好きになったら負けのゲームで、潔く負ける事にしました。
蓮加:いひひっ笑 蓮加の勝ちー笑
〇〇:だーー! また負けた.....
蓮加:ゲームじゃ逆立ちしたって私に勝てないね笑
〇〇:調子乗んな! ....じゃ、そろそろ帰ろっかな。
蓮加:えー!家すぐそこなんだからまだいいじゃん!
〇〇:もう夕飯の時間だから無理。
蓮加:ねぇ.......ダメ?
〇〇:っ..// ダメ! 帰る!
バタンッ
蓮加:....むー...今日もダメだったか..。
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俺と蓮加は幼馴染。生まれた病院も一緒だし、家も細い道路を挟んで向かい側。
小さい頃からいつも一緒だった。
△△:おはよー、〇〇。
〇〇:おー、おはよ。
△△:明日の模試終わったらさ、どっか飯行こうぜ。
高校三年生ということもあり、模試も多くなる。
〇〇:あー....ごめん。明日は蓮加ん家行くから。
△△:またぁ!? 昨日も行ってなかった?
〇〇:んー、まぁ今日も行くしな。
△△:いや....仲良すぎだろ...。てか仲良いっていうかそれもう好き・・
〇〇:ちがーう!!
△△:おぉ...
〇〇:別に好きとかじゃない!断じて!
△△:わかった、わかったから笑
△△:(何故かそこだけは毎回否定するんだよな笑)
〜〜
〜〜
梅澤:蓮加ー、明日の模試どうしよー...できる気がしないよー..
蓮加:模試?明日模試なの?
梅澤:あれ、もしかして知らなかった?
蓮加:知らなかった.......
梅澤:じゃあ今日は〇〇君と勉強しなきゃだね笑
蓮加:うん。そうする。
梅澤:...で?どう?好きにさせられた?
蓮加:全っ然ダメ....〇〇って好きな人でもいるのかな..
〇〇とは小さい頃からずっと一緒だった。
〇〇と一緒にいると楽しいし落ち着く。でも、過去に一回だけ喧嘩したことがあった。なんで喧嘩したのかは忘れたけど、その時お互いに決めた事だけは覚えてる。
お互いを好きになったら負け
何故かこれだけは覚えていた。私だけ覚えてるのかも知れないけど。
それから何度も好きにさせようと頑張ってるけど、一向に好きになってくれる気配がない。
梅澤:んー....なんだったら蓮加の方が好きに・・
蓮加:なっ、なってないから!// ゲームには絶対負けないんだから..//
梅澤:はいはい笑 わかったわかった笑
梅澤:(蓮加が鈍感なだけなんじゃないかな笑)
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岩本家
蓮加:〇〇っ! 今日はゲームじゃなくて勉強ねっ!
〇〇:おぉ...珍しいな笑
蓮加:明日模試だって事、忘れてたの!
〜〜
〜〜
いつもゲームばかりしている為、勉強の集中力なんて持つはずも無く....
蓮加:.....飽きた。
〇〇:はやっ!
蓮加:ゲームしよーよー。
〇〇:ダメ。明日模試なんだから。
蓮加:だってさー、別に地元の大学にだったら入れるしー....
〇〇:あ、蓮加は地元の大学入んのか。
蓮加:うん。..........え!? 〇〇違うの!?
〇〇:あれ?話してなかったっけ。俺は県外の大学行くよ。
蓮加:えぇ!? そ、そうなの....
〇〇:うん。だから今年いっぱいかな。こうやって蓮加の家行けるのも。
蓮加:....ふ、ふーん...そっか。
〇〇:ま、学力的にも余裕あるし今日はゲーム・・
蓮加:いや、勉強する。
〇〇:へっ?
蓮加:勉強するっ!
〇〇:そ、そうか...
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模試が終わって、一ヶ月。俺の周りには変化が起きていた。
△△:〇〇ー.....見てくれよこれー。
〇〇:ん?
志望校判定 E
この前の模試の判定だ。
〇〇:おぉ....まぁまだ夏前だし。こっからだよ。
△△:だってE判定だぜ?
〇〇:E判定は良い判定つってな。巻き返しできるって。俺も教えてやっから。
△△:ありがとうー! あれ...でも蓮加ちゃんの家行かないの?
〇〇:あー....なんか最近来るなって言われてるんだよな...
△△:え?なんで?あんなに行ってたじゃん。
〇〇:わかんない....俺なんかしたかな...
△△:だからお前最近元気なかったのか。
〇〇:げ、元気あるわ!
△△:素直じゃないねぇ笑
〜〜
〜〜
〇〇:今日はこんくらいにしとくかぁ....
日が降りて、辺りはもう暗かった。勉強というものは、集中していればすぐ時間が経ってしまう。
いつもなら蓮加の家にいる時間なんだけど。
そんな事を考えながら、教室を出た。
〇〇:........ん?
廊下を歩いていると、一つの教室に明かりがついていた。
〇〇:消し忘れかな。俺が消しといて・・
教室を通りかかり、扉の窓から中を見ると、そこには蓮加がいた。
蓮加:....んー...ここわかんないな...
〇〇:な、何で蓮加が....
後ろに気配がして、振り返ると梅澤がいた。人差し指を口に当てながら手招きしている。
梅澤:ダメだよー、蓮加勉強してるんだから邪魔しちゃ。
〇〇:蓮加が勉強!? どういう風の吹き回し!?
梅澤:なんか、勉強する理由が出来たみたいだよ。勉強しないと〇〇君との決着がつかないって。
〇〇:決着?...なんか勉強で勝負してたかな...。
梅澤:今日帰ったら聞いてみたら?
〇〇:....そうする。
梅澤:(あとは頑張んなさいよ、蓮加)
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蓮加:んー.....
もう一度、クシャクシャにした模試の判定を拡げてみる。何度見たって判定は変わらないのに。
蓮加:むむむー....
このままじゃ、離れ離れになってしまう。
コツンッ
窓に何か当たる音がした。石だろうか。
カーテンを開けて外を見た。
蓮加:あっ....
〇〇がこちらを見て、大きく手を振っている。
ガラガラガラッ
蓮加:なにー!?
〇〇:あれ?なんだよ、元気そうじゃん!
細い道路を挟んで私達は会話をする。
蓮加:私が元気ない訳ないでしょー!
〇〇:最近勉強してるからさ、具合でも悪くなったかと笑
蓮加:むっ!私だって勉強するし!
〇〇:でも何で急に?
蓮加:なんでって.....んー....
私は一度部屋に戻って紙を取ってきた。
蓮加:おりゃ!
〇〇:うおっ...ん?
クシャクシャにして丸めた紙を〇〇の部屋めがけて放り込んだ。
〜〜
〇〇:何だこれ....
紙を拡げてみると、それは一ヶ月前の模試の結果。
〇〇:これ、蓮加の判定か...ん?
第一志望には、□□大学 E判定と大きく書いてあった。
〇〇:□□大学って....俺が行くとこ....
蓮加:べ、べべ別に〇〇と一緒の所に行きたいって訳じゃないから!
〇〇:じゃ、じゃあなんで...
蓮加:だって...あの勝負の決着...ついてないし//
〇〇:あっ....
蓮加、あの時言ったこと覚えてたんだ。それで俺と同じ大学に....
それが分かって、急に恥ずかしくなってきた。
〇〇:....じゃあ俺が勉強教える。
蓮加:えっ!?いいの!?
〇〇:うん。だから新しいゲームしよう。
蓮加:新しいゲーム?
〇〇:うん。蓮加が俺と同じ大学入れたら俺の勝ち。入れなかったら俺の教え方が下手って事で、蓮加の勝ち。
〇〇:前のゲームはもう終わりにしよう。
〜〜
終わりにしようってなに?蓮加の事嫌いになっちゃったの?
蓮加:お、終わりって何?
私がそういうと、〇〇は部屋に戻ってしまった。
蓮加:、、、、、、
呆然と立ち尽くしていると、〇〇は再び戻ってきて私の部屋に何かを投げた。
蓮加:ん?さっきの模試の紙じゃん。
投げ返された模試の紙を拡げて見ると、"岩本蓮加"の名前の所に何か追記してあった。
岩本蓮加 のことがずっと好きでした。だからゲームは俺の負け。
蓮加:えっ!?
私は〇〇の方を見た。〇〇の顔は夜で分かりにくかったけど、確かに赤らんでいた。
〇〇:だ、だから...俺の負けだよ//
〇〇:次は俺が勝ちたいから....絶対同じ大学受からせる//
蓮加:....んーー/// わ、私も好きだったから引き分け!
〇〇:え?
蓮加:い、今から〇〇の部屋行く!//
〇〇:.....変な所で負けず嫌いが出たな笑
私は勢い良く階段を降りた。早く、〇〇とゲームをする為に。
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春 晴れて蓮加は、俺と同じ大学に入学した。
〇〇:....へへっ笑 俺の勝ちー笑
蓮加:むーっ!....つ、次のゲームは・・
蓮加:先に手繋いだ方が勝ちね!おりゃ!
パシッ
蓮加:いひひ笑 蓮加の勝ちー!
〇〇:なっ!ずる!
私達の、カップルとしてのゲームはまだ始まったばかりだ。
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Finish
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