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輸出規制の中生まれた『鉛筆』
1564年、英国イングランド北西部のボローデールで、固形黒鉛の巨大な鉱床が発見された。この鉱物は石炭に似ていながら、石炭にあるはずの可燃性を欠いていたため、地元の農民たちは困惑したものの、農民たちは羊の群れに目印をつけたり識別したりするのに利用した。その後、黒鉛の小さな四角い棒を手頃な長さに切り落とし、紐で巻くか羊の皮などで包んだものは、筆記や描画のために非常に便利な道具として、ヨーロッパ中に広まった。
1790年代に英国船がフランスの海上交易を妨害したため、フランスは黒鉛棒を輸入できなくなった。このとき、何か代替品を考えるよう求められ、軍事気球搭乗員であったニコラ・ジャック・コンテは、黒鉛の粉末と粘土を混ぜて細い棒状にし、窯で焼き、木製の円筒を2つに割ったもので挟んだ。こうしてコンテは近代的な鉛筆を発明した。コンテは、粘土と黒鉛の割合を変えることで、濃さと硬さの異なる鉛筆が作れることも発見した。
最も柔らかい9Bから最も硬い9Hまである鉛筆の等級は、米国を除く多くの地域で今も使われている。