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豊平川で自給自足たき火

 残暑も収まり、札幌に秋が訪れた。半袖だとやや肌寒さを感じた9日夜、自宅前の豊平川で趣味のたき火に興じてみた。
 豊平川は一級河川。基本的には国が管理している。ただ、市街地は札幌市が豊平川緑地という名の公園に指定しており、火気使用は認められていない。
 となると、たき火をするには遠くまで行かなければならないのだが、「灯台もと暗し」とも言える国の管理区域がある。橋の下だ。わが家の前は、橋をまたいでパークゴルフ場が広がっているが、パークゴルフ場内でなければ橋の下でバーベキューも楽しめる。直火は認められていないのでコンロは必携だ。


 コロナ禍でキャンプが流行し、今ではたき火に興じる芸人も多く見られるようになったが、自分が幼い頃、たき火を趣味にしていた芸能人と言えば、西部警察の「大門軍団」を率いていた渡哲也だった。「火を見ていると落ち着くんですよ」。石原軍団のボスが、ブランデーを片手にブラインドの隙間から窓の外を眺める貫禄のある人になっていた当時、格好良かったのは断然、大門の方だった。子供ながらに「たき火が趣味って粋だな」と感じ、大人になったら趣味にしたいと考えるようになった。
 大学生の頃はたまに、仲間と海に繰り出してたき火をしていた。海岸に生えている草木は湿っていることが多く、火をつけるのが難しかった記憶がある。
 豊平川では枯れ木や枯れ草の自給が容易だ。パークゴルフ場の横には森が広がり、広大な芝生広場を隔てた先には、その形から個人的に「ハートの森」と呼んでいる林もある。


 松などの針葉樹は火付きがよく、松ぼっくりも火力安定に良い働きをしてくれる。10分もあればたき火素材を自給できる。ただし、広葉樹は少ないため、間伐材や薪などは用意しておく必要がある。
 昨今のブームで、たき火道具も以前と比べコンパクトになった。コロナ禍の2~3年前に購入した製品は、バーベキュー用の網に加え、火吹き棒も一緒に収まり、とても便利だ。


 たき火にチャッカマンは必要だが、着火剤は使わない主義だ。手始めに針葉樹や、林に混生しているダケカンバの枯れ木を燃やし、いい具合に火が育ったら薪を投入する。火吹き棒で炎を安定させたら、落ち着いた明かりを愛でる。何とも贅沢な時間が流れる。


 お気に入りのスペースは橋の下の河原。ここだと通りかかる人もなく、芝などに延焼する心配もない。もちろん、ごみは出さないようマナーを順守している。
 今年もたき火が恋しい季節がやってきた。街のど真ん中で楽しめるのも、札幌の魅力の一つと思っている。

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