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FF14の推しの話をしたい【暁月6.0までネタバレ】
表題ママである。
進行中はふせったーでちょいちょい限界になりつつメイン完走時の感想はやや(?)偏りつつも主要キャラ全体に言及したので、推しへの個人的な狂いをここに書いていこうと思う。
当時の限界伏せは下記。
Q.推しって誰?
A.漆黒に出てきた水晶公であるところの彼です。
ネタバレには一切配慮しないのでそのつもりで。
前提として
筆者は水晶公ことグ・ラハ・ティアとアリゼーがヒカセンのことをありとあらゆる(恋愛含む)意味で大好きだと解釈して書いている。
そうでない読者は自分のアーテリス大事にして。あと妄想と幻覚しかないけど許して。
よろしく。
漆黒での推しについて
言いたいことは山ほどあるがほぼ相方が全部言ってる。だいたいこれ。世界が嫉妬する言語化能力。
ので、ここでは全体には触れず彼のパーソナリティにもう少し踏み込んだ話をしておこうと思う。
やわらかくも強い、信念の人
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……冒険の終わりに、英雄が集めてきたものを、小悪党が少しばかりちょろまかす。
それだけのこと、ありきたりなオチのひとつさ。
あんたの冒険はまだまだ続き、いずれこれも、取るに足らない笑い話になるだろう。
名も知れぬ水晶公は、どこかの世界で、明日も楽しく暮らしている。
だから……!
いきなりクライマックスでごめん。
漆黒のヴィランズ最大の山場のひとつ、水晶公ことグ・ラハ・ティアの正体バレのシーンである。
いいよねここ。大好き。疑いようもなく彼の人間性が凝縮されたシーンのひとつであろう。
このシーンの何が良いかって、彼が話せば話すほどボロが出てくるところだろう。最初こそラスボスっぽく振る舞えていたものの、上述の辺りになるとたとえヒカセンが周囲の声を聞き取れていなかろうと「あ、こいつヘタクソな嘘ついてるな」とわかってしまう。どう聞いてもラスボスやら小悪党やらが出す声音ではない。優しすぎる。
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あの人は私にとって、いちばん憧れの英雄なんだ……
叶うならば、気兼ねなく話がしたい。
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さようなら オレのいちばん憧れの英雄
挙句の果てに言っちゃってるし。いちばん憧れの英雄って。
せっかく正体隠してたのに。いやもうフード外れて正体はバレてるんだけど。
彼がヒカセンの縁者であるグ・ラハ・ティアであること、先の語らいで話した「いちばん憧れの英雄」がヒカセンであること(=本当はヒカセンと一緒に旅がしたいと思っていること)。この二つに関して、グ・ラハはおそらく最後まで隠し通すつもりであったろうと思う。本人も言っていた通り、ヒカセンに「名も知れぬ水晶公は光の力をちょろまかし、どこかの世界で暮らしている」と思わせたまま消える、というのが本来の想定であったはず。ウリエンジェの気持ち考えて。
もしその真実が零れ出てしまえばヒカセンが悲しむだろうということを彼はきちんと理解していた。住人相手でも頑なにフードを外さず正体不明の男を100年演じていた理由の最たるものがヒカセンの存在であろう。
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なのに100年の忍耐の最後の最後で感情が溢れてぽろっとこぼしてしまう、この詰めの甘さ。
これが良いのである。
100年で街を作り上げ正体不明の為政者として振る舞うほどの努力と忍耐を積み重ねていたにも関わらず、あふれる未練や情をどうしても殺し切ることのできなかった、その柔らかさや甘さ、弱さ。信念ガッチガチで脆さ一つ見せずやり遂げてしまうキャラクターもそれはそれで魅力があるのだが、彼についてはこうしたほころびがひどく人間的で愛おしい。
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――もう 遥か昔になった 子どものころ
唄に 本に謳われる 英雄が好きだった
それは遥か届かぬ星のようで
何度まねをしてみても 本物になれることはなく
水晶公のサビ。
正直成した偉業に関して言えばヒカセンと比べても相当ヤバいことをやってのけているのだが、そのひと単体でしるべとなり得たヒカセンに対し、ヒカセンを心の支えにして真似をして、心を鎧うことで人のしるべたろうとしたグ・ラハは、彼自身にとっては「本物」にはなりえないということなのだろう。
あこがれの英雄を救うため、英雄たるヒカセンのような迷いない振る舞いを真似してみたのが水晶公のキャラ作りの始まりだったのだろうと思うのだが、彼はどこまでいっても純朴な少年らしい側面を捨てきることができなかった。
繰り返すがそこが良いのである。
そして、それだけの情と未練を抱えながらも死を選べてしまう意志の強さをも併せ持つのが良いのである。
やわらかくも強い信念の人。グ・ラハ・ティアとはそのようなキャラクターとして描かれているように思う。
「水晶公」であるということ
漆黒シナリオを進めていると、クリスタリウムが発展していく中で、クリスタルタワーの召喚者たる彼が頑なに名を明かさなかったため、彼を「王」と呼ぼうとする向きがあったという話がモーレンから聞ける。しかし本人は「自分はその器ではない」と否定したため、今の「水晶公」という呼び名になったのだとも。
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その辺りの話について彼自身から詳しい言及はなかったように思うが、「王」の呼び名を固辞した理由はいくつか推測できる。
たとえば彼にとって「王」、すなわち人の上に立つ者として想起するのは唄や本に謳われるような「英雄」であり、(彼にしてみれば)背伸びをして真似をしているだけの自分はそのような呼び名には相応しくない、という考えから。
それから、そもそも彼の目的の第一義は「第一世界を救うこと」ではなく、「第一世界を救うことで原初世界の霊災を回避し、ヒカセンを救うこと」であるから。第一世界を救うのはあくまで目的のための手段であり、それを知らずに自分を王と呼ぶまで慕ってくれた民に対する罪悪感もあっただろう。
加えて彼は、すべてを為したそのときに死ぬ心づもりだった。そのときに後に残される民たちが惑うことのないよう、いついなくなっても構わないような立ち位置でいなければならない。そのような気遣いもあっただろう。
さまざまな理由が複合的に合わさり、名も知れぬ彼を「水晶公」と呼ばせるに至ったのだろうと思う。生真面目な男である。
のだが。
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エリディブスが、民の夢を……誰かを助けたいという優しさや、英雄への憧れを、人を傷つけるために使うなら……
私は、止めに行かなければならない。
水晶公として……皆の夢を、希望を、護るために……。
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我が民の心、そして英雄たちの心を利用してお前が得た力……
その魂ごとまとめて、いただくぞッ!
この男、そのわりにしっかり為政者している。
クリスタリウムの民のことを「我が民」と呼んで愛し、護るために水晶と化した手足で駆け回る。まったくもってただの手段ではない。そりゃ100年も見守ってきたら当然愛着も湧こうというものだが、目的達成のための狂気とも呼ぶべき執念とこの愛情深さが同居しているのはなかなか不思議な心地がする。
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誰にも使命を告げられない戦いである。
ただでさえ未来と大切な人の命を預かる立場でありながら、さらに街一つ分の命を負うというのは想像を絶する重責だったことだろう。
それでも彼は全て抱えて投げ出さず、心を殺さず、過程を慈しみ愛した。
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この記憶と魂は、あなたとともに彼方へ。
されどこの身は、この場所に……胸を張って立ち続けよう。
私を公と呼んでくれた民と、この世界に……
希望は明日へ継がれていくのだと、物語り続けるために。
当初の目的を果たしても、愛する民から憂いが払われるまで、責任を果たし終えるまで。「水晶公」であり続けた彼の真面目さと責任感の強さ。
クリスタリウムが強く優しい街であったのも頷ける。彼は人々の上に立つ「王」ではなく、民の隣人であり盾たる「水晶公」として役目を全うしたのである。
こんな為政者私も欲しい。
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今度こそ、下手な隠しごとなんてせず……
思う存分、命を謳歌してください。
あなたがいつも、私たちにさせてくれたように……。
クリスタリウムの民たちが指導者を喪って途方に暮れるのではなく、やさしく送り出してくれるのもまた沁みる。彼と彼が慈しんだ民の善性の結晶である。
おじいちゃんのこと、任されました。
……からの、暁月である。
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マジでめちゃくちゃ人生謳歌するじゃん…………
ヒカセンの旅に勢いよく同行したがって周囲に微笑ましがられ、物語の中でしか出会えなかった英雄たちに生で遭遇してテンションを上げまくる推定120歳オーバー。
お前原初世界の英雄たちと並べても相当ヤバいことやってる奇跡の塊の自覚あるか?ないんだろうな。
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普段あまりスクショする方ではない筆者も流石に同行とかいう神システムには気を狂わせ距離近スクショを撮ったりした。
FF14ってすごい。いつでもやらせてほしい。
そんなこんなでシナリオとシステムに情緒を狂わされながら暁月のフィナーレを駆け抜けたわけだが、そのなかでいくつかグ・ラハの象徴的なイベントがあったので語っておきたい。
厄災を前に
ファダニエル(アモン)によってゾディアークが消滅し、ヒカセンたちの住まう星アーテリスがまもなく滅びるという衝撃的な真実がレポリットたちから明かされる。原初世界に住まう人々は月へと退避させれば助かるが、第一世界を始めとした鏡像世界に住まう人々は現状救う手立てがないのだとも。
ウリエンジェにいざというときの退路を準備してもらいつつ、厄災を退ける方法を探そうと皆で決意したその夜。
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何この選択肢……?
突然攻略対象を選ばされ初見時スペキャ顔になった筆者。話の流れ的に双子……いやでもラハ……でも双子も…………いやラハ…………
数分迷った末、紀行録で見返せるだろうし……と好奇心に負けひとまずラハを選択。だって双子はどっちも同じぐらい見たくて選べなかったから……
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もしかして私今から告白される?
プレイしてるのときメモGSかなんかだったかもしれん。どうしよう。
動揺した筆者はとりあえずスクショを撮った。
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マジで告白だったかもしれねえ。(コンフュ)
とんでもない火の玉ストレートが飛んできた気がするがそれはさておき。この夜の会話、キャラごとに異なる内容に言及しており、彼らの視座や大事にしている部分がよく現れている良イベントである。
……これから話すことは、オレの勝手な心配だ。
杞憂で済むなら、それはそれで構わない。
ゼノスがあんたと戦うために、多くの犠牲を出したこと。
そして、ゾディアークの消滅に立ち会ってしまったこと……
その事実が、あんたを締めつけるときが来るかもしれない。
これから本当に災厄が起こるんだとしたら、なおのことだ。
だから、オレは……
あんたが生きることで背負った重荷を、あんたが生きることを願ったオレにも、わけてほしい。
すべてを肩代わりできないとしても、一緒に歩いて、ときどき荷物を預かれる奴がいるってこと、忘れないでいてほしい。
特にグ・ラハの上記の台詞は、その視点と他のキャラクターとの対比から、その人間性を掘り下げるのに大いに寄与しているように思う。
まず、彼が口にした懸念。ヒカセンの命・体そのものを心配したアリゼーやヤ・シュトラ、それまでの道程の危険に言及したアルフィノなどに対して、グ・ラハはこれから起こりうる事態に傷つくだろう心を案じている。この視座は民を率い責任ある決断を成してきた為政者たる水晶公ならではのもので、自身の決断や行動に伴い失われたもの、その責任の重さを身をもって知っているからこその気遣いであるように感じられる。
その重荷に対して「気にするな」「あんたのせいじゃない」といった慰めを手渡すのではなく、「あんたが生きてほしいと願ったオレにもわけてほしい」と言うのも彼らしい。手を取ることを躊躇わせないようにというあたたかな気遣いとちょっぴりのずるさを感じる言い回しである。かわいい。
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そしてもうひとつ言及すべき重要なポイントとして、この会話において、グ・ラハが第一世界のことについてまったく触れていないことを挙げておきたい。
この時点でレポリットたちからは第一世界を救う術はないと告げられており、暁が終末を止められなかった場合第一世界が滅びることがほぼ確定している。
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実際この夜にサンクレッドと会話をすると第一世界消滅に対する言及があり、自分はリーンを見捨てることができないだろうという弱みを見せてくれる。こちらのイベントも本当に良いのだが今は割愛。
「水晶公」の呼び名の項目で触れたとおり、グ・ラハもまた第一世界を、クリスタリウムの民を心から愛しており、その消滅の可能性について心を痛めていることは言うまでもない。終末の真相の情報を持ち帰った際には、ライナたちクリスタリウムの民を案じる言葉も聞ける。
ライナは……
クリスタリウムの皆は、無事だったか……?
がしかし、彼はその不安についてこの夜の会話では一切言及せず、ただ「重荷をわけてほしい」と言う。重荷をわけるというのはつまり、ヒカセンと生きるということである。もし終末が訪れてしまった場合、ウリエンジェは暁を月へと退避させるだろう。自分の発言は第一世界を切り捨てるのと等しいその結末をも受け入れることだということを、彼は恐らく全て理解した上で話している。その覚悟をできるだけ気づかれないように、言葉を選んで。
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いや人に荷物分けさせてる場合じゃないだろ。100年愛した街だろうが。どこまで献身すれば気が済むんだお前。
同イベントでサンクレッドが第一世界について言及する役回りになっている以上、内容が重複するので彼には言及させなかったというメタ的な理由はあるのだろうが、グ・ラハ・ティアというキャラクターを描くにあたって「第一世界消滅の可能性に対する不安」よりも「これからヒカセンに降り注ぎ得る責任への心配」が取られたことには変わりない。
第一世界への心配を強く表に出したのも、終末の解決に関する手がかりを得られたヒカセンの帰還の後である。
あれだけクリスタリウムの民を愛し慈しんでいながら、その消失の可能性に心を痛めていながらも、生きてほしいと願ったそのひとの重荷をともに背負う道を選び、第一世界を切り捨てることになるかもしれないという不安をひとり呑み込んでしまう。
身が竦むほどの途方もない献身。ただの「やさしい青年」に留まらない底の深さが、ここには現れているように思う。
為政者たる男
暁月での彼を語るに、外せないイベントのひとつだろう。
どこよりも早く終末の影響が現れ、指導者を喪い混乱に陥るラザハン。暁の面々が戦い、傷を癒し、必死に避難を呼びかける中、彼は堂々と声を上げ、指揮を取ることで場を収めて見せる。
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まずこの状況で微笑めるのがすごい。
現状把握がある程度なされてきた段階ではあるが、その原因も解決法も何らわかっていないまま民が怪物化した上、(ヴリトラがいるとはいえ)表向きの指導者が食われたばかりの状況である。
彼以外の暁の誰もが当然ながら険しい顔で事態の収拾にあたる中、彼は下手をしたら怪物化して襲ってきかねない男に手を添え、不安を微塵も滲ませない声色で大丈夫だと笑う。凄まじい胆力である。
壊れかけの世界に街一つ作って見せた、絶望を呑み込み慣れた人間。このイベントシーンではそのような印象をもたらす描写が随所に見られる。
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皆、前を向いて胸を張れ!
恐れることはない、この敵は、私たちで打ち倒せる!
信者生まれてしまうが…………???
ここが優秀な指導者が生きていて民度も高いラザハンで良かった。危うく指導者に担ぎあげられるところだった。
迷える民を導かんとする時水晶公としての振る舞いになるのも、100年の間に馴染ませた質感がありとても良い。
暁の血盟には様々な経験を積んだスペシャリストが集っているが、ヒカセンを含めても指導者、リーダーとしての経験を積んだ者は少ない。アルフィノは理論を用いての説得には強いものの、相手が理性的な状態であってこそ真価を発揮できるためパニックの場には不向きである。このような状況で民を落ち着かせられる役回りができるのは現状彼だけであろう。
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声を張り上げる前に一度深呼吸する描写が入るのも良い。
彼は生まれながらの指導者ではなく、使命のため、途方もない努力によって後天的にその能力を身につけたのである。しかも現在は「水晶公」ではなく「グ・ラハ・ティア」として生きると指針を定めており、その切り替えはシームレスにできるものではない。不安を滲ませないように意識的に心を落ち着かせるという意図もあっただろうが、指導者として声を上げる前に切り替える時間が必要だった描写とも取れる。イベントが丁寧。
普段は年相応の振る舞いをする24歳の青年。しかしそんな彼の精神には、確かに「水晶公」が息づいているのである。
宙の果てにて
ウルティマ・トゥーレ。仲間が順に絶望へと立ち向かい、その身を呈して道を繋ぐ架け橋となる道程、グ・ラハの持ち場のシーン。
もうね、このイベントとにかく情報量が多い。怒涛の供給に脳が追いつかない。初見ビチャビチャに泣いてた記憶しかない。
とはいえ嗚咽をnoteに綴るわけにもいかないので順を追って振り返っていきたい。先に言っておくが長くなります。
サンクレッド、エスティニアン、ヤ・シュトラ、ウリエンジェ。四人の仲間が繋いだ道を進み、ヒカセンたちはオメガの母星を模した都市へと足を踏み入れる。
「行き止まり」の原因を探すうち、ヒカセンとグ・ラハは「生命の木」を見つめるオミクロンに遭遇する。曰くこの木はこの星では装置の補助なしでは生きていけないというのに、生きていれば枝を伸ばし、新芽を生やして種子を残そうとする。そうまでして生きようとする理由がわからないのだと、そのオミクロンは言う。
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継ぎ接ぎになって、ほかの力に頼ってまで、
生きようとする理由……か。
漆黒5.0、5.3ぶり3度目の特大死相。
もはや隠す気もなくバッチバチに水晶公と重ね合わせてくる容赦のない脚本。流石にみんなここで死亡ということはないだろうけど双子とラハとでID行くことになるのかな……(※ヒカセンがヒラの場合行けない)などと現実逃避していたプレイヤーにこれでもかと死相を嗅がせてくる。勘弁してくれ。
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今言えッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!
漆黒のときも散々思ったことだがこの男、毎回フラグ建築が上手すぎる。一言喋るごとに死相を振り撒く癖は水晶公の体に置いてきてほしかった。
冒険譚にでも何でも名前連ねておくから死ぬな…………
停滞したさに呻きながら進めていると、4人はついに行き止まりを生み出す原因に辿り着く。
強さを求め、元あった体さえ全て入れ替えてまで、他の星を侵略してきたオミクロン。その行いの正しさに疑念が生じ立ち止まった時、自分を構成するものにかつてと同じものはひとつも存在しなかった。
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自身を機体に置き換え、脳さえも残っていません。
すべてのパーツを入れ替えたのです、どうして同じものと言えるでしょう?
ワタシはもう、ワタシであったもののように、欲望や願望を創出することができない。
引き継がれてきた命令をこなすだけの、実行端末にすぎなかったのです。
……………………。
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そうだろうなあ!!!!!!!!!!!!
そうだろうとも。筆者も一言一句聞くたびに思い出してましたよ、きみのこと。
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……なあ、オレ、この絶望なら突破できると思う。
もう、のどまで出かかってる言葉があるんだ。
けど……それをぶつけるには…………。
この躊躇いがまた…………
漆黒の項でも語った通り、彼のベースは純朴な青年である。狂気じみた執念と信念の強さを備えてはいても、未練や情を完全に絶ち切ることはできない。
100年の時を経て第一世界を救い、全ての義務を果たし、あこがれの人に導かれてやっと辿り着いた未来。この躊躇はそうして再び得ることのできた命を惜しむ気持ちももちろんあるのだろうが、後述の内容を見るにどうもそれだけではないように思える。
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オレとさ……!
約束を、してくれないか?
あんたとの約束は、いつもオレと未来を繋いでくれた。
だから今回も、これが最後にはならないって……
そういう願掛け。
いやもう声が震えてるのよ…………(顔を覆うエモート)
ヒカセンの名をしるべにするという約束を100年守り続けた男である。どんなに声音が揺れていようと、そんなことを言われて応えずにいられるだろうか。無理。
そんなわけで初見時は「何でも来い」と返したわけだが、記事を書くにあたって「ダメだ」と言った場合の返しも気になったので確認してみた。
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無理度が増してしまった。
いつも見送らせてしまっていることへの自覚、やっぱりあったんだ……と頭を抱える筆者。
よく考えたらこの男、覚悟してはいただろうとはいえ最初に目覚めた未来で一度ヒカセンを喪っているため、遺される悲しみも身に染みて知っているのである。
見送らざるを得なかった苦しみに対してこんなタイミングで共感を見せないでほしい。後の展開をわかっていてもキツい。
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……あんたは優しいな。
なのに、いつも見送らせて、ごめん。
でもオレ、なんだかんだであんたとの約束は破ってないんだ。
今回もそうなるように……勝手だけど聞いてくれ。
知ってるよ……きみが絶対約束を守る人だってこと…………
このやりとりを見るに、この「約束」という名の願掛けはグ・ラハ自身を奮い立たせるためのものであるのと同時に、見送らせる三人、特にヒカセンへ安心を与えるためのものという意味合いも大きいのだろう。
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「そういうつもりでいる」だけじゃなくて、
これが自分にとっての真実だって、胸を張れるような想い……
オレには、どれだけあるだろう……。
グ・ラハ・ティアというキャラクターは、「水晶公」としての記憶を持ち帰ってなお、周囲の評価と自己評価がやや釣り合っていない側面がある。
「未来に英雄譚として語られるような存在を自分が追いかけている」というのが彼の基本的なスタンスであり、成した偉業のわりに時折自信なげな言動が覗く。
おそらくそんな彼にとって、長きにわたって抱えてきた「約束を守る、果たす」という行為こそ、彼自身が胸を張って自分の強さと言えるものなのだろう。
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だから彼は約束する。
イシュガルドへ。あこがれの英雄のとっておきの場所へ。それから、まだ経験したことのない、新しい旅へ。
そんな胸躍る冒険の未来を、再会への祈りとともに。
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大地を駆けて、空を渡り、ときには悠久の風に乗って空へ!
……絶対に、約束だ!
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そして……あの人に、次の旅についての計画を聞く。
そこに私も加わることになっていたら、どれほど嬉しいだろう。
大地を駆けて、海を渡り、ときには悠久の風に乗って空へ。
なんて眩しい、遥かな夢だ……。
私、漆黒で一番このシーンが好きで…………
叶うはずがないとわかっていながら夢を語る水晶公の声音が本当に優しくて苦しくて切なかったからこそ、叶うと信じて笑う彼の言葉が胸に迫る。
これこそがグ・ラハ・ティアにとって胸を張って真実と言える想いなのだと、これほど説得力を持たせられるものか。脚本が上手すぎる。
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そして説得の出だしから限界なる。
なあ、マスター。
昨日おやすみって言った自分と、今日おはようを言った自分……
それが完全に同じものだって、どうやったら証明できる?
記憶が繋がってることか?
……でもそれは、忘れてしまうこともあるし、
ねつ造する方法だってあるよな。
なら、同じ身体を持つことか?
……厳密にいえば、生きているだけで身体は変わっていく。
完全に一致させることは不可能だ。
魂にしたって……
オレたちの星には、ひとつの魂から分かたれた存在がいたが、
同じ人物ではなかったよ。
うん…………
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オレもさ、自分を塔の端末にしたり、記憶を魂と重ねたり、
いろいろとやってきたんだ。
そのたびに、やっぱり考えたよ。
何が「自分」なのかってさ。
聞いてないんですけど…………?????
自分を塔の端末にしたときはともかく、原初世界に記憶と魂を移したときの不安は……聞いてないんですけど……?
暁月メインもラストのラストになってこの暴露である。グ・ラハ・ティアとして全力で日々を謳歌している姿を見せておきながら、内側にそんな答えの出ない不安を抱えていたことをここで開示するこの なんですか?これは……
厄災の訪れの前夜の項でも触れたがこの男、嘘は下手だが不安を隠すのが上手すぎる。言えよ。
ここで開示しなかったら一生誰にも明かさないつもりだったのか?お前……
感情が追い付かない筆者を他所に、グ・ラハはマスターへと畳みかけていく。
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だからこそ、昨日までの自分を理由にして、
今、この心が思っていることを消す必要はないんだよ。
確かに紆余曲折あったが、オレは今が好きだ。
みんなと一緒にここまで来られたことが、
命ひとつ張れるくらい、誇らしくて嬉しい。
その心のままに望むんだ。
先を、未来を……また約束が果たされることを!
「水晶公」の魂と記憶を継がなければ、いつかの未来、何も知らないグ・ラハ・ティアは24歳の青年として目覚めることになっただろう。
過去の自分であったとしても、存在しただろう未来を書き換えて目覚めた自分は本当に「グ・ラハ・ティア」だと言えるのだろうか?
そうした問いを何度も自身に投げかけ、答えを出すことができなくても、彼は今が、葛藤を抱えながらも進んできた自分が誇らしくて嬉しいと言う。そんな自分のまま、その先を望むのだとも。
そんな葛藤が苦しいときも数多くあっただろうに、このときのグ・ラハの声音は明るさに満ちている。
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100年の時を耐え、水晶公としての義務を果たし終えてやっと、口に出すことのできた願いをプレイヤーは知っている。
マスターと同じように思い悩み進んできたからこそ、彼はその迷いを切り捨てず、笑って手を差し伸べるのだ。
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そのときのことを、教えてやるよ。
壊れかけた世界から、明日を願った人々の、
冗談みたいな希望の話……
おやすみと、おはようの間に叶った望み。
まさしく「夢」の話をさ!
無理だが…………
先ゆく星のものたちの絶望に真っ向からぶつかり道を繋いだエスティニアンやヤ・シュトラの芯の強さが彼ららしく非常に魅力的なのは言うまでもないと思うが、弱者の躊躇や悲しみに共感し、柔らかく寄り添う姿勢はグ・ラハならではのもの。向き合い方がそれぞれに異なるのが本当に良い。
かつて夢に蓋をして、一番あこがれの英雄の命を繋ぐために自分の全てを捧げようとしていた彼が、望みが叶ったのだとはっきり口にしてくれたのも感慨深い。それが滅びに抗うための道程であっても、彼にとっては長年夢見たかけがえのない冒険であったのだと言葉の端々から伝わってくる。抱きしめさせてほしい。
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抱きしめる相手、今いないけど。
そらアリゼーも唇噛み締めるよ。ヒカセンを除くと一番仲良くしてたもんね……
水晶の道をお出しされ情緒は既にメチャメチャだが、立ち止まれる状況では全くないので行かなきゃ…………と泣きながらポータルに向かったらこれ。
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何でそんなことするんですか????????????????
受け止めきれない。手元のティッシュボロッボロ。
本当に最後の最後までプレイヤーの感情をグチャグチャにしてくれたイベントだった。
パッセージ・オブ・アームズ
話したいのがイベント中の1カットだけなので正直章立てするほどでもないのだが、どうしてもこれだけは言及したくて……既プレイヤーには章タイトルでモロバレだと思うんですけど……
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みんなじゃなくてヒカセン個人を護るんですか!!!!!!!!?!?!?!?
いやヒカセンが動けないところに攻撃飛んできたからなんだろうけどこんな1カットでクソデカ感情を見せるな。気が狂う。
これから私どんな気持ちでパッセ焚けばいいんですか?????
大団円の、その後に
大変情緒が乱れましたが無事にフィナーレに辿り着きました。
終末を退け、世界は再び歩み出す。暁は秘密結社としての形に戻るものの表向きには解散となり、ヒカセンは暁の面々とのひとときの別れの前に言葉を交わす。
グ・ラハに話しかけると、彼は自分を引き取ってくれた育ての親の築いた組織であるバルデシオン委員会の再建に協力するつもりなのだと教えてくれる。
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オレを引き取ってくれたガラフさんには感謝してるし……
何より、あの組織があったからこそ、
オレはクリスタルタワーの調査に向かったんだ。
そこから、すべてが始まった……。
あんたとの出会いも、時と世界を渡る戦いも、
今こうして「暁」にいるのだって……
グ・ラハにとって、自分のルーツの眠っていた場所であり、100年に渡る戦いの起点にもなったクリスタルタワーの調査がどれだけ大きな存在であるのかがよくわかる。彼にしてみれば世界ひとつを救うという重責を担う原因でもあったと思うのだが、そのようなマイナスなニュアンスは一切なく、大切なものとして捉えているのが非常に彼らしい。
もともと真面目で誠実な彼のことである。自分の所属組織の再建に協力するというのはとても納得感が……
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それにさ、バルデシオン委員会には、世界各地から、
未解明の遺構なんかに関する情報が飛び込んでくるんだ。
ウルティマ・トゥーレで交わした約束……
あんたも経験したことのない、新しい冒険に出ようって話。
それにうってつけな情報も、見つけられるかもしれないだろ?
なんか流れ変わったな?
いや、確かに約束した。クソ長note書くぐらいにははっきり覚えている。もちろん全て叶える気しかないが、なんか口ぶり的にそれ結構再建に協力する理由の中でウェイトデカくない?気のせいかな。
約束を交わしたときにちょっと思わなくもなかったのだが、無事に帰ってこれた後に思い返すとこの男、どさくさに紛れてちゃっかり三つもヒカセンと冒険の約束をしている。アリゼーに怒られるぞ。
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クソッ、可愛いな……!!(惚れた弱み)
このいじらしさに負けた筆者はメイン終了後まんまと90アライアンスを開けることになる。
イシュガルドとドマ(とっておき)はいつ行く?町人地復興終わらせておいたからね。
筆者の情緒は大忙しだが、それを他所に話はウルティマ・トゥーレでの会話に移っていく。
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……オレさ、あのとき、
長期行動計画ユニットが見ていた木のところで、
自分の名前も、あんたの冒険譚に残ると思うかって聞いただろ。
ひとつだけ訂正させてくれ。
確かにそれは、オレにとって念願というか、
遥か昔からの夢みたいなものだけどさ……
その何倍も、何十倍も……
どんな記録にも残らない「今」を、あんたと経験していきたい!
それはもう告白だよな?
それは……それはもう添い遂げたいって言ってるのと同義だよな!??!?!?!?!?!?
100年越しの夢よりも何十倍も強い願いなの!?!?!?ヒカセンと一緒に今を経験するのが!?!??!?!?!
憧れとか友情で収まる域を軽々越えた(※諸説あります)ド直球のクソデカ感情に言葉を失う。乙女ゲームの個別ルートのエンディングで見るやつだよこれ。大好きの規模がデカすぎるだろ。
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だからそれはもう告白だろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
そらクルルさんも眠る二人を見ながら「あなたたちにも幸せになってほしい」とか言うよ。この男、自身の幸せがヒカセンの形をしている……
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……オレは、あんたたちと、これからも夢を描くんだ。
そうして生きているうちに、宇宙のどこかで、
オミクロンの生き残りに出会うかもしれない。
ほら、あれだけ星外進出してたんだから、たまたま母星の外にいたやつがいるかもしれないだろ?
そいつがもし、目標も命令もなくて途方に暮れていたら……
伝えてやりたいと思う。
誰かと一緒に冒険に出てみろって。
その相手が、きっと手渡してくれるはずだ……機体に夢を。
あまりに直球ストレートの告白ラッシュに動揺が止まらなかったが、オミクロンについての話を聞いていると、彼がこうしてヒカセンに素直に気持ちをぶつけているのにも感慨深さを感じる。
遥か届かぬ星だと思っていたひとは、ある日思いもよらず目の前で瞬いた。その輝きに導かれ、グ・ラハ・ティアは「今」を全力で楽しんでいるのだ。
自分とは何かを今も問い続けながら、明るく笑って。
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水晶だって夢を見たんだ。
それくらい、おかしいことじゃないだろう?
センスの塊。
FF14のテキストの中でもトップクラスに好きな台詞である。彼というキャラクターの持ち味をこれほど生かしたテキストが書けるものか。
水晶が見た夢、これからもたくさん叶えていこうね。
そんなこんなで。
暁月のフィナーレ、本当に良かった。
マジのフィナーレだったし推しはずっと可愛かった。いや単純に可愛いと言うには大分感情重いけど。そこがいいんですけど。
伏せでも書いたことだが、暁月ではグ・ラハ・ティアの振り幅の広さというか、漆黒で描かれていた芯の強さや人の良さに加え、100年のうちに身につけた精神性や彼ならではの苦悩などが更に掘り下げられ、彼をより多層的に感じるイベントを数多く見ることができたように思う。一見別の人格のようにさえ見える「グ・ラハ・ティア」と「水晶公」は実際はグラデーションのように地続きになっていて、その揺らぎこそが彼を非常に魅力的なキャラクターとして成立させているのだろう。
暁は表向き解散したものの、今後もヒカセンの、グ・ラハ・ティアの冒険はどこまでだって続いていく。二人が駆けていく物語の先を、これからも見守っていきたい。
ひとまず、彼のどえらいイカ耳が見られると噂の最新パッチ(6.55)に追いつくところから。
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……今回以上の冒険があるのかって?
あるさ、これからいくらでも!
あんたが望み、踏み出すかぎりな!
ではまた。