人生最後の日
何気ない、夕方の道を運転していた。
秋になると、日が暮れてからの冷え込みは激しくて、凍えそうだった。
悠々と車を走らせていた。後ろについたのは黒い普通車。金髪の女性が赤いシートに座っていた。
グレーの軽自動車を走らせていた僕には、その姿がとても魅力的に映った。
将来は黒い車を買おうと決意した瞬間である。
ああ、そういえば夕食は唐揚げでも作ろうと思って、切った鶏肉を冷蔵保存してたんだった。
そんなことを考えていた時、終わりの予感がした。
何が終わりかはわからないけど、全てが終わる日はこんな穏やかなのかもしれない。
いや、気持ちが穏やかなのは20代になった歳のせいか。
ただ、ほんの一握りの不安、嫌な予感と共に、穏やかさに包まれていた夕暮れだった。
黒い車の女性は伏線でもなんでもないです。ごめんね
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?