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マガン集う美唄 人のねぐらも充実
秋深まりゆく北海道で、ぜひ訪れていただきたい場所があります。札幌から車で1時間余りで行ける美唄市の「宮島沼」。夏にロシアの極東地域で繁殖し、日本で冬を越すために飛来するマガンの国内最北端寄留地として知られるラムサール条約湿地です。9月には近くに「道の駅」がオープン。マガンだけでなく、ドライバーにとっても最高のねぐらが誕生したのでご紹介します。
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宮島沼でマガンが見られるのは、9月下旬から10月下旬にかけて。カムチャツカ半島から休まずに飛び続けた群れが、越冬地の宮城県へ向かう前に休息を取ります。私が訪れた10月7~8日は約6万羽が飛来していました。マガンの生態は入り口にある水鳥・湿地センターで学ぶことができます。
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館内では、羽根を広げると全長70センチ強のマガンが出迎えてくれます。近くで見ると大きいです。
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マガンは骨休み期間中、毎朝一斉にねぐらを飛び立ち(ねぐら立ち)、周辺の田んぼに残った落ちもみを食べ、夕方にはV字編隊で順々にねぐらへ戻る(ねぐら入り)生活を繰り返し、英気を養います。
この日夕方の光景がこちら。沼に突き出た突堤が絶好の観察スポットです。
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写真だけでは伝わりにくいので、ぜひ動画を見ていただければと思います。群れの行動を見ていると時がたつのを忘れるほど面白いんです。
■夕方のねぐら入り
閑話休題。今年9月1日、美唄に隣接する月形町に「道の駅275(にーななごー)つきがた」が開業しました。
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ここは宮島沼から車で10分足らずの距離。オープンするやいなや、以前に紹介したサイト「みんなでつくる車中泊マップ」で、全国2位にランクインしました。下の画像をクリックしていただくとランキングを見ることができます。
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100点満点中96点の高得点をマークし、全国約9000カ所のスポットの中で堂々の2位。ちなみに、ここから車で15分ほどの近距離にある北村中央公園ふれあい広場と、「道の駅 みたら室蘭」がともに91点で3位。1位は以前に紹介した道北・初山別村の「みさき台公園キャンプ場」の97点でした。表彰台独占、すごいぞ北海道!
「275つきがた」は元々、村営の皆楽(かいらく)公園を改修してできた道の駅。国道275号から数百メートル離れた場所にあるため、静かなんです。さらに、老朽化していた「月形温泉ゆりかご」も同時にリニューアルしました。
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セルフロウリュのサウナと水風呂が新調されたほか、休憩室もきれいに生まれ変わりました。2階には寝転がったり、ハンモックで漫画を読めるコーナーもあります。
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施設入口近くにはコンセントを備えたフリースペースも。Wi-Fiも使えるので仕事もはかどります。
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レストランもありますし、車中泊の際は温泉でのんびり過ごすのがおすすめです。
温泉の隣にあるのが24時間トイレ。完成したばかりなのでピカピカでした。
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車を停めるスペースも広いのですが、静寂性を重視し、キャンプ場近くの未舗装駐車場を選びました。
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ここで午前4時半までぐっすり就寝。日の出前の午前5時過ぎに宮島沼へ繰り出しました。
早朝は突堤に通じるゲートが閉まっており、観察小屋を利用させてもらいました。
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沼からは少し離れるのですが、寒さもしのげて好都合でした。ここで観察できた早朝のねぐら立ちがこちら。
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スマートフォンでしたので、写真はあまりうまく撮れませんでした。動画の方が迫力が伝わると思います。
■早朝のねぐら立ち
宮島沼には何度も通っているのですが、早朝のねぐら立ちを見るのは初めて。マガンが一斉に沼を飛び立つ様は壮観でした。
道の駅ができたことで、これまで以上に観察しやすい環境が整いました。宮島沼には3月下旬~5月上旬にかけても、宮城からロシアへ向かうマガンが飛来します。チャンスは毎年春と秋の2回。野鳥にあまり興味ない方でも楽しめるスポットだと思います。