"建築"と"メタボ"
ぽっちゃりのメタボリックのお話ではありません。
建築におけるメタボリズムとは「新陳代謝」を意味する生物学上の用語で、生き物のように形を変えたり、位置を入れ替えたりできる建築物を作ろうという思想である。
1960年代、日本は高度経済成長の真っ只中。建築業界も「新しい時代を作ろう」という活気に満ちており、次々と実験的なデザインが生み出されてた。
黒川絶章が設計した「中銀カプセルタワー」は東京・銀座に位置し、メタボリズム建築の代表格と呼ばれる有名な建築物だ。
中央の塔のような部分に階段やエレベーターなど必要不可欠なものが収められており、その周りにカプセル型の住居スペースが取り付けられている構成になっている。
そして驚くことに、これらのカプセルは取り替えが可能だ!
カプセルはコアの鉄骨から上下2箇所ずつ、合計4箇所で固定されている。カプセルの重量はひとつ当たり約4・1トンもあり、そんな重量をたった4点で支える技術も驚きだが、とにかくこの構造によって、まるでレゴブロックのようにカプセルを取り替えることができるようになっている。
メタボリズムを提唱した建築家たちは、設計者が意図した合理性や美しさを保つことよりも、社会や使い手の変化・要望に応じて形を変え“新陳代謝”していくことで永続的に機能する建築物を目指したのだ
2022年FIFAワールドカップの開催地であるカタールに建設されたスタジアム「ラス・アブ・アブード競技場」
この競技場は別名「レゴ・スタジアム」と呼ばれている。その名の通り、解体、移動、リュースを可能にし、循環を意識した世界初のサッカースタジアムである。
建築物の設計では、スペースや部品などひとつのまとまりを「モジュール」という単位で区切って設定し、そのモジュールをレゴブロックのように組み立てていくことで、全体を形作っている。解体や再構築が手軽に実現できるようになっている。
オリンピックやワールドカップのスタジアムは、大会の終了後は維持費は膨大な額になるため、簡単に解体できる構造は大きなメリットだ。
『参考資料』
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/中銀カプセルタワービル
https://real-sports.jp/page/articles/499367641597608763/