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パラシュートの歴史
レオナルド・ダ・ヴィンチは自身のスケッチにパラシュートを使って空に浮かぶ様子を描いている。
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パラシュートの概念は1400年代のダ・ヴィンチ以降に生まれたのかと思いきや、それよりもはるか昔に中国で使われていたようだ。
(凧があるのだから、凧を改良する中でパラシュートも考え出されたのだろう。)
パラシュートの使用に関しては、中世の書物『程史』にこんな記述が残っている。
この本は、1192年に広東で目撃した出来事を記している。当時の広東にはアラビア商人の大きな社会が形成され、彼らの回教寺院がいくつかあった。その一つは「尖った銀のペンのような灰色の雲突く塔」を備え、その中には螺旋階段があった。てっぺんには金の鶏が乗っており、片方の足がなくなっていた。
それは1180年に悪賢い泥棒が盗んでパラシュートで逃げたのだった。
泥棒はちょっとした英雄になったらしい、彼自身の言葉が残されている。それは次のようなものだった。
「俺は取手のない2本の傘にぶらさがって降りたんだ。空中に飛び出すと、強い風でそいつがいっぱいに開いて翼のようになり、俺は怪我ひとつなく地面に降りたのさ。」
なんとも危険な、ルパンやコナンに出てきそうな逃走劇だ。何事も恐れずにやってみようという人がいるから社会は発展するということか。
『参考資料』
中国の科学と文明 ロバート・テンプル著