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日本音楽著作権協会さまの『全従業員(約640名)が毎日工数入力した5年間の成果と課題』
2025年1月20日、ユーザー同士がつながり、悩みを共有しながら、チームスピリットの活用方法を教え合ったり、組織成長について学び合ったりする場として、「チームスピリット 東京ユーザー会」を開催しました!
当日は約120名の人事労務、IT・情報システム、経理、経営企画のご担当者さまに参加いただき、ユーザーさまによるお取り組み紹介や懇親会での交流を楽しんでいただきました!
このNoteではご登壇ゲストである一般社団法人日本音楽著作権協会さま(以下、JASRACさま)のお取り組みをご紹介します。
1.JASRACのビジネスモデルに欠かせない精緻な工数管理
JASRACさまからは2名の方にご登壇いただきました。
・企画部 情報総合課 水谷さま
・企画部 情報総合課 齋藤さま
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企画部 情報総合課 係長 齋藤さま(右)
JASRACさまは、音楽の著作権を保護し、あわせて音楽の著作物の利用の円滑を図り、音楽文化の普及発展に寄与されています。
はじめに水谷さま、齋藤さまからは全従業員(約640名)が毎日工数入力を行っている背景として、ビジネスモデルからご説明いただきました。
JASRACさまのビジネスモデルは委託者(作詞家・作曲家、音楽出版社)から著作権管理を委託され、利用者から音楽使用料を得ます。
最終的に委託者(作詞家・作曲家、音楽出版社)に音楽使用料を分配することで、委託者から管理手数料をいただいています。
この管理手数料からは"管理にかかる実費=コスト"を差し引き、余った場合は翌年に委託者(作詞家・作曲家、音楽出版社)に分配を行っています。
そのため、委託者(作詞家・作曲家、音楽出版社)側からすると「一旦多くお支払いし、後から分配される状態」のため、その差分をない状態にすることが望ましいといえます。
だからこそ、コストの多くを占める労務費をモニタリングし、管理手数料を適正にすることがとても重要となっているそうです。
ここでJASRACさまのビジネスモデルの根幹を支えるのがチームスピリットの工数管理であるといいます。
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2.チームスピリット導入後の Before / After
チームスピリットを導入する前は工数管理をExcelファイルで、半年に1回、一人ひとつのファイルを作成し、最後に640個ものファイルを回収し、集計していたそうです。当然、膨大な作業量になり、データも精緻ではなかったと齋藤さまはいいます。
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チームスピリット導入後のメリットとして、大きく3つを挙げられました。
① 毎日の工数入力がスライダーバーという機能で簡単に入力できること
② 勤怠データと工数データが完全一致すること
③ TeamSpirit Leaders(プロジェクト原価管理システム)でプロジェクトごとにリアルタイムで工数データ・労務費を集計できること
その結果、工数管理にかかる作業を年間154時間も削減できたといいます。
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3.JASRAC流、工数管理の活用術
"管理にかかる実費=コスト"を委託者への管理手数料とするため
精度の高い工数管理を行っています。
その方法はこの3つのステップで行っているそうです。
< 工数の管理方法3ステップ >
① 年間の活動計画として、各部署が業務項目ごとに月別の稼働予定(人数)を計画
② 企画部 情報総合課が先月の実績(工数を人数換算)を各部署に提供
③ 計画と実績を各部署マネージャーが経営陣に振返り報告
この管理手数料の分析や各部署の活動報告の基礎資料として、チームスピリットが活用されているといいます。
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月間労働時間で人数換算をし、予定と実績の乖離を分析している
また、JASRACさまは個人、各部署別の行動分類も見える化しているという。
これで、例えば、人によって会議、来客、外出などの傾向を把握しているそうです。
この精度の高いJASRAC流工数管理は一見大変そうですが、今では習慣化され、このステップがないと違和感すら感じると水谷さんはいいます。
まさに行動が習慣化され、組織文化として形成された成果です。
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4.工数管理をはじめてから5年間の成果
工数管理をはじめてからの5年間の成果や行動変容について、お話を伺いました。
成果として確かな実感をしていることは2つあるそうです。
① 費用分析の精度が飛躍的に向上した
以前までは半年に1回の頻度で工数管理をしていたため、分析結果に粗さがあったそうです。
現在は全社員が毎日の勤怠・工数を入力したデータをもとに信頼できる分析結果をアウトプットしているため、受け止め方に重みが増したそうです。
② ポジティブな工数管理の受けとめ方により、部署間の情報共有が増えた
ふつうは工数管理というと管理されるというネガティブな捉え方もあるかと思いますが、JASRACさまでは工数管理に対しては、日常のあたりまえのこととして、ポジティブに受け入れられているそうです。
実際に他部署の活動を参考にするためや比較をするために工数データをもとにした情報共有が社内で増えたそうです。
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さらにチームスピリットを活用する過程で副次的な成果についても語ってくれました。
チームスピリットはSalesforceを基盤としていますが、このSalesforceプラットフォームを活用し、委託者を増やすためのマーケティング新規事業を提案したそうです。
そこで生まれたのが『KENDRIX』という、音楽クリエイターのためのDXプラットフォームです。
水谷さまはチームスピリットがきっかけで社内ビジネスのDX推進がされたことで、会場にいる参加者さまにもSalesforce活用を呼びかけました。
● KENDRIXとは
音楽クリエイターが安心して楽曲を発表でき、適正な対価還元を受けるための各種手続きのハードルを下げることを目的としたクリエイターDXプラットフォームです。
音楽クリエイターであればプロアマ問わず、音楽クリエイターでない方も共に作品作りに携わる方は無料でご利用いただけます。
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5.おわりに
トークセッションのおわりには会場参加者120名へ、『社員の業務工数を可視化する目的は?』というお題でリアルタイムでアンケートを行いました。
水谷さまからは、『長時間労働を改善したい』が予想外の多さに発見があったようです。この結果からJASRACさまでは工数を活用しての業務サポートをしている状況のため、今後は課題解決提案までできるといいなと感想をいただきました。
齋藤さまからは、『同じ部署やチーム間で比較したい』のニーズが高いことに対して、まさにチームスピリットのダッシュボードを活用して可視化しているので、納得の結果とのご意見をいただきました。
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日本音楽著作権協会さま、ご登壇ありがとうございました!