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チョコレートの包装から広まったアルミホイル

 19世紀の末まで、アルミニウムは貴金属と見なされていた。おもな原料であるボーキサイトという鉱石から抽出するのが難しかったからだ。しかし、1886年に電解還元法が発見されると、ホール=エルー法と呼ばれるエ程によって、アルミニウムは初めて効率的に分離・単離できるようになる。これで一気に生産コストが下がり、万能金属としてのアルミニウムの新たな使い道の模索が急ピッチで進んだ。
(アルミニウム精錬には大量の電力を消費する。実際にトンあたりにすれば銅の3倍、亜鉛の3.5倍などと突出しているため、安価な電力が得られるところでないと採算が合わない。現在の日本では電気料金の点で外国と太刀打ちできないため国内ではアルミ缶などの再生が中心であるが、それでも平成26年までは日本軽金属が自前の水力発電所による電力を利用して静岡県の瀧原で精錬事業を行なっていた。)

 19世紀にはすでにスズの極薄シートでできたホイルが製造されており、一部の食品を包むのに使われていた。ただ、スズのホイルで包んだ食べものからは、かすかに金属的な味がすることもあった。

 1910年、スイス人技師ロバート・ビクター・ネーハーが、スズのホイルの代替品として連続圧延法でアルミホイルを製造する特許を申請する。スイスの有名な三角形のチョコレートバー「Toblerone(トブラローネ)」をはじめとするチョコレート製品の包装にアルミホイルを使い始めた。

 可鍛性に富み、食べものに味を移さないアルミホイルは、油脂を吸わない一方で、熱を逃がさない効果に優れていることが分かり一気に普及した。

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