グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2024」に行ってきた【その1】 #GDE2024
11月2日(土)、手羽は雨の中、東京ミッドタウンへ。
11月4日まで東京ミッドタウンでは、デザインの魅力や可能性を体感できるイベント「Tokyo Midtown DESIGN TOUCH」を開催中。こちらは芝生広場にある「リレキの丘」という作品で、作者は建築家のクマ タイチさん。
「建築家のクマ」といえばあの人がパっと思いつきますが、ズバリ息子さんです。
今日は何しに来たかというと、毎年チェックしてるこちらを見に来たんです。
グッドデザイン賞受賞展「GOOD DESIGN EXHIBITION 2024」
2024年度グッドデザイン賞を受賞した作品が一堂に会す展覧会で、会場は東京ミッドタウン地下1階ホール、アクアリウム、4階カンファレンスルーム、5階デザインハブとミッドタウン全館を使って受賞ジャンルごとに展示されてます。
今年のテーマは「勇気と有機のあるデザイン」。
まずはメイン会場の地下1階ホールAへ入ってみましょ。
オープン直後の11時ちょっと過ぎに行ったんだけど、既に結構人が入ってた。
ところで、そもそも「グッドデザイン賞」って何か知ってます?
グッドデザイン賞は1957年の通商産業省主催「グッドデザイン商品選定制度(通称Gマーク制度)」として生まれ、現在は公益財団法人日本デザイン振興会(JDP)が運営する「総合的なデザインの推奨制度」のことです。
実は「あれはグッドなデザインだ!」と誰かが勝手に選んでるわけじゃなく、「応募対象の事業主体者」または「デザイン事業者」が申請して、その中から選ばれてるんです。意外とこれを知らない人が多いよう。
1957年当初は審査委員自身が「よいデザイン」を探す選定方式だったけど、1963年から「公募形式」に変わっているんですね。
偉そうに書いてるけど、手羽も10年前ぐらいまでは誰かが「うん、グッドだね!」と勝手に表彰してるもんだと思ってました(笑)
今年は5,773件の審査対象から1,579件が受賞しています。
いまだに「グッドデザイン賞」と聞いて多くの人が真っ先に思い浮かぶのが、
プラットフォーム型モビリティ「Raptor」みたいなかっちょいいモビリティだったり、
こういう「オサレなプロダクト製品」じゃないでしょうか。
確かに設立当初1964年のグッドデザイン賞審査基準を見ると、
と書いてあるんで、この頃は「大量生産されるモノのデザイン」が対象だったよう。
でも徐々に「デザインで生活の質を総合的に向上させること」へ目標が変化し、1990年頃から「価値変化」、2000年頃から「価値多様化」がキーワードになっていきます。1998年の審査基準に「ソリューション(問題解決方法)の適切性」「システム的解決により生活次元でのベネフィットを生み出しているか」という言葉が初めて登場するんで、このあたりがヒト視点に切り替わりだしたターニングポイントになるのかな?(詳しい偉い方教えてください)
なので「オサレなデザインの製品が並んでる展示」と思って行くと、きっと「なんでこれが受賞してるの?」「どこがデザイン?」と絶対に思うはずです。
グランプリ候補になっているグッドデザイン金賞の作品を例に、もう少し説明していきす。
デュアルディスプレイノートPC「ASUS Zenbook DUO (2024)」だったり、
要介護者をベッドに寝かせたまま、汚したり、濡らすことなく洗うことができる介護用洗身用具「スイトルボディ SWB-1000JP」だったり、
ヘリウムを使わない超電導MRIシステム「ECHELON Smart ZeroHelium」といったプロダクト製品も金賞を受賞しています。
ただ、審査コメントを読むと「プロダクトがかっこいいから」ではなく「介護者不足や老老介護」「ヘリウム危機回避」という、問題解決のアプローチが受賞していることに気が付くはず。
建物も「意匠がすばらしい」も大事だけど、
障害者シェアハウス+シェア店舗「はちくりはうす」や集合住宅「天神町place」は新しいアプローチや「地域社会と共存するインクルーシヴな住環境」の考え方がグッドデザイン金賞を受賞してるんですね。
高齢者デイサービス・学童保育クラブ・子育てひろばの3つの事業からなる複合型福祉施設「深川えんみち」は、施設の中に道を引き込むことで、日常的に利用者同士が顔を合わせるようになっています。
再生処理プロダクトブランド「SALWAY」は、医療器材を洗浄・滅菌し再び使用可能にする「再生処理」で使用する製品セレクトのブランディングがグッドデザイン。
遊具研究プロジェクト「RESILIENCE PLAYGROUND プロジェクト」は、全国で約2万人いるとされる医療的ケア児を起点した遊具を開発し、「遊びたくても遊べない」という子どもたちの課題解決具現化がグッドデザイン。
「YAMAP流域地図」は、行政区分ではなく“流域”で表現した地図で、流域全体で治水対策を行うなど防災減災での活用も想定した地図にもなっています。新しい地図の考え方もグッドデザインなんです。
知的障害特別支援学校高等部生徒向けに刊行された教科用図書「くらしに役立つ」シリーズもグッドデザイン金賞。
特別支援学校に通う高校生たちは卒業後に一人暮らししながら生活支援を受けつつ仕事を始めることが多いとされていて、「学びと暮らしをどのように結びつけるか」「今の日本社会でどう生きていく方法があるのか」を学んでもらうために教科書の存在そのものをリデザインしました。
「グラフィックのわかりやすさ」も受賞要素になってますが、「高校生たちの将来環境を変えたい」という強いアプローチがグッドデザインになってます。
2004年に創刊された岡山県発のリージョナル・マガジン「プラグマガジン」は、タウン誌やミニコミなどとは一線を画し、ファッション・カルチャー誌として20年続いてる驚異的な雑誌。
「これからの新しい教育」といえば神山まるごと高専とセットで登場することが多い新渡戸文化中学校・高等学校さんが取り組む「スタディツアー~地域と生徒の未来創造の旅~」もグッドデザイン金賞。
ちなみに新渡戸文化中高校は、水曜日に「クロスカリキュラム」という終日探究活動ができるカリキュラムがあったりもします。
なんとなくこの場で使われてる「デザイン」の意味がわかってもらえたでしょうか。
ちなみに、
今年から大賞は、ファイナリスト5件ではなく、グッドデザイン金賞20件から選ばれることになりました。で、金賞20作品の名から観客が投票できる「みんなで選んだグッドデザイン」を4日までやってるのでぜひ投票してね。昨日現在ではこんな感じでした。
大賞発表は5日。はたしてこの中のどれが大賞を取るのか。
金賞以外の作品で手羽が気になったものも紹介していきましょ。
公共空間活用、マーケット「IKEBUKURO LIVING LOOP」は、グッドフォーカス賞 [地域社会デザイン]を受賞。
クリックソー「ウィールクリエイターパック」は、幼児から高齢者まであらゆる年齢層が利用できる遊び・アート・学びをシームレスに組み合わせた平面でも立体でも遊べるマグネットトイ。
ホタテ貝殻から生まれた「モノナチュラル」。
MONOといえば黒白青のカラーリングをイメージするので、このスリーブのカラーリングだけで「おっ!」と思っちゃいます。
スーツを運ぶためのバックはあったけど、「シワになりにくい きものバッグ」って今まであったのかな?
大妻女子大学家政学部被服学科染色デザイン研究室との産学連携です。
付箋は紙に貼られることを前提に考えられてきたけど、ASKUL 「はたらく ふせんシリーズ」は、PCの縁やファイル、ホワイドボード等に使わる機会が増えてることに着目。
「百佑オフィス」は、台湾の高雄市郊外に建つ樹齢100年のマンゴーの樹木と共生するオフィス建築。グッドデザイン・ベスト100を受賞。
「令和6年能登半島地震被災地へのインスタントハウスの設置」はグッドフォーカス賞[防災・復興デザイン]を受賞してます。
ホールAを出て、その他の会場へ移動・・・しようかと思ったけど、長くなったので明日に続くっ!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?