コント 『閉店』
飲み屋の閉店。
店が閉まる間近、店の中には
客一人と店主一人
店主 「お客さん、料理どう?」
客 「美味しいです。お値段も安いし、良いでよね。」
店主 「ありがとうね。でも、このお店今日で閉店なんだ。」
客 「張り紙見ましたよ。寂しくなりますね。」
店主 「せっかく気に入ってもらったのに・・・」
客 「あ~、明日からどこのお店いこうか・・・」
店主 「お客さんこの店初めてかい?」
客 「十年通ってます。」
店主 「えっ・・・」
客 「毎日来てました。」
店主 「・・・・えっ・・・」
客 「だから今、冷静に見えてかなりショックが大きいです。」
店主 「・・・すいません・・」
客 「・・・・・あるんですね。こういう感じ。いや、自分でも影は薄い方だって思いますけど・・十年通って、たった一人の店員にも覚えてもらえないなんてあるんですね。」
店主 「…最悪だよ・・」
客 「本当に最悪ですね。」
店主 「最後の最後で、なんで覚えてねぇ客がいんだよ。」
客 「・・・えっ?」
店主 「あぁぁ最悪だ!」
客 「今、最悪なこと口走ってませんか?」
店主 「十年通ってるってことは、この店のオープンからだよな?」
客 「はい。当時は新しい店出来てうれしくて。」
店主 「十年経ってお互い最悪だな!」
客 「言わせてもらうけど、あんた接客は本当に雑だな。」
店主 「あんたを覚えてないくらいだからな!」
客 「何?どうしたい?」
店主 「始めて来た事にしてほしい。」
客 「無理だよ!」
店主 「こっちは十年がんばってきて、去年も乗り越えてきたんだ。」
客 「今年は早々につぶれたな!」
店主 「そうだな!」
客 「普通十年通ってたら嫌でも顔覚えるだろ。」
店主 「客は金にしか見えてないからな!」
客 「最悪な店だな。」
店主 「じゃぁ、お詫びに一個面白い事教えてやる。」
客 「多分それ不快だろ?」
店主 「さっきまで楽しそうにやたら話しかけてくるおっさん居たろ?禿げ頭の」。
客 「吉沢さんだろ?それがどうした?」
店主 「あいつも誰だかちょっとわかってない。」
客 「頭の中身どうなってんだお前は。」
店主 「金にしか見えてないからな。」
客 「吉沢さんに至っては中々インパクトある顔と頭だぞ。」
店主 「初めましてだコノヤロー。」
客 「あのハゲは毎晩話しかけてただろう!」
店主 「知らないねぇ!」
客 「酒の飲みすぎで頭おかしいんか?」
店主 「俺は一滴も酒飲めねぇ!」
客 「ナチュラルにそれは普通よりやばい!」
店主 「なぁ、相談がある。」
客 「サイコパスすぎるだろ!」
店主 「隣町に新しく店作るから、そん時は来てくれよな。」
客 「どのテンションで誰に頼んでんだ」
店主 「俺はここの客があまり好きじゃねぇ。」
客 「絶対行かないよね。」
店主 「値段少し上げるけどよ。」
客 「なに?ちょっといい店にするの?」
店主 「メニューは変わらねぇからよ。」
客 「なおさら行かねぇわ!」
店主 「十年間ありがとうな。」
客 「どのタイミングでお礼言ってんだよ。」
店主 「最後に・・・本当に十年来てた?」
客 「こっち疑うのかよ!」