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「いまのみた?」の「いまの」ってなに?
「この前の件だけど」と友達に言われて「…どの件?」と戸惑うことがあるように、私たちの日常会話は、曖昧さに満ちています。
それにもかかわらず会話が成り立つのは、聴き手が、発話の手がかりをもとに、うまく解釈することができるからです。
従来の研究から「時間的な近接性」(時間的に近いものに結びつける)や「希少性」(状況の中で「目立つ」ものに結びつける)が曖昧な発話解釈の手掛かりになることが分かっていますが、両者がどのように相互作用するのかについては未解明でした。
九州大学などの研究チームは、この「今の見た!!」に対する考え方が、成人と子ども(10歳以下)では異なる事を明らかにした。
子どもは成人と比較して、「いまの見た?」の発言を、発話直前のイベントに結びつける(時間的近接性を重視する)傾向が強いことが明らかになりました。さらに、子どもにとっては、希少性の効果は時間的近接性と独立して解釈する傾向があるといいます。
成人は希少性と時間的近接性とが相互に影響しつつ統合されています。
今回の発見は、子供とのコミュニケーションや対話ロボットの開発に役立つことが期待されます。
『参考資料』