
実は奥が深い”水やり”
「水やり三年」とよくいわれます。植物への水やり方法を体得するのには、3年かかってやっとそのコツがつかめるということです。
「植物の顔を見ながら水やりをしなさい」ともいわれます。なぜ、水やりは難しいのでしょうか。その理由に以下のようなことがあげられます。
植物の種類によって、水を多く欲しがるものとそうでないものがある。
植物によって原生地が異なります。乾燥地を自生地とする植物では、頻繁に水やりする必要はありません。少ない水分条件の土地でいかに生きるか、体内から水分を逃がさないように進化しています。
植物が植えられている土の種類が異なる。
越水性のよい土地に生育している植物は、水分が停帯しない用土に植えます。したがって、乾きやすいので、常に気をつけて水やりを行う必要があります。それに対し、排水性のよくない用土に植えられている場合は、頻繁に水やりする必要はありません。
植物は生育時期により水の要求量が異なる。
植物は季節の変化に合わせて生活しています。温帯に生活する植物は、春の温度上昇とともに萌芽し、枝を伸長、葉を展開します。その後、開花、結実し、落葉では晩秋に葉を落とし、冬は休眠します。当然、植物は活発に生育しているときに水分を要求し、休眠しているときにはあまり水分を要求しません。
天候や季節によって状態は常に変わる。
晴れた日は用土がよく乾きます。夏は水やりしてもすぐに乾きますので、1日に2回以上は水やりしなければなりません。曇りの日、晴れそうにない日には水やりを控えます。
水やりは、植物そのもの、土のこと、天候のことなどから総合的に判断しながら行います。
親は子供がどんな理由で泣いているのか、経験と勘で判断します。同様に、話ができない植物が何を要求しているのか、植物の顔と土のようすなどから見極める繊細な作業です。
工夫と苦労が必要な植物の栽培、とても面白いです。