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ECB 速やかな資産購入終了計画を維持 米消費者マインドが予想外に改善  

昨日の動き

ECB 速やかな資産購入終了計画を維持 具体的な日程示さず

欧州中央銀行(ECB)は14日、数カ月以内に債券購入を終了する方針をあらためて表明しました。債券買い入れを今四半期中に縮小し、第3・四半期に終了するとのガイダンスを維持し、金利は量的緩和終了後も「しばらく」は上昇せず、また緩やかなものになるとし、ロシアによるウクライナ侵攻に関連する不確実性を強調し、具体的な日程については手がかりを示しませんでした。

ECBは年2%のヘッドラインインフレ率を目標としていますが、CPIは最新の測定で7.5%に達しています。しかし、ラガルドECB総裁は、コアCPIは3%程度であり、賃金上昇は緩やかだと説明しています。
国債購入スキームが終了するのは第3四半期とされています。
ラガルド総裁は7月に終了する可能性を示唆していますが、9月に終了することも選択肢の一つです。
詳細は6月の次回会合で明らかになるかもしれませんが、ECBは国債の印刷を止めることを急いではいない模様です。
もしECBがインフレ対策に積極的であれば、少なくともQE終了後すぐに金利が上昇する可能性があると言うはずです。
FRBは3月に最後の国債を購入し、同月に政策金利を引き上げました。
ECBにとっては「時間がかかる」ものであり、その意見はタカ派にとっては容認できるものであるようです。
ECBは、FRB、そして日本を除くほとんどの中央銀行の利上げ路線に大きく遅れをとっていますが、今のところ加速感はありません。
ラガルド総裁は、下振れリスクと上振れリスクの両方が拡大していると述べ、不確実性が極度に高まっていると述べています。
その主な理由として、ラガルド総裁はロシアのウクライナ戦争を何度も挙げています。しかも、声明文には「柔軟性」という言葉が何度も刷り込まれています。ラガルド総裁は "gradualism (漸進主義、物事をゆるやかに進める主義)"を強調し、中央銀行が何をすべきか迷っているとき、"wait and see (成り行きを見守る)”モードです。
合意形成が命題のユーロ圏ではなおさらかもしれませんが、利上げ競争に加わらなければ、ECBは他の中央銀行から遅れをとり、ユーロも他から遅れをとることになります。

米消費者マインドが予想外に改善

4月の米ミシガン大学消費者マインド指数(速報値)は予想外に上昇し、3カ月ぶりの高水準となっています。雇用の拡大や賃金見通しに対する楽観が、数十年ぶりの高インフレの影響を十分に抑え込んだ模様です。

期待指数は64.1と、1月以来の高水準となり、前月比で10ポイント近く上昇し、2006年以来の大幅改善となっています。現況指数は68.1に上昇しています。
1年先のインフレ期待は5.4%、5-10年先のインフレ期待は3%と、それぞれ前月から変化はありませんが、インフレのさらなる悪化が見込まれなかった点で前向きな兆候と言えます。
労働市場が好調なことから、45歳以下の消費者の賃金に対する期待値は5.3%に上昇し、1990年4月以来30年ぶりの大きな伸びでとなっており、消費者は依然として、全米の失業率が徐々に低下すると予想しており、これが消費者の全米経済に対する見通しを向上させています。

それでも、インフレは賃金の上昇を上回り、特にロシアのウクライナ戦争後、食品やガソリンなどの日用品の価格が上昇しているため、米国消費者の家計を圧迫しています。
ガソリン代は多少下がったものの、食料品代は今後もしばらく高止まりしそうで、他の買い物のための可処分所得はほとんど残らない状況かもしれません。

市場の動き

外国為替市場

NY外為市場では、ラガルドECB総裁の発言を受け、ユーロが対ドルで2年ぶりの安値に沈んでいます。ECBはFRBによる積極的な金融引き締め方針とは対照的に利上げを急がないとの見方が広がっています。
EUR/USDは一時1.0758ドルと2020年4月以来の安値を付けています。ただ、売り一巡後は下げ渋る展開となり、ECB関係者の話として「7月利上げの可能性は依然として残っている」との報道が伝わったことで1.0835ドル付近まで下げ幅を縮めて終えています。
ドル円は続伸し、終値は125.88円と前営業日NY終値(125.62円)と比べて26銭程度のドル高水準となっています。ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「5月の会合で0.50%の利上げを検討するのが妥当」と発言したこともあり、米長期金利が上昇幅を拡大するとドル買いが活発化し、23時前に一時126.01円と日通し高値を更新しましたが、前日に付けた約20年ぶりの高値126.32円には届いていません。
DXYは一時100.76と20年4月以来の高値を付けています。

株式市場

米国株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、四半期決算が好感されたゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど金融株に買いが先行し一時320ドル超上昇したものの、買い一巡後は米長期金利の上昇を受けて高PER(株価収益率)のハイテク株に売りが強まり下げに転じています。
イースター休暇を前にポジション調整目的の売りも出て、引けにかけて下げ幅を広げました。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反落し、テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)がツイッター社に買収提案したことで、ツイッター株は5%超急伸する場面がありましたが、結局下げに転じています。

債券市場

米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反落。
インフレの高止まりで、FRBが金融引き締めを積極的に進める状況に変わりはないとの見方から、債券売りが進んでいます。ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁が「5月の会合で0.50%の利上げを検討するのが妥当」と発言したことも債券売りを促し、米国10年債利回りは一時2.8332%前後と2018年12月以来約3年4カ月ぶりの高水準を付けています。

また、米国10年実質金利は、一時2020年3月以来となるプラスに転じています。

原油・金市場

原油先物相場は3日続伸。
2日連続で大きく値を上げた反動で、序盤は102ドル台まで売り戻しが先行しています。EUによるロシア産原油の禁輸措置が現実味を帯びてきており、供給ひっ迫への警戒感は高まったままで、そういった中、下値の堅さが確認できると再び買い優勢となっています。
金先物相場は6日ぶりに反落。
ECB理事会やラガルドECB総裁の記者会見を経て、為替でドル高ユーロ安が進行すると、ドル建ての金には割高感が生じて売り優勢となっています。ただし、インフレの高止まりやウクライナ情勢への警戒感が根強いなか、一巡後は下げ幅を縮小する動きとなり、グッドフライデーの休場を翌日に控え、引けにかけてはポジション調整の売買が交錯しています。

今日の予定

グッドフライデーのため、日本を除く、豪・英・独・米など主な金融市場は休場となります。ただし米国は国としての祝日ではない為、株式市場や商品市場は休場も債券市場は短縮取引、週明け18日(月)日も日本と米国以外の多くの国が休場となります。
海外の経済指標など
21:30 米国 4月ニューヨーク連銀製造業景気指数
22:15 米国 3月鉱工業生産
22:15 米国 3月設備稼働率
29:00 米国 2月対米証券投資

今日は、グッドフライデーで日本以外の多くの国の金融市場が休場(米国の金融市場は株式市場や商品市場は休場も債券市場は短縮取引)となります。
米国の経済指標はNY連銀製造業景気指数と鉱工業生産が発表されますが、グッドフライデーでもあり市場の反応は限定的と思われます。
市場参加者が少なく、流動性が低いため急な値動きなどには要注意です。今日はエントリーチャンスは殆どないかもしれません。

それでは今日もよろしくお願いします。

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