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歌が上手いな、マネージャー。




コーチ:よーし、今日の練習は終わり。

〇〇:え?今日早くないすか?

コーチ:最近、練習時間長かったから疲れてるだろ。だから今日は早めに終わる。


コーチからの気の利いた計らいだった。日曜日の練習は、早く終われば終わる程、幸せだ。


「〇〇!この後暇?」

〇〇:はい!暇っすよ。

「皆んなでカラオケ行くんだけど、来ない?」

〇〇:お!いいっすね、行きます!

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〇〇:許してね恋心よ〜、甘い夢は波に攫われたの・・

「おぉ....〇〇って、歌も上手いな...」


思ったよりカラオケに来る人数が多かったので、二部屋に別れる事にした。自由に部屋移動をして、楽しんだ。


〇〇:俺、ドリンクバー取ってきます。


久しぶりのカラオケで興奮していたのか、早めに喉が渇いてしまった。

〜〜

〜〜

〇〇:やっぱコーラだよなー。


ドリンクバーでコーラを注いで、部屋に戻る途中、マネージャーを見かけた。


〇〇:あ、マネージャーも来てたんだ。

中西:ふんふ〜ん.....あれ?あ!間違えました!すみません!

中西:あーあ.....部屋間違えちゃった....

〇〇:....ぷっ笑 あははははは笑

中西:なっ!〇〇! ......見てた?

〇〇:部屋笑 間違えるとか笑.....間違えそうになるけど本当に間違える人初めて見たわ笑

中西:ぬーー!! よりによってコイツに見られるとは.....

中西:誰にも言うなよ!

〇〇:えー....あ、そうだ。俺より歌が上手かったら言わないであげる笑

中西:ふっ....望む所...

中西:歌には自信が・・ってもういないじゃん!

中西:先輩の話は最後まで聞けー!!

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中西:.....あれ、一人になっちゃった。

自由に部屋移動が仇となったのか、皆んなあっちの部屋に移動してしまい、部屋に一人になってしまった。


中西:......なんか...寂しいな。


友達と来てるのに、一人で部屋にいるのは、中々に寂しい。


ガチャ


〇〇:よーっす。

中西:んぁ! ....よりによって〇〇か...。


部屋に入ってきたのは、〇〇だった。


〇〇:部屋に人いっぱいになっちゃったから、もしかしてマネージャー1人で寂しがってるのかなぁって思って来たの笑

中西:....ふん、別に寂しくないし//

〇〇:あ、そうだ。何か歌ってよ。マネージャーの歌聴きたい!



キタ。これだ。ここで〇〇を見返してやろう。



中西:....いいだろう。聴かせてやる。


〜〜


中西:怖いくらい〜 覚えてるの〜・・


一番得意な曲を披露した。気合いを入れて、靴を脱いでソファの上に立って歌った。


中西:.....チラッ..


歌っている途中、〇〇の方を少し見た。

.....いつもの〇〇とは、違い真剣な表情で見ていた。


中西:....(なんか調子狂うな..)


〜〜


歌い終わって、点数が表示される。


95.331点


まぁ、中々取れた方じゃないか?

何も言わない〇〇の方を、恐る恐る見下ろした。


〇〇:.......すげぇボソッ

中西:え?


何か小さい声で聞こえた。


〇〇:....いつもは雑魚ボイスなのに....すげぇ...

中西:なっ! ....なんだとぉ!


今度はハッキリと聞こえた。雑魚ボイスだと。

こいつは素直に褒める事は出来ないのか。


中西:だから私は先輩だって・・

中西:あわわっ!


一つ文句でも言ってやろうと、〇〇の方を向いた途端。 ソファの感覚に足を取られて転んでしまった。


中西:(うわー....絶対笑われる...)


転んで倒れる最中、〇〇が笑っている所が頭に浮かんだ。


ポスッ



中西:いたっ.....くない..。


頭に衝撃が来なかった。恐る恐る目を開けると、目の前には〇〇の顔があった。


中西:んん!


どうやら、今私の頭は、〇〇の太ももの上だ。


中西:(ち、近い//)

〇〇:すごいっす!

中西:え?

〇〇:アルノさんって歌上手いんすね!びっくりしました!

中西:え、えぇ!?//


近い近い! 気づいてないのか!今とんでもなく顔近いぞ!しかも膝枕だぞ!


って...そんな事より.....



中西:い、今....敬語...。あと...アルノさんって..//

〇〇:えぁ.....い、今の無し//


目の前の〇〇の顔が、どんどん赤くなっていくのが分かった。


それは、ずるいだろ。


中西:んん!!

〇〇:あっ.....


私は飛び起きて、そのままの勢いで部屋を出た。



ガチャ バタンッ!



中西:それは...ずるいだろ...。....急に後輩感出してくるなぁぁ!!!///



私は色んな声が飛び交うカラオケの廊下を、叫びながら走った。

〜〜

〜〜

〇〇:ちょっ、マネージャー! 靴!靴忘れてる!


どうやらもう走り去っていったらしい。


〇〇:......あそこで転ぶか普通....


精一杯バカにする言葉を吐いても、さっき自分が言ってしまった事がよぎる。

もう、バカにする言葉の語彙が失われていくのを感じて、最後に一つだけ呟いた。


〇〇:.....どんくさいなぁ..//

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              To be continued?



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