見出し画像

どんくさ過ぎるぞ、マネージャー。



中西:あっ......

〇〇:うおっと.....危ねぇな笑

中西:あぅ......ありがとう...

〇〇:気をつけなよ、マネージャー笑



俺の前を歩いていた中西アルノ。転びそうになっていたので支えてやった。

今月で10回目くらいだろうか笑

〜〜

コーチ:マネージャー、ビブス持ってきて〜。

中西:はい!

中西:どわぁ!

コーチ:ん!? あぁ......


真っ赤なビブスが宙を舞う。そしてマネージャーは地面に転がっている。


〇〇:ぷっ笑....あはははは笑

中西:わ、笑うなぁ!

〇〇:ほら、立てる?笑


俺は笑いながら手を差し出す。


中西:あぅ....ありがとう..。

〇〇:ん。

====================================

中西:むー....



納得がいかない...。なぜ毎回あんな事になってしまうんだ....。 
 


井上:おはよー。

中西:...おはよ...。

井上:あれ....もしかしてまた〇〇君?

中西:あいつ......むかつく...



バスケ部のマネージャーとしての仕事はしっかりやっているつもり。だけど、何故か〇〇には、いついかなる時でも笑われてしまう。



井上:んー.....皆んなが笑うの我慢してるだけだと思うけど笑...

中西:え!? なんで!?

井上:それはアルノが.....どんくさいから?笑

中西:私が!? ないないない、それはないね。

井上:どこからその自信が・・


ガラガラガラッ


教室の扉が開く。廊下側に座っている私達とはすぐに目が合った。


〇〇:あ...いた。ちょい、マネージャー。体育館にバッグまるごと忘れてたよ。

中西:え?......あ...


机の横に掛けてあるはずのバッグが、今日は確かに無かった。


井上:ぷっ....くっくっ....


和は机に顔を突っ伏して笑いを堪えている。


中西:あ、ありがとう....

〇〇:ま、忘れるだろうなぁとは思ってたけど笑

中西:なっ!...


ムカつく。


井上:あー....はは笑 笑った笑った。 朝練お疲れ様、〇〇君。

〇〇:お疲れ様です。井上さん。

井上:朝からバスケは疲れるでしょ。

〇〇:疲れます笑 俺も井上さんがいる弓道部に入れば良かったって思ってます笑

井上:君、推薦でしょ?笑


ムカつく。


キーンコーンカーンコーン 予鈴が鳴って、教室内は騒めきながらも席に着く音が聞こえる。


〇〇:俺も行かないと....あ、マネージャー。コーチが、放課後の部活終わったら、ちょっと残ってくれって言ってたよ。忘れないように。




そして何よりムカつく事が一つ。


〇〇:じゃ!

中西:一個下なんだから、私にも敬語使えぇ!!

====================================

放課後


コーチ:よしっ!じゃ、今日の練習は終わりな。


「「はい!」」


コーチ:じゃあ解散。 マネージャーはちょっと残ってな。

中西:はい。

〜〜

〜〜

中西:ふんふ〜ん。


コーチに呼ばれて何かと思ったら、新しい仕事を任せたいとの事だった。このバスケ部に貢献できる事は嬉しいし、私も認められている感じがして嬉しかった。


中西:よし、かーえろ.......あ....

中西:体育館に荷物忘れた......

〜〜

〜〜

中西:あれ、体育館電気ついてる....


もうどこの部活も終わっている筈。じゃあ誰かが電気を消し忘れたんだろう。


中西:ふふん。 どんくさい誰かに代わって、私が電気を消して・・


体育館を開けると、まだ人がいた。


〇〇:ふっ........



シュパッ


ボールは、綺麗な放物線を描いて、ゴールへ吸い込まれていった。


〇〇:あれ、マネージャーじゃん。

中西:.........えっ? あぁ、私マネージャーか。


思わず見惚れていた。


〇〇:何してんの?こんな時間に。

中西:い、いや....荷物取りに来ただけだけど....あんたこそ何してんの? もう下校時間でしょ。

〇〇:また荷物忘れたのか笑 俺は先生に許可貰ってるから。


そう言って、〇〇は再びボールを持った。


〇〇:推薦だし、一年だし、期待に応えない....っと!



シュパッ


こいつ、結構真面目なとこあるんだな。


〇〇:ほれ。

中西:うわわっ! 

〇〇:ちゃんと取りなよー笑

中西:急にボール投げるな!

〇〇:あれ?もしかしてマネージャー、運動出来ない系?

中西:で、できるし!


バカにしおって......


中西:おりゃ!


ボンッ


〇〇:あははははは笑


ドリブルをして華麗にシュートでも決めてやろうと思ったが、ボールは私の足に直撃して変な所に転がっていった。


中西:わ、笑うなぁ!

〇〇:あはは笑 ごめんごめん笑 マネージャーの仕事はちゃんとやってるのに、運動は出来ないんだなぁって思って笑

中西:え?

〇〇:ん? マネージャーの仕事はちゃんとやってるのにーって.....

中西:ふ、ふーん//

〇〇:そうだ、ドリブル教えてあげる。


ボールを持って〇〇が近づいてくる。


〇〇:はい、ボール持って。

中西:ん。

〇〇:ボールは弾くんじゃなくて、手に吸い付く感じで.....足は・・

中西:んっ//



ち、近い。私の腕とか手を触ってくる。こいつは恥ずかしくないんだろうか。



中西:あっ....


左を向くと、すぐそこには〇〇の顔があった。


〇〇:....ち、ちょっとこっち見ないで、、、俺もちょっと恥ずかしいから...。

中西:んん!//

〇〇:あっ.....



私は〇〇のコーチングを無理矢理ほどいて、逃げるように体育館から走った。

体育館への通路を走りながら、私は叫んだ。



中西:(な、なんだ今の....)


顔が赤くなっていくのを、温度で感じる。


あんなやつ......

ないないない。あんなやつ・・



中西:あんなやつ...絶対好きにならないからなぁーー!!!

〜〜

〜〜

〇〇:お、おーい....マネージャー荷物忘れてるって....


もう体育館を去ったみたいだ。


〇〇:てか.....

〇〇:今のも全部聞こえてるよ笑 どんくさいなぁ笑

====================================

              To be continue?







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?