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ロシア、ウクライナに軍事侵攻で全面リスクオフ相場 

ロシア、ウクライナへ軍事進攻開始

24日にロシアはウクライナに軍事進攻を開始しました。東部地区だけではなく、首都キエフも含むウクライナ全土を掌握することを狙った動きとなっています。

プーチン大統領はウクライナでの軍事行動について、ロシアの安全保障提案に関する交渉で西側諸国が譲歩を拒んだことでもたらされた、やむを得ない措置だと述べ、。世界経済システムにダメージを与える意図はないとも語っています。
ロシアのウクライナに対する第一波の攻撃では、大型・中型の爆撃機75機、各種ミサイル100発以上が使用されたと、米国防当局者が記者団に語り、ウクライナの防空能力は事実上、無力化され、ウクライナの首都キエフは今夜にもロシア軍の攻撃によって陥落する可能性があると、西側情報当局の高官が述べています。
ロシアはウクライナに親ロ派で米国の影響を受けない新政権の樹立を狙っており、ロシア下院国際問題委員会の第1副委員長を務めるニコノフ議員は「ウクライナ新政権にはロシアとの建設的な関係を支持することを求める」と国営テレビで述べ、「その実現に必要なことは何でもする」と主張しています。
この動きを受けて、米国は対ロ追加制裁を発表し、ロシアの主要銀行5行に制裁を科すと明らかにし、ロシア最大手のズベルバンクと2位のVTBバンクを含む大手金融機関を幅広く制裁対象に加えました。また、ロシアがドルとユーロ、ポンド、円で取引する能力も制限されると述べ、国際銀行間通信協会(SWIFT、スイフト)が運営する国際送金・決済システムからのロシア排除については、常に選択肢にあるが現在は行使する計画はないと語ったています。
EU首脳は24日夜、欧州金融セクターへのロシアのアクセス制限と主要テクノロジーの制限措置を含む広範な制裁パッケージを議論する予定であり、この草案では個人に対する制裁やロシア新興財閥(オリガルヒ)を標的とする際の基準拡大、外交官への査証(ビザ)関連規則の厳格化、資産凍結や渡航禁止をより効果的にする措置が含まれ、EU首脳は緊急会議で承認する見込みとなっています。米英との緊密な連携で策定した制裁パッケージでは金融制裁も盛り込まれる見通しで、国際市場へのロシアのアクセスを制限する狙いがあります。
英国のジョンソン首相は全てのロシア主要銀行に対する資産を凍結し、ロシア企業が英国市場で資金を調達することを禁止する計画を含む厳しい制裁パッケージを公表しました。また、軍事転用可能な民生品の対ロシア輸出は即時禁止とし、ロシア国籍保有者が英国の銀行に預金できる金額を制限する計画も明らかにしています。ジョンソン首相はまた、国際銀行間通信協会(SWIFT、スイフト)が運営する国際送金・決済システムからロシアを排除することを主要7カ国(G7)首脳との電話会議で主張したと、ブレイン報道官が明らかにしています。

市場は全面リスクオフの動きに

市場はロシアのウクライナ侵攻を受けて、全面リスクオフの動きで反応しています。

ダウ平均など主要株価指数は下落し、米国10年債利回りは一時1.850%まで低下し、WTI原油価格も一時は100ドル付近まで上昇し。VIX指数も37.6まで上昇しました。
株価は、売り一巡後はハイテク株に押し目買いなどが入り、急速に持ち直し、バイデン大統領がNY午後に発表した追加制裁に国際決済網からのロシア締め出しが含まれなかったことも投資家心理の改善につながった模様です。
国債も、大幅安で始まった米国株が持ち直すと急速に伸び悩み、米国10年債利回りは1.967%まで回復しています。
為替では、リスクオフの動きで円が主要通貨でもっと強く、ドル円・クロス円は大きく下落しましたが、株価が持ち直すと円売りの動きとなり、ドル円・クロス円も反発しています。

利上げ観測は揺るがず

ロシアによるウクライナ侵攻で経済成長が鈍化するリスクが懸念されますが、市場での米・英の金融当局が政策引き締めを強めるとの見方を変えていません。

金利先物市場では、米国が年内に25bpの利上げを6回、英国が5回程度行うことを織り込みつつあり、ロシアのウクライナ侵攻前と変化はしていません。
ウクライナ侵攻は経済成長を鈍化させるリスクがある一方、エネルギーなどの供給が混乱し、物価圧力が一段と強まるとの懸念があるます。リッチモンド連銀バーキン総裁は近い将来の利上げ計画を変更する理由になるかどうか判断するのは時期尚早だとの見解を示しています。
但し、3月に米・英が50bp規模の利上げを行うとの観測は後退しています。

米経済指標

米国の経済指標では、昨年10-12月米国内総生産(GDP)改定値は前期比年率7%増と、速報値の6.9%増から若干上方修正されています。
米新規失業保険申請件数は予想以上に減少し、失業保険の継続受給者数は148万人と、新型コロナウイルス禍の最低水準を更新しています。
1月の米新築一戸建て住宅販売は前月比4.5%減少し、2021年末に2カ月連続で急増していましたが、住宅ローン金利の上昇が需要を抑制し始めている可能性が示唆されています。

今日の予定

日本の経済指標など
08:30 2月東京都区部消費者物価指数(CPI、生鮮食料品除く)
08:50 前週分対外対内証券売買契約等の状況
14:00 12月景気一致指数(CI、改定値)・12月景気先行指数(CI、改定値)
海外の経済指標など
09:01 英 2月GFK消費者信頼感調査
16:00 独 10-12月期国内総生産(GDP、改定値)、1月輸入物価指数
19:00 EU 2月経済信頼感、2月消費者信頼感
22:30 米 1月個人消費支出(PCE)、1月個人消費支出(PCEデフレーター)、1月個人消費支出(PCEコア・デフレーター、食品・エネルギー除く)
22:30 米 1月耐久財受注、1月耐久財受注・輸送用機器除く
23:00 EU ラガルドECB総裁、発言
24:00 米 1月住宅販売保留指数、2月ミシガン大学消費者態度指数・確報値

ウクライナ情勢に関しては、ロシアの侵攻が始まり、欧米の経済制裁も出たことにより、この先は首都キエフがいつまで持ちこたえられるかがポイントとなります。ロシア側がキエフを陥落され、新ロシアの傀儡政権を樹立すれば、世界秩序の崩壊に繋がり、より強硬な経済制裁を科す可能性も高くなり、国際銀行間通信協会(SWIFT、スイフト)からロシアを締め出す動きになれば、市場は大きく動揺するかもしれません。
ウクライナはNATO加盟国ではないので、米・英やNATO軍がウクライナに直接的な軍事支援を行うことはできないため、ここ数日の動きで決してくると思われます。
今後の懸念は、ウクライナからの難民が大挙して欧州東部に押し寄せてくることと、チェルノブイリ原発をロシア軍が制圧したとの情報もあり、チェルノブイリ原発の核貯蔵施設を人質にロシア側がより強硬な姿勢を見せてくるかもしれません。引き続き、リスクオフの動きには注意が必要です。
米国の経済指標では、FRBがインフレ指標として重視しているPCEコアデフレーターが発表されます。消費者物価指数(CPI)などインフレ指標が軒並み上振れしていますので、PCEコアデフレーターの上振れにも注意が必要です。但し、ウクライナ情勢もありFRBが急進的な引き締めに動くとの観測は後退しつつあり、3月の利上げは25bpとなる観測が高まってきています。よって、PCEコアデフレーターが上振れしたとしても、利上げ観測が変わる見込みは少ないと思われます。

昨日は終日、ウクライナ情勢の動きをフォローしていましたが、ウクライナ情勢で大きく相場が変動し、下がったところを買って売り抜ける、噴き上がったところ叩いて売って買い戻す動きをするのが、トレーダーであり投資家の心理ですが、ウクライナの人々の恐怖や悲しみ、怒りなどを考えると複雑な心境になります。
また、ウクライナ政府は民間人に武器を供与しロシア軍と対峙する動きも見せていますが、武装した民間人はロシア軍の標的にもなり、また鍛えられたロシア軍に素人の民間人が太刀打ちできる筈もなく、この動きが第二次世界大戦の日本の姿にタブってとても切なくなります。
何とか、甚大な被害が出る前に落ち着てくれることを心から願っています。

それでは今日もよろしくお願いします。

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