101歳
私には101歳になったおじいちゃんがいる。
おじいちゃんとは私が20歳になるまで一緒に生活をしていた。
実家は、おじいちゃんとおばあちゃん、父と母、そして兄と私の6人家族だった。
父と母は働いていて、おじいちゃんとおばあちゃんが私たちのお世話をしてくれていた。
その後、おばあちゃんは介護が必要な状況になり、おばあちゃんのお世話をおじいちゃんが母と一緒にしてくれていた。
40年くらい前の時代はまだまだ男性が家のことをするのは珍しい時代だったのだけど、おじいちゃんは家事も介護も積極的にこなしていた。
母は働きながら家事や介護が出来たのも、おじいちゃんがいてくれたからだといつも感謝を口にしているくらいだ。
おばあちゃんは20年以上介護が必要な状態だった。
長い期間、いろんな病院に入院していたが、おじいちゃんは毎日のように病院に通ってはおばあちゃんのお世話をした。
おばあちゃんが亡くなった後も、毎日仏壇に手を合わせ、おばあちゃんの写真を入れたカードケースを胸にさげて生活していた。
(今は部屋の写真立てに50代くらいのおばあちゃんの写真を飾っている。)
おじいちゃんは2年くらい前にグループホームに入った。
できるだけ自宅で暮らさせてあげたいと母は頑張っていたが、老老介護の限界が来て、安心して暮らせるグループホームにお世話になることになった。
そのグループホームは実家から車で15分くらいのところにあって、母は時間を見つけてはグループホームでおじいちゃんとお喋りを楽しんでいるようだ。
最初は家に帰りたがったおじいちゃんだが、グループホームの皆さんのおかげでホームでの生活を楽しんでいる。
そのグループホームは毎月いろんなイベントをして入居者さんたちを楽しませていて、その風景がいつもInstagramにアップされている。
おじいちゃんには直接は年に数回しか会えないのだが、毎日のようにおじいちゃんの様子をInstagramで見ることができるから嬉しい。
最近、おじいちゃんがピンポンをやっている姿がInstagramに投稿されていた。101歳なのに、しっかりラケットで球を返している姿にビックリした。
おじいちゃんのピンポンの動画はこちら↓
https://www.instagram.com/reel/DBnY53shrLG/?igsh=Z3VtZ242Zms1eHlv
今日、母と一緒におじいちゃんに会いにいった。
ピンポンスゴかったね〜!と言ったら、
「よう球が見えんかったんじゃけど、ちゃんをワシは当てとったんじゃのう〜」と嬉しそうに言っていた。
母が持っていった柿を、今はお喋りしたいから柿なんて食べていられないんだと言っていたのに、気がつくと頭をフリフリしながら美味しそうに食べる姿は少年のようだった。
種をビニール袋に入れ、ティッシュで口をキレイに拭き、袋を締めてから手を合わせて「美味かったのう〜」と感謝する姿は愛おしく美しかった。
帰り際、私に、
「あんたも忙しいんじゃろ〜けぇ〜、無理して来んでもいいけぇ〜のぉ〜」
と言っていたのに、ホームのスタッフさんに無理言って車椅子で外まで連れていってもらい見送りに来てくれた。
30メートル近く離れた私に101歳とは思えない大きな声で「またのぉ〜
」と手を振ってくれたおじいちゃん。
本当は会いに来て欲しいのに、迷惑かけちゃいけんって思って私を思いやってくれるおじいちゃんの気持ちが嬉しくて切なくて帰り道にちょっと泣いてしまった。
前に会いに来た時も、
「周りの人がみんな逝ってしまって、わしゃ〜いつお迎え来てもえぇ〜、早くお迎えが来てくれ〜ってずっとお願いしとるのに、こうやってみんなが来てくれと、お迎え来んでくれぇ〜ってお願いしてしまうんよのぉ〜」
と言っていたおじいちゃん。
ちゃんと自分の気持ちに素直で、周りの人に感謝して生きているおじいちゃんの姿は私の生きるお手本だ。
私のワガママを言えば、まだまだ長生きして欲しい。
だっておじいちゃんの笑顔は最高だから。
おじいちゃんからはまだまだいろんなことを学びたい。
おじいちゃんの生きる姿勢は私の最高の学び。
おじいちゃんの生き様をこれからも見ていたい孫の願望のお話でした。