フリーサイズ工具"モンキーレンチ"の歴史
技術の実習でよく使う『モンキーレンチ』
どんな大きさのナットやボルトにもフィットする、究極のフリーサイズ工具だ。
この究極の工具を発明したのは、スウェーデンの発明家ヨハン・ペター・ヨハンソンだ。
エンシェーピングス・メカニスカ・フェルクスタという工房を経営していたヨハンソンは、作業を行う際、いろいろなサイズのナットやボルトに遭遇し、新規の修理や作業に取りかかるたびに新しいレンチを鍛造したり作ったりしなければならないことが多かった。これでは手間だし時間がもったいないということで、試行錯誤を始めた。
行き着いたのが、ウォームギヤを回すとレンチの顎の幅が広がったり狭まったりする機構で、片方の顎は固定され、もう片方の顎がねじ山に沿っで動くことで、どんなサイズのナットやボルトもつかむことができる"モンキーレンチ"だ。
1892年にスウェーデンの特許第4066
号を取得したヨハンソンは、6サイズの第1世代モンキーレンチを製造し、「Bahco(バーコ)」の商標で世界中に販売することで合意した。
その結果、1億本以上製造されたヨハンソンのレンチは、多くが産業界や鉄道機関車で使われ、残りは家庭や車の工具箱に収まり、家具の組み立てから自転車の車高調整に至るまで、無数の用途で使用された。