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【技術史】乾電池
電池の発明は、1780年のイタリアのガルバーニによる「動物電気」の発見がきっかけになりました。2種類の金属の間に皮をはいだカエルの脚をおくと脚がピクピクとけいれんをおこしたのです。世界中の学者が、我先にとこの実験を行いました。
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イタリアのボルタもその一人です。彼は異なる2種類の金属の接触で電気が起こることを見つけて1800年に報告しました。ボルタ電池の発見です。日本には、電池は1854年に、ペリーによる将軍への献上品の一つとしてもたらされました。
乾電池は、日本人である屋井先蔵の発明です。当時の輸入電池は液体式のダニエル電池で、薬品がしみ出して金具が腐食したり、冬には凍結して使えないなどの欠点がありました。
そこで屋井は乾電池の開発に取り掛かりました。昼間は会社の仕事があり、開発は夜しかできません。3時間以上は眠ったことがない日々が続きました。とくに苦労したのは正極への薬品のしみ出しを防ぐことでした。彼は、炭素棒にパラフィンをしみ込ませることにより、ついに1887年、「屋井乾電池」を完成することができました。
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乾電池発売当初は、「乾電池などというものは怪しい」ということで、全く売れませんでした。1892年、帝国大学理学部がシカゴ万博に屋井乾電池を使用した地震計を出品したことにより世界的な注目を浴びることとなしました。