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正面と裏面の顔(看板建築)

「看板建築」とは、建築家・建築史家の藤森照信が命名した店舗兼住宅の形式を指す言葉である。名前の通り住居の前面に看板(広告)を張り付け、一体化した形をしている。

『看板建築の定義』

1.  間口が狭く奥行きがある店舗兼住宅
2.  木造であるが建物の正面は平坦
3. 正面部分は擬洋風
4. 3階建て屋根は西洋式の「腰折れ屋根」が多い

江戸東京たてもの園


『看板建築の進化の経歴』

看板建築進歩の過程には、1923年に起きた関東大震災が深く関係している。

震災後、まず優先的に復興が進められたのは、銀座や日本橋などの中心的な商業エリアだった。当時の一流建築家たちが仮設ながら美しい店舗を急ピッチで設計し、造り上げていった。

ではプロの建築家が中心エリアで引っ張りだこになっているなか、復興の手が届かない下町エリアはどうしていたのだろうか。たくましい商人たちは、こう考えた。

「専門家が捕まらなければ、自分たちで作るしかない!」

「せっかく建て直すなら見た目も良く、同時に情報も発信できるような店にしよう」

つまり看板建築はプ口の建築家ではなく、民衆のアイデアの中から誕生した様式なのである。正面は派手に見える装飾が施され、後面、側面はコストダウンをはかっている。まさしく”商人の知恵”が詰まった実用的な建築だ。

風見鶏


皆様も、そういった建物を見つけたら、ぜひ観察してみてください。正面の顔と裏面の顔の違いから新たな発見があります。

『参考資料』

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