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杉田陽平さんの個展「THE DEEP 絵具の海にダイブする!」(Lurf MUSEUM ・代官山)へ行ってきました

2024年2月9日(金)から2月27日(火)まで、杉田陽平さんの個展「THE DEEP 絵具の海にダイブする!」が、代官山にあるLurf MUSEUM / ルーフミュージアムで開催されていました。

私は開催初日と、杉田さんの在廊日に2回ほど友達と一緒に伺ってきました。

今回の在廊イベントは、複製原画か画集を購入した人を対象に、複製原画への加筆、あるいは画集の白い額のページへの似顔絵とサインを描いてくれるというものでした。

今回の個展では、アートの初心者の方に「アートの購入表現者&ファンになってもらう」ために杉田さんが工夫されたことが主に3つあると、ブログなどに書かれていました。

1. 子どもでも'買える・飾れる・食べれる'マイクロアート

杉田さんが日頃、SNSやDMなどでファンの方々から受けるご意見やご要望の中に、「子どもが小さい時からアート体験をさせてあげたいけれど、中々そういう訳にもいかないから、小さい子どもとでも楽しめる展覧会があったら良いな」というものが多くあるそうです。
それをヒントに思いついたのが、作品が印刷された「チロルチョコの包み紙」をマグネットやキーホルダーにして保存が出来るものが販売されていました。

私も実際に購入し、マグネットにして飾りました。

2. アートコレクターズスターターセット

アートの購入に初めてチャレンジする人を対象にした工夫もされていました。
日頃、問い合わせが非常に多いという初期作品3点と近年の新作の3点の併せて6種類の高精度なジークレー作品が18万円以下の価格帯で販売されていました。
下地は、ジークレー作品ではありながら、肉筆を追加してくれることで、一枚一枚、オリジナル作品とも言える状態になるとのこと。

実際に購入して加筆してもらったという画像をInstagramのストーリーなどで見せてもらって、確かに一枚一枚違う作品に見えて素敵だなと感じました。

3. 新画集に枠無し塗り絵ページ設置

新画集には、枠のない塗り絵ページや、白い額のページがありました。
ページも開き切れるため、イーゼルでも、そのままでも飾りやすくなっていました。
購入すると、白い額のページに似顔絵を描いてくれて、杉田さんとお話ができました。

私も、在廊日に画集を購入し描いてもらいました。

在廊日に2回ほど伺いましたが、1回目は自分の似顔絵を、2回目には両親の写真を持っていって、二人の顔を描いてもらいました。

私事ですが、数ヶ月前に父が亡くなり、母が元気をなくしているのでプレゼントしたいという思いと、母が緑内障のため目が見えにくくなっているから、見て楽しむ画集をプレゼントするのはどうかなという思いがいまだに交錯し、まだ私の手元にあります。
母に渡すか、それとも、私が大切にさせてもらうかどうかまだ迷っていますが、いずれにしても、若々しい元気な両親を描いてもらって私自身とても嬉しく、描いてもらってから毎日のように眺めています。

ざっくばらんにいろいろなお話をしてくださる中で、聞いてみたいことが出てきたので、「私の似顔絵の時も思ったのですが、絵にはシワとかはあまり描かないのですね」と聴いてみました。
すると「内面を描き出して描いています」と言われていたのが印象的でした。
また「僕は40歳だけれど、気持ちは今も25歳のままなので、例え、70歳とか80歳になっても、みなさん気持ちは25歳のままだと思うんですよね。そういうのもあります」とも。

それを聴いて、確かにそうかもしれないと思いました。
歳を重ねるとともに増えていくシワの一本一本を愛おしく思う生き方をしたいけれど、たまに描いてもらう似顔絵は若々しい、ちょっと実際よりも美しい感じにしてもらうのもいいものだなと思いました。
それも絵の良さの一つかもしれません。

今回、杉田陽平さんの個展が開催されたルーフミュージアムはとても素敵な空間であると同時に、スタッフさんたちのホスピタリティがとても素晴らしく、伺う度に素敵な笑顔に出会えて気持ちよく過ごすことができました。
例えば、杉田さんが描かれているところを「動画を撮ってもいいでしょうか?」とお尋ねしたところ、まずご本人が「いいですよ」と言ってくれたのですが、その後、スタッフの方が、「横から撮りましょうか?」と言って撮影を代わってくださったのです。

それだけでも会話に集中できてとてもありがたかったのですが、動画を数分ずつ短めに撮り直してくれて、その間に会話をしている自然な雰囲気の写真も撮ってくださいました。

後で思ったのですが、友達と一緒にだったため、動画を後で共有しやすく、送りやすい容量にしてくれたのかもしれないと思いました。
細やかなご配慮に感激しました。

また、初日には、カフェも利用させてもらったのですが、初めてのためどのように利用していいかわからずお尋ねしたら、とても丁寧に案内してくださり安心しました。

注文したクロックムッシュも、紅茶もとても美味しかったです。

画集やチロルチョコの購入などで何度もレジに伺ったのですが、毎回応対も丁寧で心地よかったです。

展示は、1階はジークレーの作品や、いくつかの原画が並んでいました。
カフェ利用をしなくても作品は拝見できたので、ギャラリーに伺う度に楽しむことができました。

2階は、白い壁の広い空間にゆったりと作品が飾られていて、まるで美術館のようでした。

ルーフミュージアムの空間で、特に素敵だと思ったのは、昼間自然光がたっぷりと入ることです。

昼間のルーフミュージアム
夜のルーフミュージアム

訪れる時間帯によって、展示空間に入る光の種類や量が違い、作品の見え方や空間の雰囲気が違って感じました。

実際に昼間と夜に伺ったのですが、作品によって、昼間の光の方がいいなと感じるものもあれば、夜の方がより輝いて見えるなと思うものもありました。

また、入り口に入る前に、個展のタイトルとともに大きな原画が出迎えてくれたことにも感激しました。
とても美しく迫力がありました。

プロフィールとともに掲げられていた「アーティストステートメント」が私はとても好きでした。

杉田さんがさまざまなアプローチで作品を作られる意味や、どういったことをしようとしているのかというのが、文字となり、文章となっているのを見て、改めて伝わってくるものがあり嬉しかったからです。

アーティストステートメント

"我々は、どこまで絵画に溺れる事が出来るか?"
 人間のみが創り出した最古のメディア"絵画"には、未だ多くの謎が残る。絵画を紐解き、捉え直しアップデートするには、絵具と親密になる事が大事だと考えた。
 親密になる為にはコントロール出来ない状態まで溺れてみたり、切り離して繋いでみたり、複数の手法を用いて、"抽象具象"を横断してみたり多角的かつ高感度で観測する事が重要だ。
 自身の絵を描く行為は、身体から溢れ出たストロークを自由に扱いたいという思いからきている。四隅もスピード感を落とす事なく描くにはどうしたらよいか、隣り合う色と形の線が混ざり合う事なくコントロールするにはどうしたらいいか、一方で意図的に混ざり合わせてオートマチックで出来る無作為な表情を"作為的"に出現させたい。
 白い塊をキャンバスに積み上げて色を乗せて自作のハケで抉るように描く。絵画という肉体の心臓の鼓動を聴きたい。ドライビングフォースと筆致の起伏に落ちる影も意識した。
杉田陽平

Lurf MUSEUMのサイトより

また、個展の説明として書かれていたように、「花・名画・動植物」の3部で構成された作品と、名画を溶解した作品、動物や植物を抽象化した絵具の塊で構成された立体作品まで30数点が展示されていました。

YouTubeのチャンネルで作品についてご本人がしてくれていたのも嬉しかったです。

展示の中で特に気になったのはとても大きい作品「The 100 eyes Ⅱ」と「The abstract flower "multicolor"」と「ゴッホ”ゴッホの寝室”のオマージュ」です。

The 100eyes Ⅱ
The abstract flower"multicolor"
ゴッホ"ゴッホの寝室"オマージュ

「The 100 eyes Ⅱ」は作品自体が迫力があり、見る度に発見があったのとともに、動画でも話されていたように、アトリエの様子や杉田さんが長い年月の間で出会ったお客さんやアーティスト仲間たちが表現されているのだという話がとても心に響きました。

他にも心を惹かれた好きな作品がたくさんありました。写真はその一部です。

エメラルドグリーンの秘密
抽象化されたモネ“散歩・日傘をさす女”
黄色いバケツに咲く花
self-portrait

一つ一つの作品も良かったし、空間全体でも楽しめました。

いつも杉田陽平さんの活動内容や、イベントに参加した感想など、私の思いを親身に聞いてくれる友達2人もそれぞれ個展にお連れすることもできたし、自分の似顔絵も、両親の似顔絵も描いてもらえてとても良い思い出となりました。

杉田さんのInstagramのストーリーを拝見すると、たくさんのアートが好きな方や、ファンの方たちの感動が伝わってきて、私の心に深く届いたのと同じように、多くの人たちがあの空間を楽しまれていたんだなと感じます。

https://www.instagram.com/sugitayoheiart/?hl=ja

素敵な展覧会を開いてくださった杉田陽平さん、丁寧に接してくださったルーフミュージアムのスタッフのみなさんに心から感謝しています。
ありがとうございました。

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