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日銀金融政策決定会合 利上げ議論が行われるか

おはようございます。
1月も後半戦に突入しました。今週はどの様な動きになるのでしょうか?

先週金曜日と今週全体の動きはこちらをご確認ください。

日銀金融政策決定会合 利上げ議論が行われるか

今日から日銀・金融政策決定会合が開催されます。明日の会合終了後に政策金利の発表が行われますが、今回も据置となる見込みです。
14日には、「日銀は2%の物価目標達成前に利上げを開始できるか議論している」との観測報道をきっかけに円高が一時進みました。
日本のインフレ率の上昇はまだ限定的ですが、これは2021年の春に携帯通信料金の値下げが全体を押し下げた特殊要因によるものであり、今年の春以降この影響がなくなれば、情勢次第では前年比で1%を超えて物価が上がる可能性も十分にあり得ます。
また、岸田総理は、来週の国会での施政方針演説で、全国の平均の最低賃金をできるだけ早く時給1000円以上に引き上げるという意思を明らかにする見通しで、岸田政権は分配を強調する「新しい資本主義」の実現に向け、今年3%の賃上げを目標にするなど賃上げ政策を推進する予定です。

仮に賃金が上がれば、そのコストは岸田政権が推し進めようとしている減税などで吸収できるものではなく、最終的には物価に転嫁されることになり、そうなれば、日本のインフレ率も2%に限りなく近づく可能性は高まるかもしれません。

黒田日銀総裁は、先行き物価上昇が高まる見通しではあるものの、それは賃金上昇などを伴う持続的なものではなく、金融政策の変更を行わないとの考えを明確に示しています。
物価上昇が持続的でなくても、一時的な物価上昇を捉えて日本銀行が2%の物価目標を達成したと宣言し、様々な副作用を生む異例の金融緩和の正常化に乗り出すとの市場の観測が従来からありますが、黒田日銀総裁は、こうした観測を強く否定しています。
仮にそうした政策を行えば、黒田総裁が打ち出した物価目標の達成を道半ばで諦めて、白旗を上げることになってしまうので、今回の決定会合では、利上げが決定される可能性がほぼゼロであるばかりでなく、利上げの議論もされることはないと思われます。

黒田総裁の任期は2023年4月までで、黒田総裁退任後には日本銀行が利上げを含む正常化策を進める可能性は出てくると思われます。金融政策姿勢を巡る日本銀行内部での構図は、任期終了まで現状維持を続けたい黒田総裁、追加緩和を主張するリフレ派(積極的な金融緩和を通じて景気の回復と緩やかな物価上昇を促す経済政策を支持する一派)、正常化を視野に入れる日銀事務方、の三つ巴になっていると思われます。
決定会合では現状維持の結果となっても、決定会合以外の場では、黒田総裁の退任後に正常化を進めるプロセスについて、既に事務方で議論をしている可能性は否定できないことから、今回の観測報道は正しい面もあると言えるのかもしれません。
今後も、ポスト黒田体制の下で日本銀行が正常化を進めるとの観測が市場に頻繁に浮上し、それが円安圧力を食い止める役割を果たす可能性は十分にあります。

トンガの海底火山噴火 「1000年に1度」の大噴火か

トンガ付近の海底火山で15日に起きた噴火で、トンガや周辺諸国のほか日本や米国など太平洋沿岸の広範な地域に津波が押し寄せました。
トンガは通信インフラが遮断され、被害の把握や安否確認が難航していますが、噴火した火山は昨年12月ごろから活動が活発化しており、一部の専門家は「1000年に1度」の大規模噴火との見方を示しています。
30年前のフィリピン・ルソン島西側のヒナツボ山噴火は20世紀最大規模とされていましたが、それに匹敵する若しくはそれ以上の噴火と見られています。
ヒナツボ火山噴火の翌々年93年は日本では冷夏となり、「平成の米騒動」と呼ばれるほどの米の不作となりました。この要因の一つとして、ヒナツボ火山噴火による火山灰が日射を遮り世界の気温が低下したせいとも言われています。
今回のトンガは南半球に位置しており、赤道近くには偏西風と貿易風が北と南を分かつため北半球には大きな影響はないのかもしれませんが、NZ、豪州、ブラジルなどには影響が及ぶかもしれません。

南半球の主要農産物と言えば、ニュージーランドの酪農品、食肉、羊毛、果物、魚などが総輸出の5割を占めています。
ブラジルは米国と並ぶ大豆生産国で、2020年は大豆の生産量は世界1位をなっており、中国は国際貿易で取引されている大豆の80%を輸入しており、大豆を食用油(大豆油)に加工し、その搾りかすを養豚飼料にしています。
中国は、大豆の輸入をブラジルに依存しており米国からの輸入は26.9%に留まっています。
また、ブラジルの牛肉輸出額全体の50.3%が中国向けであるため、今回の噴火の影響でブラジルの農産物に影響がでれば、中国が食料インフレに見舞われるリスクがあるかもしれません。

また、赤道付近にはコーヒーベルトがあり、火山灰や日射の影響があればコーヒーインフレが起きる可能性もあります。

日本でも、海産物の輸入に影響がでてくるかもしれません。
チリからのサケ・マス類など影響が及ぶと思われる海域からの輸入品の価格高騰は想定しておいた方がいいかもしれません。

今日の予定

日本国内の経済指標など
日銀・金融政策決定会合(1日目)
08:50 11月機械受注
13:30 11月第三次産業活動指数
海外の経済指標など
休場:米国
11:00 中 10-12月期四半期GDP・12月鉱工業生産・12月小売売上高

今日は、米国は祝日(キング牧師記念日)で休場、欧州でも重要な指標の発表はありません。
アジアでは、中国のGDP、鉱工業生産、小売売上高が発表されます。
冬季五輪開幕を控えた北京で、新型コロナウイルスのオミクロン株の市中感染が初めて確認、上海でもオミクロン株感染が報告されています。
1月末からは、例年帰省ラッシュとなる春節の連休が始まりますが、中国当局は不要不急の移動自粛を呼び掛け、空の便も国内線・国際線で数十便が運休となっています。
中国では、新型コロナによる死亡者数を過小評価している研究結果も出始めており、中国の新型コロナによる死亡者数は、中国当局が公式発表している4.636人ではなく、実際には約170万人になると推計されています。
指標結果がネガティブとなった場合、中国株式市場の動きには注意したいところです。

それでは今日もよろしくお願いします。

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