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義理か本命かわからないほどツンデレな幼馴染に困ってます。


〇〇:明日バレンタインだなー。

蓮加:....そだね。

〇〇:今年も俺は一個かなぁ。

蓮加:だ、誰からの一個!?

〇〇:え?蓮加毎年くれるじゃん。

蓮加:.........良かったボソッ

〇〇:え?

蓮加:なんでもない。ほら早く学校いくよ。

〇〇:へーい。


こいつの名前は岩本蓮加。生まれた病院も一緒で、幼稚園から今の高校までずっと一緒。いわゆる幼馴染というものだ。

幼馴染だからなんとなく毎朝一緒に学校に行き、毎日一緒に帰る。何も特別な関係ではないし、本当にただの幼馴染。




と、思っているのは蓮加だけなんだが。

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昼休み


俺と蓮加は違うクラスで、会うのは、行きと帰りだけ。後は学校でたまにすれ違ったり、学校終わりに互いの家に遊びに行くくらいだ。


〇〇:はぁぁぁあぁ........

美波:長いため息だね笑

〇〇:んん? 出ちゃってた?

美波:うん。思いっきり出てたよ。


今俺が話している高身長な女子は梅澤美波。中学から一緒で、同じクラスな為、良く一緒に昼ご飯を食う。別に友達がいない訳じゃない。とある相談をする時だけ。


美波:また蓮加のこと?

〇〇:........うん。


俺は机に頭をつけながら答えた。


美波:もーー!! そんなに好きだったら早く告っちゃえばいいじゃん!

〇〇:んな簡単に告れたら苦労しないっつの。


そう。俺は蓮加の事が好きだ。正直中学に上がる頃にはもう好きだった。

早く告白しろと周りからは言われるが、それが出来ないのには一つ理由がある。


〇〇:....たぶんあいつ俺の事嫌いだもん。

美波:また言ってる。嫌いな人た毎朝学校行かないでしょ?

〇〇:たぶん幼馴染だから仕方なくだよ。親の付き合いもあるし。

美波:なんで嫌われてるって思うの?

〇〇:だって話しかけても「そう」とか「へー」とかしか返って来ないし、家行ってもずっとゲームしててこっち見向きもしないし。

美波:......それは...ちょっと嫌われてると思っても仕方ないかも...

〇〇:だろー?

美波:でもさ!毎年バレンタインは貰ってるんでしょ?

〇〇:貰ってるけど全部義理だもん。

美波:なんでわかるの。

〇〇:だって・・

〜〜

〜〜

中学一年生


蓮加:あ、あの....バレンタインだからチョコあげる。

〇〇:え!?まじ!? くれんの!?

蓮加:お、幼馴染だからあげるだけ!

〇〇:あ....そうだよねシュン

蓮加:あぁ...違くて、えぇっと...その....

蓮加:ほ....

〇〇:ほ?

蓮加:ほ....ほんとに義理だから!

〇〇:えぁ....はぁ....まぁ、ありがと。

〜〜

中学二年生


蓮加:はい。バレンタインだから。

〇〇:え!? 今年もくれんの!!

蓮加:うん。あのね?その....

〇〇:ん?

蓮加:ほん.....

〇〇:本?

蓮加:うぅ....本今度貸して! あと義理だから!

〇〇:あぁ....はい。

〜〜

中学三年生


蓮加:....はい。あげる。

〇〇:お!今日バレンタインか。ありがと。

蓮加:ふぅ.....あ、あのね?そのチョコね?

蓮加:ほ、ほんめ....

〇〇:本め?本になんかされた?

蓮加:んもーー!! この前貸してくれた本全然面白くなかった! あとそのチョコ義理!じゃあね!

〇〇:えぇ.......

〜〜

〜〜

〇〇:・・ってことがあったから今回も義理。

美波:(.....鈍感すぎて腹が立つ)

〇〇:はぁ....もう諦めて新しい恋探そうかなぁ....

美波:......〇〇は気づいてないけど、〇〇って結構モテてるんだよ?体育祭とかで活躍してから中々にモテてるよ。

〇〇:え、そうなの?

美波:うん。その気になれば彼女作れるけど、蓮加のこと諦められるの?

〇〇:.......無理....かも。

美波:.....よしっ!私に任せて?

〇〇:え、何すんの?

美波:秘密。明日楽しみにしといて。

〇〇:えぇ....。

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放課後


〇〇:あー、今日も学校終わった。帰ろ。

美波:〇〇! 今日一人で帰って!

〇〇:え? いや、いつも通り蓮加と・・

美波:蓮加は今日私と帰るから!それじゃ!

〇〇:まじか.....蓮加と帰らないなんて久しぶりだな....

〜〜

〜〜


急に梅から一緒に帰ろうと誘われた。いつもは〇〇と帰っているのに。変な用事だったら怒ってやろうと思っていた。


蓮加:なに? 急に一緒に帰ろうだなんて。

美波:んー?ちょっと聞きたい事があってさ。

蓮加:なに?


蓮加と美波は友達であり、同じ部活にも所属している。美波は蓮加がどんな人間かわかっていた。


美波:明日バレンタインだね。

蓮加:....うん。

美波:好きな人にチョコをあげる日だね。

蓮加:へっ!?......まぁ...そうだね。

美波:〇〇に本命チョコ渡さないとね?

蓮加:なっ!? 何言ってるの!?

美波:え? 〇〇の事好きじゃないの?

蓮加:す、好きじゃないし...ただの幼馴染だし...

美波:ふーん。じゃあ〇〇が他の女の子と付き合っていいんだ。最近〇〇モテてるからバレンタイン沢山貰うだろうし。

蓮加:それは!........だ、ダメ...

美波:なんで?

蓮加:それはだって....その....

美波:〇〇は他の女の子と付き合っちゃうのかなぁ。

蓮加:あーもう! 好きだよ!大好き!


そう。私は幼馴染の〇〇の事が好きだ。幼稚園から一緒で、高校受験の勉強だって〇〇に教えてもらったし、ゲームしよって言ったら嫌だと言いながらも、いつも一緒にやってくれる。


美波:やっぱり好きなんじゃん!

蓮加:声大きいって!

美波:ねぇねぇ、どんなとこが好きなの?

蓮加:えぇ.....んー...なんか落ち着くっていうか、なんでも受け止めてくれるっていうか? 楽しい時は楽しいし落ち着ける時は落ち着けるし。

蓮加:あと、めっちゃ優しいし、カッコいい.....ってあれ?


横を見ると美波は顔を真っ赤にした顔を手で仰いでいた。


美波:な、流れるように出てくるじゃん...こっちが恥ずかしくなるって//

蓮加:梅が言えって言ったんじゃん!

美波:そうだけどさ.....それなんで本人に言ってあげないの?

蓮加:い、言える訳ないよ....〇〇といると落ち着くけど、それと同じくらいドキドキするし...特に高校入ってから...

美波:あー....急にカッコよくなったもんねぇ...


美波は〇〇がカッコよくなろうと努力している事を知っていた。無論蓮加に振り向いてもらえるように。


美波:でも他の女の子と付き合ったら嫌でしょ?

蓮加:うん。嫌。絶対嫌。

美波:明日は想いを伝えるには絶好の日だよ?

蓮加:んぅ......でも振られたら....

美波:大丈夫! ほら今から材料買いに行くよ!

蓮加:うわぁ!


美波は蓮加の手を引きスーパーまで連れて行った。

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スーパー


美波:えぇ!? 今まで作ってあげた事ないの!?

蓮加:うん。いつも板チョコあげてた。ビターのやつ。

美波:なんでビター?

蓮加:〇〇甘いの苦手だから。

美波:じゃあビターの作ってあげないとね。

蓮加:私作った事ないけど大丈夫かな....

美波:私も協力するから!

〜〜


その後、必要な材料を揃えて、スーパーを出た。美波の家で作る事になり、歩いて帰った。その道中、公園に差し掛かり、聞き馴染みのある声が聞こえた。


蓮加:梅!ちょっと待って!ボソッ

美波:ん?

蓮加:こっち!ボソッ


蓮加達は植物で覆われたフェンスの影に隠れた。公園にいたのは〇〇と、小学一年生辺りの子供がいた。


〇〇:よーし!こい!

男子1:行くぞぉ! おらっ!


男の子はサッカーボールを蹴った。高校生にとっては余裕で止められるシュートだったが、〇〇は手加減してると思われないよう絶妙な加減で、シュートを決めさせているようだった。


男子1:やったぁ!

〇〇:はは笑 良いシュートだな。将来プロになりそうだからサイン貰おっかなー笑

男子2:僕も兄ちゃんにサイン書きたい!

男子3:俺も俺も!

〇〇:お!ちょっと待ってな。


〇〇は筆箱からマジックを取り出して、体操着を子供達の前に置いた。


〇〇:んー....もう一着あるからいいか!よし!サイン書いていいぞ!

男子達:やった!


男子達はサインを書き始めた。それを横目に〇〇はベンチに座っていた女子2人の所へ駆け寄って行った。


〇〇:どう?もう痛くない?

女子1:うん!痛くない!お兄ちゃんが絆創膏貼ってくれたから!

〇〇:偶然通りかかって良かったよ。なんで転んだの?

女子2:男子と一緒にサッカーしてたら転んだの。

女子1:私サッカー大好き! ....でもサッカーは男の子がやるスポーツだから....

〇〇:そんな事ないぞ?なでしこJAPANって言ってな、女の子もサッカーできるんだよ。

女子1:そうなの!?

〇〇:うん。だからまたこの公園来て教えてあげる。俺学校でサッカーやってるからさ。

女子1:さっき見てたよ!上手だった!

〇〇:はは笑 ありがとう。今度は君がサッカーやってるとこも見せて?

女子1:うん!!

〇〇:よしっ!じゃあ俺は帰る! おーい!サイン書き終わったかー?


完全に懐かれていた。〇〇は昔から子供扱いが上手かった。恐らく蓮加の相手をしていたからだろう。


美波:....〇〇って優しいね。

蓮加:......ねぇ...早く帰ってチョコ作ろ。美味しいやつ。

美波:ふふっ笑 そうしよっか。

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翌日


〇〇:ふぁあ.....あれ?全然蓮加出て来ないな。


毎朝〇〇が蓮加の家まで迎えに行くのが恒例だった。だが今日はいない。一応スマホを確認する。


蓮加L:"先学校行ってて"


とだけ、連絡が入っていた。


〇〇:昨日といい何なんだ?

〜〜

〜〜

学校


〇〇:おはよー。

美波:お! おはよ〜〇〇。

〇〇:ん?なんでそんなニヤついてんの?


明らかに美波の顔はニヤついていた。


美波:え〜?笑 わかってるくせに〜。

〇〇:は?何が?何のこと?

美波:.....え?朝なんか貰わなかった?

〇〇:朝?普通に1人で来たけど。

美波:はぁぁあぁ!? 

〇〇:うるさっ! 何だよ、まったく。


訝しげにしながら〇〇は席につき、バックから教科書を出し、机に入れる。


〇〇:ん? ......えぇ?

〇〇:み、美波...これ...

美波:.....え?


机から出て来たのは10個程のチョコだった。恐らく10人から貰っている。その中には便箋のような物も見受けられた。


〜〜

〜〜

昼休み


美波:蓮加っ! 蓮加いる!?

生徒1:蓮加ちゃんなら、自分の席でずっとあんな感じだよ。


指を指している先を見ると蓮加は自席で顔を突っ伏していた。他クラスの教室であることなど気にせず美波は蓮加の席まで歩いて行った。


美波:蓮加! 何で朝にあげなかったの!

蓮加:......んぅ....だってぇ...緊張してダメだった....

美波:もう! 〇〇10人くらいからチョコ貰ってたよ!ラブレターも入ってたし!

蓮加:えぇ!? ......もう....ダメだ...

美波:諦めちゃダメ!まだ〇〇も返事したかわかんないし!ほら!スマホ貸して!

蓮加:んぁ!


美波は蓮加のスマホを取り、何かを打った。


美波:今日一緒に帰ろうって送っといたから!その時に渡すんだよ!絶対!

蓮加:えぇ........もう無理だよ...

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放課後


〇〇:うしっ!おまたせ!

蓮加:......遅かったね。

〇〇:ごめんごめん。ちょっと屋上行ってて。

蓮加:(屋上....告白かな....)

〇〇:蓮加?帰ろ?

蓮加:......うん。

〇〇:(ありゃ....今日は一段と機嫌悪いか...)

〜〜

〇〇:昨日さー、公園で子供とサッカーやってさー、楽しかったなぁ。

蓮加:ふーん。

〇〇:蓮加も今度来ない?

蓮加:家でゲームしてた方が良い。

〇〇:そ、そっかぁ....


会話が続かない。まぁそれはいつもの事だが〇〇には一つ気がかりな事があった。

それはまだ蓮加からバレンタインを貰えていないということ。


〇〇:あ、あのー.....蓮加さん?

蓮加:なに。

〇〇:今日何の日か...知ってます?

蓮加:......知ら....ない。

〇〇:.....そか。


昨日はバレンタインの話をした筈。そんな思考を巡らせていたら、蓮加の家の前まで来ていた。


〇〇:じゃ、じゃあな? また明日。


今年はチョコを貰えなかった悲しみに暮れながら踵を返し帰ろうとした時だった。


蓮加:ま、待って!

〇〇:え?

蓮加:...ゲームして行かない?

〇〇:え? い、いやそれは....

蓮加:いいから!ゲームするの! 1分経ったら私の部屋来て!良い?


バタンッ


蓮加は家の中に入って行った。

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岩本宅


コンコンコンッ


〇〇:....入るぞー


ガチャ


〇〇が部屋に入ると、蓮加は両手を後ろに隠し立っていた。


〇〇:な、何してんの?

蓮加:へっ!? い、いや....いいから、早くゲームやってよ。

〇〇:俺がすんの?蓮加は?

蓮加:私はいいから。

〇〇:んー?...まぁいいか。


いつもゲームの準備をするのは〇〇。手慣れた手つきで準備してゲームを始めた。

しばらくすると蓮加が話しかけて来た。

〜〜

話しかけるなら今しかない。顔を見ると恥ずかしくてどうにかなってしまうから。


蓮加:き、今日チョコ貰ったの?

〇〇:あ、バレンタイン覚えてたんだ。


墓穴を掘った。


〇〇:10個くらいかな。貰ったよ。


〇〇はゲームをしながら答えた。


蓮加:.....告白とか.....されたの?


思い切って聞いてみる。


〇〇:あー....まぁされたよ。断ったけど。


断った。その言葉を聞いて飛び跳ねる程嬉しかった。


蓮加:なんで断ったの?

〇〇:え?............そりゃ...好きな人いるから。


あぁ、聞かなきゃ良かった。〇〇に好きな人がいるなんて聞きたくなかった。


〇〇:まだ.....好きな人からバレンタイン貰えてないし...


もう渡してしまおう。ずっと後ろに隠しながら持っていたせいで、溶けているのを感じる。

少し目を瞑り、俯いた。決心して〇〇の方を向くと、目の前に〇〇がいた。


蓮加:えっ!?

〇〇:蓮加?大丈夫? なんで泣いてるの?


気づいたら泣いていた。〇〇の存在が自分の中でこんなに大きくなっていたなんて知らなかった。


蓮加:....うぅ....グスッ...好きボソッ

〇〇:え?

蓮加:好き....〇〇の事が...好き。大好き。

〇〇:え、え?

蓮加:私....素直になれないからグスッ....〇〇に嫌われてるのわかってるけどグスッ....好きだからぁ。


目の前の〇〇はひどく驚いた表情を浮かべていた。


蓮加:うぅ.....グスッ....


涙で前が見えなくなって来た頃、不意に体が何かに包まれた。

それは〇〇の体だった。


〇〇:俺も好き。


耳元でそう聞こえた。


〇〇:俺から言わないといけないのにごめんな?

蓮加:へ? 

〇〇:それにしてもわかりにくいよ笑 いつも冷たいから嫌われてんのかと思った。

蓮加:へっ!? へ!? 嘘!?


そこでようやく理解した。今人生で一番幸せな時間だということに。


蓮加:私の事....好きなの?

〇〇:うん。大好き。世界で一番。

蓮加:ふぅ....グスッ...うぇぇ....うわぁぁん!!


涙が止まらなかった。


しばらく〇〇が背中をさすって落ち着けてくれた。

〜〜

〇〇:ねぇ...その手に持ってるのチョコ?

蓮加:あ!これは....


〇〇が指差していたのはずっと持って半分溶けてしまったチョコだった


蓮加:も、もう溶けちゃったから...

〇〇:頑張って作ったんでしょ?ちょうだい?


すごく優しい顔でそう言って来た。


蓮加:.....美味しくなくても文句言わないでよ?

〇〇:大丈夫。絶対おいしいから。


〇〇は蓮加が作ったチョコを半分口に放り込んだ。


〇〇:パクッ.....ん!美味しい!ビターで作ってくれたんだね。

蓮加:へへ笑.....そうだよ。〇〇ビター好きだから。


再び好きという言葉を口にした瞬間。好きが止まらなかった。


蓮加:好き。〇〇大好き。付き合ってくれる?

〇〇:ふふ笑 当たり前じゃん。よろしくね?

蓮加:いひひ笑 嬉しい。

〇〇:久しぶりこんな蓮加見たなぁ笑 ほら美味しいから蓮加も食べな?

蓮加:ん、パクッ.....え、苦い。....でも...甘い。

〇〇:だね。これは本命?

蓮加:うん。"本命"


初めて自分で作ったチョコは苦くて、でも、世界一甘いチョコだった。

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                  Finish



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