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不思議な作物『トウモロコシ』
世界で最も多く作られている農作物は、コムギでも、イネでもなく、トウモロコシだ。
トウモロコシはイネ科の植物と言われるが、明確な祖先種である野生植物が見つかっていない不思議な植物だ。
一般的に植物は、一つの花の中に雄しべと雌しべがある。イネやコムギなどイネ科の多くは、一つの花の中に雄しべと雌しべがある両性花である。
ところが、トウモロコシは茎の先端に雄花が咲く。そして、茎の中ほどに雌花ができる。雌花もずいぶんと変わっていて、絹糸という長い糸を大量に伸ばしている。この糸で花粉をキャッチしようとしているのである。
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この雌花の部分が、私たちが食べるトウモロコシになる部分である。私たちがトウモロコシを食べるときに皮を剥いて食べる。皮を剥くと中から黄色いトウモロコシの粒が現れる。このトウモロコシの粒は、種子である。
当たり前のように思えるが、これが不思議なのだ。
植物は種子を散布するために、さまざまな工夫を凝らしている。たとえばタンポポは綿毛で種子を飛ばすように。
ところが、トウモロコシは、散布しなければならない種子を皮で包んでいるのだ。皮に包まれていては種子を落とすことはできない。さらには皮を巻いて黄色い粒をむき出しにしておいても、種子は落ちることがない。種子を落とすことができなければ、植物は子孫を残すことができない。つまり、トウモロコシは人間の助けなしには育つことができないのだ。まるで家畜のような植物だ。
いったいどうやって進化してきたのか、不思議だ。
『参考資料』