう。

〇〇:いーえ。

中西:でも....なんでここまでしてくれるの?

〇〇:んー?マネージャーが来てないと学校つまんないから?笑

中西:....ちょっとバカにしてるだろ...

〇〇:バレた?笑

中西:んんーー!!

〇〇:ほらほら、もう寝なよ。

中西:寝過ぎたから寝れない....

〇〇:えー、なんかして欲しい事ある?


して欲しいこと....あぁ、確か昔、お母さんにあれをしてもらうとすぐ寝られた筈。


中西:あ...頭撫でて欲しい...

中西:!!!


口を急いで手で塞いだ。何言ってるんだ私。



〇〇:.....いいよ。

中西:ほぇ?

〇〇:.....で、でも恥ずかしいから目は瞑ってて//


ギュッ


反射的に目を瞑った。もうどうにでもなれ。


中西:んぅ//


頭に少し冷たい感触があった。心地いい。


あー、これ寝れるやつだ。〇〇の手なんだけど、母の手によく似ている。

落ち着く。


頭に残る心地いい感触と、遠のいていく意識を感じていると、耳元で声が聞こえた気がした。


明日は学校に来てくださいね、アルノさん

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中西:んん......ん?

中西母:あ、起こしちゃった?

中西:あれ?お母さん?


外はまだ暗かった。


中西母:風邪引いたって聞いて、すぐ帰ってきたの。一人で大丈夫だった?


熱はすっかり下がっていた。


中西:....お母さん、今私の頭撫でてた?

中西母:え?うん。撫でてたわよ。

中西:...あれ?〇〇は?

中西母:〇〇? 誰?

中西:ん?....あれ?....もしかして...

中西:〇〇が看病してくれたのって......夢だったのぉぉぉぉぉおぉお!!????

〜〜

〜〜

〇〇:ふぅ.....あー....緊張した//

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             To be continued?


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