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オンライン会議での、カメラのオンオフ問題を考える

サイボウズ チームワーク総研のなかむらです。テレワークにおいて、TeamsやZoomといったオンライン会議システムを利用する方も増えたと思います。多くの企業様にテレワークに関する講演や研修を行うなかで、必ず出る質問の1つに、「カメラはオンにしていますか。オフにしていますか。どちらがいいでしょうか」があります。

サイボウズでは、カメラのオン/オフは自由ですが、オンで話すことが多いです。

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最初の緊急事態宣言時に急遽テレワークになったことによる"ネットワークの確保のしづらさ" が、オンライン会議でのカメラオフにつながっているという話はよく聞きます。その観点でいえばサイボウズの場合は、10年前からテレワークをしていたこともあり、自宅でのネットワーク環境はすでに各社員が確保済みだったことも影響しているかもしれません。

「通常はカメラオフ」という企業様が多いようですが、顔が見えないことよるコミュニケーションのしづらさが生まれている声もよく聞きます。

カメラのオンオフについては、常にカメラオンができれば良いが、難しい場合は、せめていつものメンバーでのオンライン会議や、コミュニケーション促進が目的のミーティングなどのときにはカメラオンをお勧めします。と回答しています。

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支給されているパソコンにカメラがついていないといった、環境面での制限もある場合はもちろんこの限りではありません。ただ、その環境でしばらくテレワークを続けていた企業が、徐々にカメラ付きのPC支給へ切り替えている例も耳にします。ある企業にその理由について尋ねたところ、「やはり会議やコミュニケーションがやりにくいという声が多いので」ということでした。

人間の五感は「オンライン」だけで相手を信頼しないようにできている

カメラが付いていないPCでテレワークを続けるのはやりにくいという話を聞いたときに、「見えない」ことは、不安や懐疑の気持ちを生みやすいのかなと思いました。

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こちらの記事は、霊長類のコミュニケーションに詳しい京都大学の山極壽一先生を取材したサイボウズ式の記事です。この記事で山極先生は、

チームワークを強める、つまり共感を向ける相手をつくるには、視覚や聴覚ではなく、嗅覚や味覚、触覚をつかって信頼をかたちづくる必要があります。

と言います。つまり、人間(という動物)は触覚や味覚を共有することで信頼関係を確認するのです。

たとえば、食べるという行為は、味覚、嗅覚、触覚すべてを使う動作です。「一緒に食事をした」と聞くと、そのメンバーは仲が良いのだなと自然に思ってしまうのは、そういう"身体感覚を共有した"とみなすからなんですね。「同じ釜の飯を食う」という言葉が昔から使われていたのには意味があるということです。

オンライン会議で使う感覚は、視覚と聴覚です。それに加え、文字でのコミュニケーションが圧倒的に増えています。その結果、信頼関係に大事な他の感覚が伴わないことも増え、「頭ではわかるけど・・・」という現象も多く生まれがちのようです。

普段の生活も同様です。私たちは、SNSでコミュニケーションをとり、スマホで音楽や動画を楽しんでいます。これほどまでに文字が読まれ、視覚と聴覚を駆使している時代は、人類の歴史の中でも初めてではないかともいわれています。そう考えると、オンライン時代のいま、コミュニケーションのあり方そのもののバランスについて考える必要がありそうですね。

私たち人間に「視覚」は大事。カメラオンを増やしていこう!

コロナ禍において私たちは、人と接触できないという状況にあります。これはまさに身体性、つまり動物としての本質欲求を奪っている状態なのでつらいのですよね。

チームワークを強めるために必要な触覚、嗅覚、味覚が確認できないオンライン会議において、唯一確認できる視覚を無くすることは、存在を無くすことと同じとなり、信頼関係がつくりにくくなります。存在を無くした状態が心地いいというときもあるかもしれませんが、存在を無くし「続ける」のは難しい。それでよいメンバーが多い場合は、おそらくチームに何らかの問題がある可能性が高いので、チームビルディングを再度行いましょう。

カメラオンの最初の1歩としては、すべての会議をオンにするというよりは、あらかじめ「この会議はカメラをオンにしましょう」と伝えることから始めてみるのはいかがでしょうか。相手も準備ができるためよいかもしれません。そしてマネージャー自らがオンにしていくことも大事です。

オンライン会議システムも進化していて、背景も自分で選べます。Zoomは化粧もしてくれます(笑)。リアルの身体性に勝るものはもちろんありませんが、もう少しの間は、テクノロジーを使って、仲間とのコミュニケーションを深めていきましょう。ぜひざつだんを入れながら、カメラオンで話せる関係性を築き上げることから始めてみてはいかがでしょうか。


※この記事はサイボウズチームワーク総研ブログより引用しています。

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