【Vol.5】漫才の効果って何なん?
チームフランポネをサポートするプロボノワーカー*が聞き役になり、フランポネのマヌー島岡(以下、マヌー)さんに質問をしていく企画。
今回は第5弾。「漫才にはどんな効果があるの?」がテーマです。
ー漫才にはどんな効果があるんですか?
マヌー:はい、活動の効果は、大きく3つの分野で表れています。
1つ目は「言語教育」の分野です。
特に注目されているのが「漫才で覚える英語」です。実は、大阪府にある小中学校にてテスト的に採用される予定です。なぜかというと、日本の英語教育って「読み書き」に偏っていて、なかなか「話す」ところまでいかないんです。でも漫才は違う。必ず声に出さないといけない。しかも間違えても「ボケ」として笑いに変えられる。
実際、東京外国語大学や東京学芸大学と共同研究をしていて、その効果は論文でも実証されています。学術的な裏付けがあるからこそ、教育委員会も採用を決めてくれたんです。
2つ目は「障害者支援」の分野です。
これは本当に感動的な変化を目にします。先日、川崎市内の障害者就労支援施設で漫才大会をやったんですが、普段は人前で話すことが苦手な方が、堂々と漫才を披露されたんです。家族の方が涙を流して喜んでくれました。
でも、私たちはこれを「感動ポルノ」にはしたくないんです。実際、この活動には社会的な意義があります。漫才を通じて表現力が向上し、コミュニケーション能力が高まる。それが就労支援にもつながっていく。だから厚生労働省も注目してくれているんです。
3つ目は「地域コミュニティ」での効果です。
例えば、今度幸区のお祭り(さいわい縁むす日)で地域の子どもたちが漫才を披露することになっています。準備として、10月に子ども文化センターで漫才作成講座をやって、11月のお祭りで発表する。この過程で、子どもたち同士はもちろん、地域の大人たちとの交流も生まれます。
ー川崎市でも順調に広がっているんですか?
マヌー:よく「川崎は文化芸術に意外と保守的だ」と言われます。確かに、新百合ヶ丘なら音楽、高津区ならブレイクダンスみたいに、イメージがはっきりしているものは受け入れられやすい。でも漫才となると、まだまだハードルが高い。
でも、私たちの活動を見てくれた人は変わってくれるんです。例えば、高津区では最初は慎重だった行政の方々が、実際に効果を見てくださって、今では大きな漫才大会も開催できるようになりました。
ー徐々に拡大しているんですね。
マヌー:はい。これらの効果は、数字でも表れています。昨年度は川崎市内の7区全てで活動を展開し、参加者の満足度調査でも高い評価をいただいています。
でも一番うれしいのは、数字では表せない変化です。外国人の方が日本語で自信を持って話せるようになる。障害のある方が新しい表現方法を見つける。地域の人々が世代を超えて交流する。
私たちの活動は、一見するとただの「お笑い」かもしれません。でも、その先にある「人と人とのつながり」「自己表現の喜び」「地域の活性化」。そういった本質的な価値を生み出せていると実感しています。
ーありがとうございます。次回は、これからの展望を教えてください。