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札幌の宿 ADDressも面白い

 多拠点生活を進める上での有力な選択肢として、「ADDress(アドレス)」というサブスク型の宿泊サービスがあります。2019年の開始当初は全国11カ所の宿泊施設を月5万円、年間契約だと月4万円で何日でも滞在できるサービスを提供し、注目を集めました。

 当時、サラリーマンだった私は「会社を辞めたら、ひとまずアドレスに入会して国内を旅しよう」と考えていました。ところが、コロナ禍の影響もあったのでしょうか、脱サラ直前の2023年1月、アドレスは大幅な値上げに踏み切ります。月30泊(予約チケット30枚)のプランは9万9800円と倍額に。ホテル代が大幅に値上がりしている昨今、これでも安いのかもしれませんが、私は「アドレスでの全国行脚」をいったん保留しました。

 ただ、アドレスの拠点は徐々に増え、現在は国内・海外に約300カ所あるそう。とりあえずサービスの一端に触れてみたいと、今春からお試しプランに入ってみました。
 月980円の「コミュニティプラン」では、アドレス会員のコミュニティに加わることができます。会員専用のホームページがこちら。

 全国各地の滞在施設を管理している「家守(やもり)」の方々が企画するイベントなどに参加できるほか、入会して3か月後に宿泊チケット1枚、その後も半年ごとにチケットがもらえます。

 そんなわけで、今夏に無事チケット1枚を手に入れたのですが、利尻・礼文島の旅やら、資格試験の勉強やらがあって、なかなか使う機会がないままでした。
 どうしたものかなあと思っていた矢先、暮らしている札幌に目を向けると、市内最大のシェアハウスグループ「BUIE(ブイエ)」が手掛けるワンルームマンションが唯一の物件として登録されていることに気付きました。「シェアハウスって一度住んでみたいと思っていたし、この際、試してみるのも面白いかも」
 前置きが長くなりましたが、そんなわけで利用させていただいた札幌のアドレス施設をリポートします。

 南北線の中の島駅から徒歩7分の場所にある物件の外観はこんな感じ。1階にコインランドリーが入っています。

 4階建ての計40室ほどでつくるシェアハウスなのですが、2階の24号室がアドレス物件になっており予約すると宿泊前日に家守さんからキーボックスの暗証番号などが送られてきました。郵便受けがキーボックスになっているんですね。

 建物に入り、まずは2階の部屋へ。綺麗めのワンルームといった感じです。

 ユニットバスはやや狭め。シャンプーやリンスなどは用意されています。


 キッチンはミニサイズですが、湯沸かしポットや調理器具も備わっているため、簡単な自炊ならできそうです。


 1階の共用スペースの立派さには驚かされました。最も広いのはパーティースペースがあるコミュニティルーム。キッチンには複数のシンク、大型冷蔵庫などを備え、入居者の調理道具や調味料などをしまう棚も用意されています。

 キッチンから見たパーティールームがこちら。うーん、広い。

 反対側から見ると、黒塗りのソファなども置かれ、とってもゴージャス。思わず「何これ、セカオワ(SEKAI NO OWARI)ハウス?」ってつぶやきました。

 コミュニティルームに隣接するのがシアタールーム。手前に大型のテレビ、奥に中型のテレビがあります。夜は誰も使っていなかったので2~3時間、ゆっくりさせてもらいました。

 遊びだけじゃありません。勉強や仕事に使えるリラックスルームもあります。こちらは6台の椅子と電源が用意されており、私も翌朝にここで2時間ほどパソコン作業をさせてもらいました。

 ここ、すごく作業がはかどります。「リラックス」と名付けたのは、漫画も置かれているからなのでしょうか。部屋にはとても綺麗な男女別のトイレがあるのも有難かったです。そう言えば、各階ごとにあるWi-Fiは、アドレス利用者は共通のパスワードでつなぐことができました。素晴らしい。

 1階にはこのほか、共用のランドリールームも。アドレス利用者も使えるようでしたが見学だけさせてもらいました。

 さらに出口近くにはスモーキングルームも。喫煙者も肩身の狭い思いをしなくてすみますね。

 1泊だけのアドレス体験でしたが、札幌の物件はホテル暮らしとは違った良さを味わうことができました。私が出会った限り、シェアハウスに住んでいるのは若者ばかり。でもアドレスの利用者も訪れるからでしょう、皆きちんと挨拶してくださり、好感が持てました。もし長期滞在するなら食材を差し入れて、一緒に料理や食事を楽しむなんてこともできそうです。

 折しも11月9、10両日の札幌は、アイドルグループ「Snow Man」に加え、ロックバンド「back number」「マカロニえんぴつ」のコンサートなどが重なり、ホテル争奪戦のすさまじさがニュースで報じられていました。
 旭川など遠方に泊まらざるを得ない観光客のため、JR北海道が深夜に臨時列車を走らせたほどです。列車に乗るため、「Snow Man」のアンコールを見ることなく会場を後にした親子は「旭川はホテル代が9000円、札幌は5万円でした。コンサートチケットが手に入っただけでもラッキーでした」と話していました。

 札幌では以前から、「嵐」のコンサートがある度に宿泊料が高騰し、「ホテル難民」が大量発生してきました。そんな中、高くても1泊6000円程度で泊まれるアドレスの物件を早めに抑えられれば、旅費を安く上げられます。

 特別なイベントがなくても宿泊費が高止まりしている東京都内には多くの物件があるようなので、今後は有力な選択肢になるのではと思っています。正直言えば、年間48万円で利用し放題のプラン復活を願っているのですが… 

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